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胎動・獅子の咆哮

 まだ未熟だったわたしが一番恐れていたこと。それは能力の暴発で他人に怪我を負わせてしまうことだった。


 ある日のこと。我に返った時、目の前に広がる光景は血の海だった。

 赤黒い液体がそこら中に飛び散っていた。

 嫌な臭いが鼻を刺激した。

 喉の奥から何かが出てきそうな感覚がした。

 口を押さえ必死に止めようとする。


 そして、目の前で倒れていたぼろぼろの何か。

 それは紛れもなく、わたしにとってとても大切な人だった。


 この出来事以降、人と関わることが恐ろしくなってしまった。

 いつ、誰を傷つけてしまうか分からないから。

 どこで、人を殺してしまうか分からないから。



          ◇



 次の日。六月十七日の水曜日。

 昼休みにいつもの三人で食事をしたあと、別れてから急いで図書館に向かった。もちろん昨日の話題にでた星座について調べるためだ。

 受付で生徒証明書を見せてから中に入る。


「星座コーナー、星座コーナー……あれ? 宇宙コーナーだっけ?」


 と、ぶつぶつ呟きながら目当ての本を探した。

 数分後、運がよかったのかそれらしき図鑑を発見する。その名を『星座図鑑』。

 タイトルがそのまますぎて小さい子が読む本かと思ったけれど実際はそれなりに詳しい図鑑みたいだった。


 近くの椅子に腰をおろし、本棚から持ってきた図鑑をテーブルの上に置く。そしてポケットから折り畳んだ紙切れを取り出した。

 本の横にそれを広げる。内容は昨日ロイドくんが教えてくれた被害者の襲われた位置と魔石の位置についてだ。


 ただしロイドくんが描いた絵ではない。あれでは一瞬見られただけでもどんな内容なのか読み取られてしまうからだ。

 そこでさらに簡略化した絵を描いて持ってきた。円を描いてその中に星印を六つだけ描き入れた物。星は魔石が落ちていた位置だ。端からみると意味不明な落書きにしか見えないはず。


 本のページを次々とめくっていき、地図も同時に確認して似た形がないかを見ていく。

 しかし、なかなか似た形の星座が見あたらない。星座ではないのかと言ってはみたもののこうして図鑑を見てみると次第に不安が募ってくる。


「やっぱり気のせいだったのかな……」


 と諦めかけたところで後ろから聞き覚えのある声がした。


「ちっ、男じゃなかったのか」


 後ろに振り返る。そこにいたのはレンちゃんとニコルちゃんだった。二人ともつまらなさそうな顔をしている。さっきの声はニコルちゃんの方だろう。間違いなく。


「──二人とも何してるの?」


 と言い二人を横目にして続ける。


「男ってどういう意味さ?」


 すると二人ともふふ、とにやついた表情になる。まるで双子の姉妹のようにさっきから二人の表情の変化が一致している。

 あのね、と切り出したのがレンちゃんだった。


「ついさっき、昨日の昼休みにティアちゃんが知らない男の人と一緒に歩いていたのを見たっていう噂を聞いたんだよ」


 その言葉を頭の中で復唱する。

 昼休みに、男の人と、一緒に、歩いていた……

 もわもわとロイドくんの顔が頭の中に浮かんでくる。

 ……うそっ!!

 続けてニコルちゃんが責めてくる。


「最近あたしたちと別行動することが多い気がするけど、もしかしてその人のところに……」

「違うよ!」


 その言葉を遮って否定した。


「違うんだって。気のせいだって」

「あれ? その焦り具合からして本当のことだったの?」

「彼氏なのか? どこの誰だ! 吐け!」

「名前は? クラスは?」

「今すぐ会わせろ!!」


 二人の言葉がまるで呪文のように目まぐるしくわたしに襲いかかる。


「ちょっと待って! そんなんじゃないから!! あとここ図書館だから静かに!!!」


 直後、見回りをしていた係員に「図書館では静かにするように」と注意されてしまった。




 お互い謝りあい、気をとりなおす。


「なんでそんなにはしゃいだの?」


 と二人に質問する。


「いやさ、ティアってまだ友達が少ないだろ。とくに男子にかぎっては全くいないって思ってたんだ。だからおまえに彼氏でないにしてもそう言う関係の人がいるんだなって分かると、一人の友達としてなんか嬉しかったんだよ」


 と微笑みながらニコルちゃんは答えた。


「そっか。確かにわたしにはこの学園で男友達って言える人はいなかったね。でも、あれは友達って言える関係なのかな」


「……?」とレンちゃんはまるで意味が分からないというように首を傾げる。


「でも、全くの他人ってわけじゃないんだろ?」

「まあ、そうなるね。たぶん他人以上友達未満ってところが一番正確な表現かもしれない」

「そりゃ微妙な立ち位置だな。相手の男子が聞いたら落ち込むぞ」


 とニコルちゃんは苦笑する。

「そうかな」とわたしは微笑んだ。

 レンちゃんはまだ首を傾げていた。

 そういえば、と星座図鑑を指さすニコルちゃん。


「何調べてたんだ?」

「あ……えっと……」


 本当の言ってしまっていいのだろうか。言ったからといって、今わたしたちが調査していることについて感づかれることはないだろうけど。

 とりあえず形についてだけでも聞いてみようか。もしかするといいヒントをくれるかもしれない。


「本を見てもわかるように星座について調べてたんだよ」


 そう言ってメモも一緒に見せる。


「これなんだけど。何かの星座に似てないかな?」


 レンちゃんとニコルちゃんはこの絵を覗き込み、ううんと唸る。やっぱり分からないのかな。そもそも星座じゃなかったのかな。そう心の中でため息を吐く。

 すると──


「あれ?」


 とレンちゃんがメモを凝視してから首を傾げる。


「ちょっとその図鑑みせて」


 何かに気がついたのか、レンちゃんはそう言いってから渡した図鑑のページをめくっていく。そして、あるページにたどり着いた時「あった」と言って、そのページを開いたまま机の上に置いた。


「もしかしてこれじゃないかな?」


 そう言って指さしたレンちゃん。

 そこに載っていた星座は──



          ◇



 昼休みの残った時間でレンちゃんから説明を受けてメモをする。そして二人にお礼を言った。


「ありがとう、レンちゃん。謎が解けたよ。あとニコルちゃんもありがとう」

「どういたしまして」とレンちゃん。「結局、あたしは何もできなかったけどね」とニコルちゃん。


 予鈴のチャイムも鳴ってしまったので、わたしたちは図書館から出ていくことにした。念のために星座図鑑を借りていくことにする。ロイドくんに説明する時に役立つだろうから。

 見つかったことはいい報告だけれど、それともう一つロイドくんに悪い報告しなければいけないことにわたしは一つの苦悩を感じていた。


 放課後、部屋に戻るとなんと中にはロイドくんがいた。

 しかもわたしのベッドに腰をかけている。驚きはしたものの、季節的に明るい時期でよかった。もし冬の薄暗い部屋の中で見つけたら、びっくりして思いきり叫んでいたかもしれない。


「ロイドくん。なんでわたしの部屋に無断で入ってきてるんでしょうか?」


 ていうかどうやって入った。

 鍵はどうした。窓も閉めていたはずだし。


「これ、れっきとした犯罪だよ。わかってる? ってちょっと聞いて──」


 最後までは言えなかった。ロイドくんがわたしの言葉を遮るようにして言葉を上乗せしたからだ。


「また、被害者がでたぞ」


 被害者がでた。つまり死神が現れた。


「──!?」


 いきなりのその言葉に驚いて声も出せない。ただ、その絶句は単に驚きからだけのものでもなかった。

 二日前のあの現象が何の関係もない人に恐怖を与え命を脅かす。死神の暴挙、魔術師の狼藉をどうすることもできずにいることに虚しさを感じてしかたがなかった。

 胸の内は悔しさでいっぱいだ。もうロイドくんの不法侵入はどうでもよくなった。


 ところでそれは本当のことなのだろうか?

 疑いの念。どうしてロイドくんはそれを知っているのか。

 今日はまだ学園側から被害者が増えたという情報はなかった。

 レンちゃんから死神の話を聞いてから、死神という言葉に敏感になってしまっているから間違いないはず。少しだけだが訝しんでしまった。

 ロイドくんの隣に腰をおろしてから訊く。


「その話、どこで聞いたの?」


 ロイドくんはさっきから暗く重い表情のままだ。

 そんな顔のまま答える。


「聞いたんじゃない。直にこの目で見たんだ。昨日の夜だけどな」

「見たって、まさか死神を?」


 ロイドくんはそうだ、と首を縦に振る。


「見つけた時は手遅れだったがな。襲われた人には悪かったが助けを呼ばずに死神を追いかけたんだ。だが結局見失ってしまった」


 その相変わらず変化の少ない表情からも微かに悔しさが表れていた。


「そんなことが……」

「できるだけ早く伝えたかったんだが、なかなかおまえを見つけられなくてな。結局、こんなに遅くなってしまった」


 ロイドくんは大きく深呼吸してから立ち上がる。


「落ち込んでても仕方がないな。昨日の俺が描いた絵とペンを貸してくれ」


 その言葉に「わかった」とだけ答えて引き出しの中にしまった四つ折りにした地図の絵を取り出す。それを机の上に広げた。


「ペンは……この鉛筆でもいい?」

「何でもかまわないんだが、その先の丸まった鉛筆だけは遠慮したい」


 ロイドくんの言う通り先が丸まっている。やっぱりこれでは描きづらいだろうな。その鉛筆を鉛筆削りで先を尖らしてから手渡した。

 ロイドくんは「ありがとう」とだけ言って受け取り、椅子に座ってから地図上に新たな魔石の絵を描き加える。ただ、魔石の位置については半ば予想がついていた。


 場所はここテレジア学園から南西に十数キロメートル離れた所。魔石はテレジア市街にある百貨店の屋上で見つけたようだ。被害者も同じく屋上の片隅で発見したらしい。


「ロイドくん、昨日は百貨店に行ってたんだ」

「まあな。夕食に必要なものがあったから」


 昨日何食べたの? とは訊かなかった。この状況で雑談を繰り広げる勇気は、わたしにはなかった。

 ロイドくんは鉛筆を置いて一息吐く。


「──さて、俺からの報告はこれだけだ。場所くらいしか手掛かりは掴めなかったけど。それじゃあ次はおまえだ」 


 そう言ってわたしの横をすり抜けていき扉へと向かう。次はおまえだ、とか言っておきながらこの部屋から出ていこうとするのはどういう悪意だ。

 と思いもしたが、理由は部屋から出ていくのではなく扉付近にある電気のスイッチを入れにいっただけだった。パッと部屋の中が明るくなる。

 ロイドくんは戻ってくると次は窓のカーテンを閉める。まるで使い慣れた自分の部屋でやるような行為だった。


 ここ、わたしの部屋なんだけどな………

 せめて一矢報いたくなって、さっきまでロイドくんが座っていた椅子に座る。

 わたしの椅子だけれど。


「もういいかな」

「いいよ。始めてくれ」


 その後に、勝手に椅子に座って悪かった、と謝った。たぶん、わたしの顔からは怒りの念を発していたのだろう。

 最近になって気がついたことだけれど、わたしはよく笑ったり怒ったり様々な表情をしているらしい。表情豊かなことはぜんぜん悪いことではないだろう。

 しかし、またアーネストさんにからかわれると思うと気が滅入ってしまう。「あの頃と比べて可愛らしくなったものだ」と笑顔で言われることが目に見えていた。


「じゃあ始めるよ」


 と言って鞄から魔石の絵を星印に換えた簡易版の地図と借りてきた星座図鑑を取り出した。

 ロイドくんはそれを興味深く見ている。


「えっと、昨日の夜に被害者と星座の位置が同じじゃないかって言ったよね」

「言ってたな。結局どうだったんだ。いい成果は得られたか?」


 うん、とわたしが頷くとロイドくんはそうか、と微笑んだ。

 わたしの描いた魔石の方の地図をロイドくんの地図の上に透けるように広げてから星座図鑑を開ける。栞を挟んでおいたため探す手間は省けた。


「これ」


 と言ってロイドくんにそのページを見せる。ロイドくんはその星座の名前を言う。


「──獅子座?」

「そうだよ」


 説明によれば獅子座は春の夜空に輝く星座の一つらしい。十五個の目に見える星で構成されている。星座には強い光を放つ星から順に一等星、二等星、そして五等星まである。


 わたしの描いた絵の星印、つまりロイドくんの絵でいう魔石の絵とその星座の特に強い光を放つ一等星から三等星までの八つの星の内の六つと位置が合致していた。


 その他の四、五等星の小さな輝きを放つ星の場所にも何かがあるということになるのだろう。それよりも気になることが残り二つの一から三等星の位置だ。


 名前はレグルスとデネボラというらしい。もしこの位置に魔石が配置されているのだと考えれば、それは地図上でどこになるのだろう、という問題だった。


「おいおい。デネボラってのは昨日俺が魔石を見つけた位置とあってるじゃないか。ということは残りの一つに魔石があって、その近くが死神の現れる場所ってことか」

「そういうこと。ロイドくんが死神と遭遇したことで星座と関係がある可能性が更に高まった」


 でもね、と声を低くする。


「この推測が正しければ、……残りの一つ、レグルスの位置を見ればわかるでしょ」


 ロイドくんは首を振る。


「いや、ちょっと待てよ。これはあくまで俺たちの手描きの地図によるもの。実際のところ尺度の問題で大きなズレもあるはずだ。決めつけるには早すぎる」

「だったら、これならどう?」


 そう言ってから手描きの地図、星座図鑑とは別に用意しておいた獅子座の外見とテレジア市街の地図をコピーした二枚の紙をロイドくんに手渡す。

 星同士、魔石同士の距離の縮尺はできる限り同じにしておいたものだ。

 その二枚の紙を重ね合わせてそれを電気の光で透かすようロイドくんに促した。


「──!!」


 ロイドくんはそれに気づいて驚いた。というより今まで信じたくなかったことに根拠を持ち出され納得せざるを得なかった、というような心情だったのかもしれない。


「ここが次の狩場だって、おまえは言うのか?」


 わたしはコクリと肯定の頷きを返した。

 帝都テレジア学園。それが次の死神の現れる場所。

 わたしの大切な場所。わたしたちの大切な友人を危険な目に遭わせるかもしれないのだ。

 ロイドくんは何も言わなかった。


「──それと昨日は言い忘れてたんだけど、ロイドくんと会う前日に死神に襲われたと思うんだ」


 その告白にロイドくんは驚いて尋ねてくる。


「襲われたって、大丈夫だったのか? 怪我はしてないか?」


 その目は真剣にわたしの身を案じてくれているように見えた。

 もし本当にそうだったらうれしいのだけれど。

 わたしは他人の心は読めないから。訊くのも恥ずかしい。


「う、うん。何とかね。どこも怪我してないよ。それに大丈夫じゃなかったらここにはいないよ」


 ホッと胸を撫で下ろすロイドくん。手に持った地図の絵を机に置き訊いてきた。


「だが、襲われたと思うっていうのはどういう意味なんだ?」


 思う、と言ったのには理由があった。わたしが襲われた時に相手は正体を明かさず、そのうえ飛び道具として使用した武器も見せないようにすぐ消滅させた。

 つまり、死神を装った全く別のモノだった可能性だってあるからだ。その時の状況をなるべく詳しく説明した。

 ロイドくんは一度頷くと「その武器が消える時の様子は覚えているか?」と訊いた。

 その問に以前のことを思い出しながら答える。


「うん。わたしが見たときは黒い煙になって消えてしまった、って感じだった」

「そうか。それなら死神かもしれないな。俺が目にした死神も黒い煙になって消えていったから。同じモノとして考えていいだろう」

「なんだか大雑把な考え方だね」

「何故そうなる」

「だって、わたしが見たのは武器でロイドくんが見たのは死神の本体でしょ。それに黒い煙になって消えることは死神の専売特許ってわけじゃないでしょ」


 ロイドくんはふぅ、と呆れたようなため息を吐いた。


「おまえが何を勘違いしてるか知らないが、俺は死神を見ただけじゃない。実際に戦ったんだ」

「あれ、そうだったの?」


 見ただけかと思っていた。実際に戦ったのならロイドくん自身に思い当たることがあってもおかしくない。ロイドくんはガクッと頭を落とす。


「すまない、俺の説明不足が原因だな。俺は死神と戦ったんだ。黒い煙で覆われていたからどのような容姿かまではわからなかったのは残念だったが。しかし、おまえは武器が黒い煙になって消えていくのを見たんだろ。それは俺も同じだ。同じような光景を目にした。なら同じと考えても差し支えないはずだろ」

「確かにそうなるかな」


 さて、とロイドくんは気を引き締める。


「いい感じに情報が集まった。次の被害者がでる位置についてもある程度の予測ができた。これから本格的な作戦会議を始める。夕食後またここに集合しよう」

「うん。わかった」


 そう言うとロイドくんは一旦家に帰っていった。また窓から飛び出して。

 ……あれ。

 なぜか勝手に話を進められてる。

 いや、それはそれでいいのだが一つだけ気に入らない箇所があった。


「だから、ここはわたしの部屋だよ! 自分の部屋みたいに扱わないで!」


 その叫びは当然のことだがロイドくんの耳には届くことはなかった。




 指針が定まった。

 予想としては魔石があるところに死神あり、だ。


 となると、まずわたしがやるべきことはこのテレジア学園内に存在するかもしれない魔石を見つけ、そしてそれを破壊すること。

 魔石は何らかの儀式に用いられる可能性が高い。直接魔術師を止めることは出来なくとも、魔石を破壊することは次の死神の出現を止めることに繋がるかもしれない。これがロイドくんの見解だった。


 とりあえず、わたしはロイドくんから魔力を感じとることができたため。魔石を探すことに関しては概ね問題ないそうだ。

 ただ、魔石の放つ魔力の強さは半径数メートル以内の距離に入らなければ気付くことが困難なほど小さいらしい。よって魔石のありそうな場所をしらみ潰しに探すしかないという。とても根気のいる作業だった。


 それに対してロイドくんの役割は学園外の残りの星座の位置、つまり四等星、五等星の位置の調査だ。数も多く魔石があるかどうかすらわからないため、こちらには時間の制限を設けることにした。

 それが今から二日間。つまり六月十九日の終わりまでだった。


 調査の結果は今までと同様に、この部屋で話し合うことになってしまった。

 そして最後に一つだけ約束事を取り決め、自分たちの役割を果たしにいく。

 もし死神と出会うようなことがあればすぐに逃げること。一人で戦うようなまねだけは絶対にしないこと。




 ──しかし、

 翌日、六月十八日。

 そして更に翌日、六月十九日。

 お互いよい結果を一向に得られずその日の終わりを告げられる。


 死神も魔術師も現れる気配が無い。

 友人と笑って過ごす平穏な日常。

 不気味なくらいの静穏な日々。


 それはまるで嵐が起こるの前のような静けさだった。


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