除霊パート1
なげえよ!
少し風変わりな友人がいる。
手相や占術、果ては除霊までこなすその人は、会うたびに私の手を取り、望むと望まざるとにかかわらず鑑定を始めてしまうような人だった
ある日、私に「生き霊」がついていると告げられた。指摘された特徴からある人物の顔が浮かび、私はその人からの貰い物を携えて「寒川神社」へと向かった。
お焚き上げを済ませると、憑き物が落ちたように体が軽くなった。失われていた日々の活力が、確かに戻ってきたのを感じていた
半月後、その友人と再会した。
まずは腹ごしらえを、と足を踏み入れたのは、どこにでもあるファミリーレストランだった。
席に案内され、席に着いた瞬間ポテトを頼んだ
その後すぐに違う物を頼もうとメニューを開いた。
メニューに目を滑らせていると、視界の端で何かが凝固した。
ふと顔を上げると、友人が神妙な面持ちでこちらを凝視している。
「なんだ、一体なんなんだ」
また何かに憑かれているのか。それとも、私の背後に何かを見ているのか。
一瞬で不吉な想像が脳内を駆け巡るほど、その顔は険しく、そして恐ろしかった。
……まさか、これは恋だろうか?
いや、違う。この刺すような視線はなんだ。なぜそうも私をにらみ付けるのか
沈黙という名の重圧に耐えきれなくなった私は、ついにその核心へと踏み込んだ
「また何か憑いてる? 笑」
そう尋ねた私の声は、場違いな明るさを帯びて震えた。
対面する友人の顔から表情が消える。
「シッ――」
唇の前に添えられた指が、言葉を物理的に封じ込める。そして、もう片方の手。それはテーブルの端で、不自然な角度に折れ曲がっていた。
手を突き出し、奇妙なバランスを保つその形は、あのジャミロクワイの手そのものだ。
ファミレスの喧騒の中で、その一点だけが歪んだ時空のように静まり返っている。その手が指し示す「空虚」が、私には何よりも恐ろしかった。
「お待たせいたしました」
店員の声が、張り詰めた糸を切った。
一番乗りのポテト。届いた瞬間の、友人のあの機敏な挙動を、私は生涯忘れないだろう。
友人は、狂ったようにポテトへ塩を叩きつけ始めた。
しかもそれは、食卓にあるべき調味料ではない。厳かに袋に詰められたお清めのための「聖なる塩」だ
大量?
そんな生易しい言葉では到底追いつかない。
降り注ぐ白堆積する白圧殺される黄金
バカげたほどの、狂おしいほどの塩
ポテトはもはや塩を食べるための「添え物」へとその存在理由を塗り替えられていった。
眼前に横たわるのはかつてポテトと呼ばれた塩の結晶の塊だ。
友人はバッグを置き、私を見た
「食べなさい」
拒絶を許さぬその声が、ファミレスの店内に冷たく響く
いや、違うだろう。これはもはや「除霊」ではなく「毒殺」だ。
私は救われる前に、この塩の砂漠で絶命することになる
いやだ 食べたくない
でも…
一心不乱に塩を食べた
なぜか友人も食ってる
ジャリ、ジャリと、本来ポテトが奏でるはずのない硬質な音が店内に響く。
もはや私たちが食べているのはジャガイモではない。神聖な海そのものだ。
気づけば、先ほどまでの恐怖や戸惑いは、強烈な塩分による痺れと共にどこかへ消え去っていた。
「……どう?」
いやまずなにが憑いてたか説明せい!!
私には外国人のヒステリックな霊がついてる
これを言われるのは2回目で
1回目はナイジェリアのヒステリックなババァが
後ろで悪さをしていると言われた
老婆が完全に消え去ったとされる今、私の背後はかつてないほどの静寂に包まれている
私はこれでよかったのでしょうか?
指取れるかと思った




