街にて3
「人形・・・つくらないか?」
青年が、唐突にそう呟いた。
「ん?人形?」
もう一人の青年が、怪訝そうに尋ねる。
「そ。人形。」
「それって、お前らが武器にしてる?」
「ああ。」
提案者の青年は、さも当たり前のように答える。
「・・・俺になんのメリットも無ぇじゃん。」
「まぁまぁ、いいじゃねーか。ほれ、これ見ろ。こういう感じで
つくりたいんだが・・・」
そう言って、なにかがかかれた紙を取り出す。
それを見た瞬間、それまであまり乗り気でなかった青年が、目
を輝かせた。
「おお!なかなかじゃん!それ。・・・・・・お前にしては。」
「・・・一言余分だ。」
「手伝ってやるよ。」
「ねぇ、無視?」
「まぁまぁ、気にするな。・・・ていうかお前、人形とかつくれ
るんだなー。」
キモーイ。
「うるっせえよっ!!この俺の手先の器用さなめんなよ!だいた
いお前だってつくれんじゃねーか!」
「あ?お前・・・俺様の生活力なめんじゃねーぞ!」
口調とは裏腹のきらめくような笑顔。
遊ばれていることに気づくもう一人の青年。
「・・・っだぁぁぁぁぁぁもう!!いいからつくるぞ!!!」
「へーい。」
数日後。
「・・・でーきたーーーーっっっ」
「うぉっ!さっすが俺様!完☆璧!!」
彼らの目の前には、とても男二人がつくったとは思えない二体
の人形があった。それらは対になるようにつくられてい
るらしく、二体並ぶと非常に見栄えが良い。
「なあ、なんで人形なんてつくったんだ?数は足りてるだろ?」
「んー?なんとなく・・・だ。」
「そーか。」
「おう。」
----------”全て思い通りになる世界”を望んでなどいなかった。
----------自らの業とて理解していた。
----------それなのに、なぜ?
なぜ世界はこんなにも非情なのか。なぜすぐそばにあったはずの当
たり前は、こんなにも簡単に崩れ去っていくのだろうか。
どうして。
どうして。どうして。
・・・こんなにも苦しまなければならない?
・・・・・・・・・許セナイヨ・・・・・・・・・・・・っ
------キィン
っという耳障りな音が響き、短剣と短剣がぶつかり会う。二人はその
まましばらく睨み合っていた。しかし、ガイが空いている左手を僅か
に動かすことで、微妙な均衡が崩れる。
「・・・・・・っ!?」
彼の人形にクランを襲わせたのだ。クランは、頭上から降ってきた
大剣の軌道を短剣で受け流してそらし、そのまま後ろに跳び退る。
クランを襲った大剣は、人形の身の丈ほどもあったのだが、その軌
道を短剣でそらすとは一体どんな腕力をしているのだろう。見た目は
年相応の子供の細腕なのだが。
ガイは、そんな自らの考えにげんなりして。そして、嘆息まじりに
呟いた。
「こりゃ、結構きついなぁ・・・。」
さっきまで晴れ渡っていたはずの空は、いつの間にかどんよりと重
い雲がたちこめていて、いつ雨が降り出してもおかしくない。
「僕さ、雨ってあんまり好きじゃないんだ。だから、降り出す前に
終わらせたいんだよねぇ。」
ガイの心の内を知ってか知らずか、クランがそう言った。
「なら、お前が負けてくれよ。俺は別に良いぜ。雨は嫌いじゃあない
からな。」
「そっかー。残念。僕、死にたくないしさー。ねぇ、お兄さん?」
クランが、見る者を萎縮させるような酷薄な冷笑を浮かべる。
「さっさと死んでよ。」
言い終わる前に地を蹴ったクランが、凄まじい勢いでガイに迫って
きた。ガイは一度大きく後退し、人形をクランにぶつける。
よけることもできたはずなのに、クランがそれをしなかったのは、
そうすれば、一瞬にしてガイに殺されることがわかっていたからか。
人形の大剣を、いつの間に増やしたのか、両手に持った短剣で受け
とめる。が、それは一瞬で、すぐに身をかわして人形をよけ、止まる
ことなくガイに向かってきた。
ガイはといえば、あせる素振りは微塵もみせず、クランの二本の短
剣を、僅かに身を右にそらしてかわす。そのまま流れるような動きで、
この幼き暗殺者の右手の短剣を、自らの持つ短剣ではじきとばし、横
薙ぎに払われた左手の短剣を、危なげなく受け止める。
再び、耳障りな音が木霊した。
「!、しまっ・・・」
腰にはいていたはずのもう一本の短剣がなくなっていることに気づ
いたときには、すべてあとのまつりだった。
「・・・っは・・・っ」
体につよい衝撃が奔った刹那、凄まじい痛みが襲う。
左腹、わき腹に近いあたりを刺し貫いた短剣が引き抜かれるのとほ
ぼ同時。ガイの膝が支えを無くしたかのように砕けた。
倒れる直前、彼が見たのは、冷たい光をたたえた瞳。
うつぶせに倒れたはずなのに、感じたのは、土の味ではなくのどの
奥からせりあがる鉄の味。
妙に冷静に、やばいなぁ、と思ったすぐあと。
世界が暗転した。
どうでしたでしょうか・・・。
・・・うまく書けません・・・
戦闘って何!!!
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