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やる気、個人用クルーザーを用意する

 瑞穂の館は電力が通り、問題なく稼働していた。おかげで、館内に設置された海が見える露天風呂もすぐに使用できた。


 日本文化の創作物から得た知識を参照し、入浴の儀式の如く、洗い場で湯を被り身体を清める手順を踏んでから、手足を伸ばせるぐらい広々とした湯船に浸かり、溜まりに溜まった疲れをほぐし、癒しと開放感を堪能する。


 素体を通しての感覚だけど、精神こころが洗われた気分だった。これを何度も繰り返していけば、やがては磨り減ったやる気を取り戻せるだろう。


 なお、専用眼鏡を着用した状態で入浴している。曇り防止と防水処理を施しているので、問題はない。


 風呂上りには、売店コーナーで裸一丁で腰に手を当てコーヒー牛乳なる物も試してみたが、なるほど、これはクセになる。


 売店コーナーの他には、レトロな電子ゲームの筐体やプラスチック製の球を弾き合うスポーツ用のテーブルが備え付けられていた。あとで遊んでみよう。


 この島には現在私一人しか居ないので、専用眼鏡以外なにも着用せずに、このままの姿で活動してもいいのだが、従者が居れば「はしたない」とたしなしつけられただろう。


 瑞穂の館の名前が入った浴衣なる物が用意されていたけれど、拠点作成の続きと探索から帰ってから着ることにして、活動しやすい簡単な衣服を創り出すことにした。


 それが、腰に掛かるくらいの長さがある布製キャミソールとドロワーズ。靴底に厚みのある紐で縛るタイプのサンダル。それだけだ。


 貫頭衣とあまり変わらない姿だけど、パンツも穿いてサンダルも履いてるから、こちらの方がまだ可愛げがある。


 瑞穂の館から外に出て、専用眼鏡に表示された地図を頼りに、港湾とクルージング用の船を創る場所を探した。


 候補地は、最初に降り立った砂浜から西の方角にある入江。砂浜に戻ってから、今度は西に向かって、下草や立ち木に覆われ、起伏に富ん地形にレンガ道や階段を作成しながら数十分ほど。


 歩いたルートの体感としては、大した高低差はなかったと思っていたのだけど、実際はその感覚よりも高い場所に有る岩場へ到着した。


 そこから見下ろした先には、奥に砂浜があり、その両サイドを岩壁で形成されている、波と風の影響が少くなさそうな入り江が在った。


 入り江は、これから創り出すクルージング船が旋回できる広さと深さがありそうで、港を創るのに丁度良さげに感じた。最悪、岩壁と海底を削ればいい。


 拠点作成の項目から選び出し、地形に合った建造物に改造を施して、設置場所を設定して創造する。


「【拠点作成】」


 これもまた、瑞穂の館と同様に、鍵言コマンドを唱えると、目の前に光の線が大量に発生した。


 ただ、前回より大きな建造物だったためなのか、或いは頑強な港湾を選んでしまったためなのか、高速で縦横無尽に走る光の線が大量に発生して眩いほど輝いている。


 辺り一帯を覆っていたまばゆい光が消えるとコンクリートと鋼鉄製の港が、岩壁に食い込んだような感じで出現した。実際、岩壁の中にも建物が侵食して存在している。


 地球型星界のフリー素材を元に、地形に合わせて多少の改造を施している。


 次にクルージング用の船だけど、これに関しては地球型星界より科学技術が発展して宇宙の他星系まで進出できた星界のフリー素材から選んだ。


 恒星間宇宙船の個人用。大気圏内でも飛行できる船で、海上はもちろん海中も航行できる優れモノ。


 大きさは全長百九十メートル、全幅二十五メートル、全高二十メートル、一万八千トンクラスの宙型巡航船クルーザー


 光学兵器はもとより、実弾のレールガンや光子魚雷などの各種兵装付き。


 広範囲な索敵機器が充実しているうえ、電磁防御システムに光学迷彩も完備。


 更に、手動はもちろんのこと、音声認識操縦と思考操縦、自動操縦が可能。


 電磁推進と重力制御装置の使用で海と空で運用可能。推進機関は縮退炉と補助に対消滅機関が二つ。拠点の電源としても使用できる機能を持つ。


 メンテナンスフリーで、船内にはメンテナンス用資材一式と役割に応じた小型ロボットが多数存在していて予備もあり、各自が独立判断しながら作業に当たる。その予備の小型ロボット一体を瑞穂の館施設の保守点検に使用するつもりだ。


 この船は明らかにオーバーテクノロジーの産物だけど、現状で化石燃料の入手が困難なことや個人で操縦できる船がこの辺にしかなかったのだから仕方がない。


 大きさや各種装備兵装から巡洋艦並みの軍艦っぽいが民間船なのだ。カテゴリーもクルーザーになっているから問題なしっ!


「では【恒星間宇宙船・個人用】」


 鍵言を唱える。


 設定をした場所にこれまでと同じように眩い光の線が走り瞬く合間に恒星間宇宙船クルーザーが形作られる。


 そして、先に設置した港湾施設に係留する形で船体が鈍色をした船が出現した。


 突如として、質量有る物体が出現した所為で港湾内の海面が激しく上下している。


 一部、波がコンクリート製の岸壁に乗り上げた場所も見受けられた。


 ここまで、大分MPコストを使用したけどステータス画面上では数値が十分の一も減っていない。


 生活用品や必要な道具や設備を創り出しながら生活しても、しばらくは悠々自適に過ごせる。


 住人たちが神を信じているか判らないけど、祈りによる回復が有るかもしれない。


 己の所業を眺めむふーっと鼻息荒くしてご満悦していると、この島上空に巨大な星界干渉術式法陣が発生した。


 描かれた術式法陣の模様から降臨用のモノだと判る。


「えぇっ、ここで創造者本体の降臨!! もう来ちゃったのっ!?」


 術式法陣は大気中のイオンと反応しているのか放電しながら回転の勢いを増していく。


 それを見て焦る私。逃げるべきか? や、追っ手が創造者だとして、ここで姿を消したところでこんな近場だとすぐに居場所が知られる。


 下手すりゃ顕現後すぐに言い訳する間なく融合実行されて連れ戻されてしまう。


 ……どうしよう?

我が妄想

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