雪の贄
冬。雪。君の事を思い出して僕は、暗闇に沈むんだ。
冬の雪。
触れたらすぐに溶けてなくなる。
そんな、みんな知ってる事が
そんな、当たり前のことが
僕には受け入れがたくて仕方ない。
あぁ、また君の事を思い出す。
どうしたら君に
また会えるんだろうか。
ある冬。
雪が降るはずだった。
でも、雪は降らない。
このままでは、世界の廻りが壊れてしまう。
世界の廻りが壊れたら
僕たちは、生きていけない。
焦った大人たちは、考えた。
生け贄を捧げよう。
どうしてそんな考えに至るのか。
僕にはわからなかった。
わかりたくもなかった。
そして、選ばれたのが
君だった。
真っ白な雪のように美しい。
雪の中、凛と咲いた華のよう。
どうして君なのか。
どうして僕じゃだめなのか。
今思い出しても、腹が立つ。
大人たちの嗤う声。
君が犠牲になれば。
君一人の命で
この世界はすくわれると。
そして君は、頷いた。
まるで、運命のようだと。
私の生まれた理由だと。
そう言って君は、生け贄となって
姿を消した。
そして僕は、冬が来るたび
君の事を想う。
あの時、どうしていれば良かったのかと。
君の事を
追いかければ良かったのか。
君の事を
探せばよかったのか。
ぐちゃぐちゃした、心
君とは真反対だな。
憎んで、恨んで
真っ黒な僕。
こんなんじゃ
君にもう一度会うことなんて
できないんだ。
そして僕はまた
底のない暗闇に沈んで
君の事を想うんだ。
お読みいただきありがとうございます。
次回作もよろしくお願いします。




