3月1日
ある春の夕方、とある路地裏に--メイドが落ちていた。
僕が高校生になってから早くも一年がたった今日、ふとその一年間の記憶を思い起こしてみると
それなりに充実した高校生ライフを僕はおくっていたと思う。
つまり、僕は今の生活に満足しているのだ。
平凡な日常、変わりない日々、同じことの繰り返し、そういうのをつまらないとか、くだらないと思う人もいるかもしれない。
でも僕はその日常が好きだったのだ。
なのに--これはどういうことだろうか?
夕食を済ませ、軽い運動にと自宅の周辺を走ろうと家をでたつもりが
いつのまにか家からかなり遠くまで来てしまっていたのがいけなかったのか?
少しでも早く家に帰ろうと、普段は通らない、通ったことのない路地裏を選んでしまったのがいけなかったのか?
僕の目の前には--メイドが落ちていた。
落ちていた、という表現は人にはふさわしくないのかもしれない。
だけど、そのメイドはあまりにも綺麗で、綺麗すぎて人には見えなかったのだ。
輝く金色の髪、透き通るような肌、服の上からでもわかる豊満な胸、それでいて形の良い胸、やわらかそうなおっぱい、スタイルにあったぱいおつ、……。
「僕は決しておっぱいが好きなのではない。もう一度言う、僕はおっぱい星人ではない」
んん"ッ(咳払い) ……そして、その僕と同じ年くらいの美少女はメイド服を着ていたのである
そんなメイド少女は虚ろな目でこっちを見ている。
「…………」
「…………」
僕は見なかったことにしてその場を去ることにした。
「・・・!? いや、普通話しかけませんか!? えっ、あっちょっとまって! ほんとにいっちゃうの!? って、はやっ!? ねえってば…!!」
後ろから何か聞こえたが気のせいだろう。
そんなこんなで僕の受難の三月は始まったのだった----。