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レイズリーの末裔2

「もちろん、レイズリーと名乗っているわけではありませんよ?サイナシル家。


そう名乗っています。レイズリーは、もともと魔術にけていました。


ですから私たちの先祖は、サンカトルクや他の貴族にレイズリーだと


ばれないよう、大掛かりな魔術をかけていたんです。」


 「・・・・・・かけて・・・いた?」


デュライアはシャオの言葉に違和感を覚え、それをそのまま口にする。


 シャオはデュライアの鋭い指摘に、思わず苦笑する。


「鋭いですねぇ。・・・そうです。かけていた。三十年ほど前、どういうわけか


サンカトルクにばれてしまったんです。」


「ばれた理由は?」


デュライアの疑問に、シャオは爽やかに笑い、


「それが、全っっっっっっっっ然わかんないんですよねー。」


と晴れやかに応じる。


 デュライアは「お前な・・・」と半眼になったが、この妙なテンションの男は


その視線をさらりと受け流す。そして、ふいにハッとして、「あ、そういえば」


と言葉をつなぐ。


「ちょうどその頃、サンカトルクの当主が外から入ってきた人物になった、という


噂が流れたらしいんです。で、もちろんレイズリーはそいつの詳細を調べたの


ですが、名前どころか人柄も性別も、その噂が本当なのかどうかさえわからな


かったそうです。」


 根拠のない噂は、時とともに忘れ去られる。この噂とて、例外ではない。やがて、


誰もがそれを忘れた。レイズリーの末裔たちを除いて。


「私たちも、忘れてしまうことができれば楽だったのでしょうが・・・・・・。」


 その言葉に、デュライアは呆れ顔になって、


「それは現実逃避というんだよ。」


と言う。それにシャオも苦笑をこぼす。


「そうですねぇ。確かに・・・。話を戻しましょうか。」


 そうして、一度言葉を切り、また話し始める。


「私たちの存在がばれてからは、サンカトルクに狙われるようになりました。


しかし、レイズリーの生き残りがいるという事実を世間に知られたくはなかった


のでしょう。実際に彼らに攻撃されたのは、数えられるほどです。だから


私たちはなんとか持ちこたえられたのです。ですが、いつかは限界がきます。


ですから、今は一人でも多く仲間が欲しい。あなたを半ば無理やり


引っ張ってきた理由はそれです。」


 シャオの説明に「そうか」と短く応え、デュライアはそれきり黙る。


その沈黙に深い意味は無かったのだが、シャオはなにか勘違いをしたらしい。


苦い顔になり口を開く。


「・・・・・・やはり、戻ってしまいますか・・・?」


 シャオが出会ってからの短い間のなかで、一番頼りなさげなかおをしたので、


少しからかってやろうという気になった。デュライアは大仰に溜息をつく。


「結局俺は、貴族たちのくだらない争いに巻き込まれかけただけってことか。


なんだよ。面白そうだと思ったのに。」


 そこまで言い、シャオの顔色を伺うと、シュンとうなだれていた。


「すいません・・・・・・。」


やけに殊勝なので、可哀想になってきた。


「・・・だが、言っただろ。あそこにいても気が滅入るだけなんだ。


家族だって、3年前の小さい戦争で運悪く死んだ。だから、俺の答えは


変わらない。お前らの仲間になる。」


 そう言うと、シャオは目に見えて安堵する。


「あ、そろそろ目的地ですね。では、あらためてよろしくお願いします。」


「ああ。」


-------回る。廻る。まわる。マワル。運命の歯車が。


               その上で踊る滑稽な者を嗤いながら。。。


         ただ一人の


            全てを知るものを置き去りにして-----------













やっとスタートライン・・・。

疲れました。既に。

小説家ってすごいのですね・・・。

読んでくださりありがとうございました!

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