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巻き込まれる

駅の構内、多々の人が行き交う中、男が壁にもたれかかっている。誰かを待っている様で、何やらそわそわしている。しばらくすると、「すまん、遅れた。」と弁明しながら一人近づいて来る者があった。そいつこそ、私、それもまだ幼い中学生の私である。「で、お前なにみてたんだよ。」と私が問うと、彼は、

別に、と言葉を濁す。絶対に嘘である、と、思う。彼は-仮に相楽としよう。-相楽は主に視点を自由に移動させる能力を持っているからだ。範囲がどれ位かは知らないが、ここは女子トイレの真ん前である。見えないはずが無い。それに相楽は中学生である。猿もさながら、性欲の高い時期である。しかし、そう思ったものの、口には出さなかった。今日は貯まったお金を使ってゲームを使用と来たのだった。普段はゲーム、フィギュアなどはネットで買うが、こればっかりはどうしようもない。ゲーセンに入ると、相楽はガンバライドへ、私はサッカーのゲームの方へ向かう。これは監督になって選手に指示をするカードを使うゲームであるが、ぶっちゃけ資金ゲーである。ゲーセンの中は休日ということもあって、中々混雑していた。三、四時間程経った頃、相楽が私に近づいて来た。「おぉおぉ、調子はどうかね。」と聞いて来る。

「いやー全然出ませんな。」

と私が答えると、彼はニヤニヤしてゆっくりとカードを取り出す。

「おお!」LRだ。しかも三枚。私が羨ましがるのを無視して、相楽がおお、と小さく声を上げた。私がどうしたのかと尋ねる前に相楽が

「あいつ、履いてないぜ。」

と目で私の左斜め後ろの女を示して教えた。女は壁にもたれかかってすました顔をしていた。

「真面目そうなのに、世の中意外な人がいるんだねぇ。もしかして男の趣味か?ただの変態か?」と感想を返すと「うん、でも興奮してる風じゃ無いんだ。気づいてないのか。」と真面目に考察していた。「そんな事どうでもいいだろ。今何時だ。」私が聞くと、相楽が左手の腕時計を見やって、一時半だと答えた。「じゃあ、そろそろご飯食べに行きますか。」と私が言うと、相楽はそれに賛成した。私と相楽は近くの隠れ家的なカレー屋に行く事にした。その店はただでさえ薄汚いビル群の狭い隙間に入り口がある地下の店なのだ。私達はそのビルに入り、地下室の扉を開けた。

「カレー二つね。ってあれ?」

扉を開けた先には私の記憶とは全く違う様子があり、私は困惑した。相楽も同様だった。打ちっ放しのコンクリートの内装に、大昔のSFを思い出させる用なスイッチのたくさんついた機械と何やらグラフが書かれた紙を出し続けている機械、そしてキーボードが映し出された机型の大理石、それぞれに空気に映すホログラムのモニターが数個あり、それぞれからこちらを向いた男達の顔が透けて見えた。

「ど、どうも。部屋を間違ったみたいですね。」

と言うが早いか私の視界はコンクリートで一杯になった。少し遅れてもう一つ人の倒れる音がする。

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