ちょっとお出かけ
ノンちゃんは5才、オママゴトやセーラームーンが好きな年中組の女の子。
だけど苦手な事があるの
笑うこと
ママはいつも言う
「ニッコリして」
お口を横に開いてみるけど、何だか変…
無理にするともっと変…
自分でもわかってるからもうやらない
幼稚園の先生は言う
「楽しいことを頭に思い浮かべてみて」
楽しいことって何だろう?
思い浮かべるって?
ノンちゃんは頭がクラクラしてきた。
わからないことはもう考えない。
ちょっとお出かけしてみよう
テクテク、テクテク
いつもよりもっと遠くへ行きたくなった。
この先には何があるのだろう?
ママは遠くへ行っちゃ駄目って言うけど
少し疲れたので休むことにした。
公園にベンチがあったので座っているとおばあさんが声をかけてきた。
「こんにちは、お名前は?」
「ノンちゃんです」
「可愛いお名前ね」
おばあさんは不思議な感じかした。お隣に座ってぶつぶつ喋っている。
「魔法使いかも」
ノンちゃんは思いきって聞いてみた。
「ノンちゃん、笑うのが苦手なの」
おばあさんはノンちゃんの瞳に話しかけた。
「ほらっ、ママが迎えに来てるよ」
ノンちゃんは満面の笑みでママに抱きついた。
物凄く嬉しかった。そして心が安心した。
ノンちゃんの笑顔にママもつられて笑っていた。
「笑顔って自然に出てくるのね」
いつの間にかおばあさんは消えていた。