習作:騎兵突撃
駆ける。
草原を、駆ける。駆ける。駆ける。
迫る、戦列歩兵。彼らの構える、槍衾のようなマスケットが、私を狙う。
(愚かな)
きっと、人間相手の楽な戦いしか経験してきていないのだろう。彼らの目には、騎兵の私に対する侮りの色がありありと映っていた。
バアンッ、と、綺麗に揃った銃火の音がし、戦列が硝煙を纏う。
カヒュン、と、物理障壁が気の抜けた音を鳴らし、数多の鉛玉を弾く。
ババアンッ、と、再び銃火の音。今度はそんなに揃っていない。
カヒュカヒュ鳴る物理障壁。確定した勝利。上がる口角。
風に流れる硝煙。恐怖の動揺。崩れる戦列。
私は、崩壊した槍衾に突っ込んだ。
斜めに展開した正面の物理障壁に人間がぶつかり、跳ね飛び、潰し、肉塊に変えていく。物理障壁は、何かにぶつかったところで、反動が返ってくることは無い。それはつまり、戦列の肉壁が愛馬の進みを止められないことを意味する。
潰れる人間の末魔を聞きながら、愛馬に負けじと私は両刃剣を振るう。
私達フサール騎兵のご先祖様の誰かが、『まどろっこしい!』と思った結果作られたという、柄の両端に馬上用のロングソードの刃がついているという、ふざけた代物。
それを、左右に少し突き出すだけで、物理障壁から逃げられた筈の敵が面白いように引っかかり、切り裂かれ、血を流して倒れていく。
勇気ある誰かが、右手から射撃してきた。それも、集団で、だ。
仲間ごと撃つのは、怖かっただろう。
「見事!」
だが無意味だ。当然物理障壁は、横にも張っている。正確には、物理障壁の後ろから、両刃剣を突き出している。
私は、鐙を蹴り、愛馬の進路を勇敢な彼らの方に変え、蹂躙を始める。
馬蹄で踏み潰し、物理障壁で跳ね飛ばし、両刃剣で切り裂いて。
壊走した戦列歩兵を適当に追い散らして、この日の戦いは終わった。
生存報告がてら投稿しました。
どうも躍動感ある表現というものが苦手で、色々試しながら書きました。
良ければ、「ここが下手」「この表現はおかしい」等、アドバイス下さい。




