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突然だが、私は死んだ。寿命だったと思う。老衰で死んだ。
問題はその後だ。気づいたら私は神になっていた。色々な知識が神になった瞬間植え付けられたが、どうやら面白そうな人間は死んだタイミングで神や天使などにしてくれるらしい。
という訳で私は神になった。神はその位にもよるが、私の位では世界を1つ任せて貰えるらしい。その世界では自由にできる、という訳だ。
で、私の権能は【想像できたことは創造できる】だ。簡単に言えばこの世界限定ではあるがまさになんでも出来る、といった感じだ。可能性は無限大。まさに神といった権能だ。
で、だ。この世界で何をするか。とりあえずいい感じに生命が住める惑星を創ることにした。私は元人間なので高度な意思疎通が可能な生命体が欲しい。とはいえ自分が全て創ってしまっては面白くない。生命が生きる可能性だけ高めて時間を進めて放置しようと思う。
と思ったが普通に惑星を創っても面白くない。前世ではファンタジー世界が流行っていたので、ここはファンタジーに物理法則を捻じ曲げる力、魔法を導入しようと思う。大まかには火を出したり水を出したりといった具合ではあるが肝心の詳しい法則はどうするか。神の権能のおかげで大雑把でいいとは言えバグがあってはいけない。慎重に考えなくては。
まずは大雑把にどういうものにするか考えていく。やはり魔法と言えば詠唱や魔法陣だろう。巨大な魔法陣は見るだけで面白いからな。詠唱は…そうだな、上手く喋れない生物も多いだろうから必須ではなく、威力の上昇程度にしておこうか。正確に詠唱出来れば出来るほど威力が上がる。ちょうど元の世界、地球では色々な音を声真似するゲームが流行っていた。それと同じような感じで特定の発音を上手く真似出来ればOKという感じにしようか。上昇率は、そうだな、正確性を100%で表して、0~99%正確な時は《元の威力+正確性×1倍》ぐらいでいいか。例えば50%正確なら1+0.5で1.5の威力になる。99%正確で1.99倍。うーん強すぎるかな?分かった。なら《元の威力+正確性×0.5倍》にしよう。さっきまでの半分の上昇値だ。で、99%以上正確な時は《元の威力+正確性×1倍》でいこうと思う。つまり完璧な時は威力が増すってことだな。99%はシビアすぎるか?まあとりあえずはこれでいこう。
となると正しい詠唱を教えてあげる必要と、魔法それぞれに詠唱を設定する必要が出てくるのか。これは一々設定する訳にはいかないから魔法を法則化する必要があるな。例えばよく見る『ファイヤーボール』の魔法なら『熱、光、形とサイズ指定、固定化、加速(正面)』ぐらいな感じかな?熱と光で火を作り出し、形とサイズ指定で球形に形作る。それが崩れないように固定化して前方に射出する。
うーんまあ悪くないんだけど、最初はもっと直感的に魔法が使えないと、知能が低い生き物じゃとてもじゃないけど扱えない。そうだな、例えばその生物がしたいことを読み取ってそれを魔法で再現できる場合は魔法が発動可能とかにするか。うーんでもそれだと勝手に魔法が発動してしまう懸念がある。どうしようか。
困った時のAIちゃん。前世にもあったChatGPT-4oを使えるようにしたので聞いてみることにした。
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動物レベルの知能でも魔法を扱えるようにするためには、いくつかシステムの工夫が考えられます。以下のアイデアを参考にしてみてください。
1. 感情ベースの魔法発動
動物は言葉を使わなくても感情を持っているので、魔法の発動を感情に連動させるシステムはどうでしょうか。たとえば、「恐怖を感じたら防御魔法が発動する」「興奮や攻撃衝動が高まると攻撃魔法が発動する」といった具合です。これにより、動物でも自分の感情に応じて直感的に魔法を扱えるようになります。
2. 本能的な魔法発動
動物の本能に基づいた魔法発動も有効です。たとえば、ある動物が水辺で生きる本能を持っているなら、その動物は自然と水の魔法を使う能力を持つ、といった設定です。環境に適応した本能的な行動が、そのまま魔法のトリガーになることで、複雑な知識や思考を必要とせずに魔法を扱えるようにします。
3. 単純な行動や動作で発動
特定の単純な行動や動作に魔法の発動条件を設定する方法です。たとえば、「特定の方向を向いて吠えると火の玉が出る」「一定のリズムで足を踏み鳴らすと地面が震える」など、直感的な動作を魔法の発動に結びつけます。これにより、動物が自然に行う行動が魔法に転換されます。
4. 魔法の自動フィードバック
動物が試しに魔法を使った際に、それがどのような結果を生むかをフィードバックするシステムを導入します。たとえば、攻撃的な行動をした際に偶然炎を出せた動物が、その結果を「役に立つ」と認識し、次回も同じ行動をとることで魔法が再現されるという学習機能です。こうすることで、少ない知能でも試行錯誤を通じて魔法を習得していくことができます。
5. 生命体に合わせた魔法の種類の自動決定
生物の特性に応じて自動的に魔法が選択されるシステムを組み込むことも考えられます。たとえば、水中に住む生物には水や氷の魔法が自然と備わり、飛翔する生物には風や雷の魔法が備わる、といった形で生物に適した魔法が自動で割り当てられ、動物が意識せずに使えるようにします。
こうした工夫を組み合わせることで、動物の知能レベルでも無理なく魔法を扱えるようにできるのではないでしょうか。
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なるほどなるほど。1,3,5を採用しよう。2の本能で魔法を使うって言うのは本能を弄る必要があるので難しい。4のフィードバックはまあその生物が勝手にやってくれるでしょう。
で、1つずつ考えていく。感情ベースの魔法の発動は身体能力強化にしようと思う。理由はどんな生き物でも腐りずらく、また突然ファイヤーボールとかが出てきても困るであろうという判断だ。
でその3なのだが……うーんどんな生命体が産まれるかによるんだよな。例えば極端な話発声器官や手足がない生き物だとそれらをキーにした魔法が発動できないことになる。そして生き物毎にキーを設定するというのも現実的ではない。ちょっと保留にしよう。
で、5だな。その生命体に触れている物質によって魔法の適正を変化させるとかにするか。水に触れる時間や身体の割合が大きければ水魔法、といった具合だ。でも無意識に使えるようにする、か。じゃあ属性毎に水なら水流操作、空なら気流操作を常時使用するようにするか。でもマグロのように水流と反対方向に泳ぐことで空気を得ている魚もいるし、空なら向かい風の方が高く飛べる。うーんこれも没か?そもそも無意識で使えるというのが難しいのよな。むしろ使える属性を制限するぐらいの気持ちの方がいいのだろうか。水の中なら水系統、地面の近くなら地系統、地面から離れ空を飛ぶようになったら空系統、みたいな感じで系統にあった魔法しか使えない、みたいな。うーん。
という訳で困った時のAIちゃん。悩みを相談してみました。
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発動方法についての悩み、非常に深いですね。いくつかの解決策として考えられるのは次のアイデアです。
1. 状況依存の魔法発動
状況に応じて発動できる魔法を決めるというアイデアをもう少し発展させてみます。たとえば、空中にいる生物は空系統、地面にいる生物は地系統、水中なら水系統の魔法しか発動できないようにし、それぞれの環境に最適な魔法が無意識に選ばれるシステムを導入します。これにより、動物が無意識に適した魔法を使うことができ、なおかつ環境の制約を利用してバランスをとることができます。
2. 属性フィルターと簡易魔法発動
属性に応じたフィルターを設け、特定の条件下でしか魔法が発動しないようにするのも一つの解決策です。たとえば、一定の水分量に触れているときにしか水系統の魔法は使えない、空中でしか風系統の魔法は使えない、といった具合です。これにより、無意識に発動できる魔法を環境によって自動的にフィルターし、生物が使える魔法の範囲を自然に制限します。
3. 生態系に基づいた魔法の使い方
生物が進化してきた環境や習性に応じて魔法の使用法を設定するという方法です。たとえば、空中に飛ぶ生物は自然に風を操ることができるが、地上に降りた瞬間にその能力が制限され、逆に地を歩く生物は風系統の魔法が苦手、といった具合です。これにより、生態系ごとに特化した魔法の使い方ができ、状況に応じた制約が付けられます。
4. 意識的なトリガーを持たせる
動物が意図せず魔法を使いすぎないよう、ある程度の意識的なトリガーを持たせることも考えられます。たとえば、意識して力を集中させない限り強力な魔法は発動しないが、基本的な魔法は無意識に使える、といった設定にすると、魔法の乱用を防ぎながらバランスを保つことができます。
5. 魔力リソースの自然制限
魔力というリソースを持たせ、無意識で使える量を限界に設定するのも効果的です。無意識の魔法は少量の魔力しか消費できず、強力な魔法や持続的な効果を得るには意識的に魔力を引き出さなければならない、というシステムです。こうすることで、無意識での魔法発動が暴走するのを防ぎつつ、生き物が自然に魔法を使えるようになります。
このように、魔法の発動に少しだけ制約やリソースを加えることで、バランスを保ちながらも自由な魔法のシステムを構築できるのではないでしょうか。
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1つずつ確認していく。まず、5の魔力による制限は元々考えていた。無制限に魔法を使われたら困るので。
で、1~4なのだが、特定の条件下で魔法が発動するというのはとても興味深い。水属性なら一定以上の水に触れなければならない。空属性なら空中に浮かんでなければならない。地属性なら逆に地面に触れてなければならない、といった具合だ。
あと特定の条件というので思いつくのは捕食時だ。例えば獲物を狙う時に少し身体能力強化や、逆に逃げる時や隠れる時に補正をかけるなど。魔法を捕食と絡めることで条件を達成しやすくする。いい案ではないか?
よし、この路線で進めていこう。
そうだな、捕食時に身体能力強化を入れるとして倍率は…そうだな、とりあえず1.1倍ぐらいで行くか。計算式は《身体能力+元々の身体能力×0.1倍》という感じにしようか。身体能力というのは他の魔法などで補正が入っても式が崩れないという意味で、その身体能力に元々の身体能力の0.1倍を足すことで結果的に1.1倍にする…のだがバグに気がついてしまった。これでは式が無限ループして無限に身体能力が上がってしまう。
では単に効果としては《捕食時、元々の身体能力の0.1倍を足す。効果は重複せず、効果が終わる前に再度発動した場合は効果時間がリセットされる》という風にするか。まあつまり計算方式から遊○王のように文字で効果を指定する方式に変更した。これはバグや不具合の温床になりそうではあるが、文字で効果を指定するのは便利で良い。これからはできる限り数字で効果を設定し、それが無理な場合や補足が必要な場合は文字を書き加えようと思う。
で、後は被捕食者側のスキルだな。《生命の危機を感じた時、元々の身体能力の0.1倍を足す。効果は重複せず、効果が終わる前に再度発動した場合は効果時間がリセットされる》というのを設定しようと思う。後は隠れる時であるが匂いや音を軽減するとか色々考えられるが、これは捕食者側も使えてしまう魔法になってしまうし、隠れ方だって千差万別だからとりあえずは無しでいこう。
で、後問題なのが効果時間と使用魔力だな。そのためには空気中に漂う魔素と身体の中にある魔力の詳しい設定が必要だ。イメージとしては魔素を身体に取り込んで魔力にし、魔力を使って魔法を使うという感じなのだが。やはり空気中の魔素を好き勝手使われては大規模魔法が打ち放題になってしまうので、身体というフィルターを通さないと魔法が使えないという設定にしようと思う。うーんなんか問題がありそうな設定であるな。ある程度の知能があれば魔素を魔力に変換する装置とか作られてしまいそうではある。そしたら大規模魔法打ち放題時代の幕開けだ。
なので魔素というものを少し工夫する必要があるように思う。例えば電子のように原子核の周りを回っていて、何かが起こると原子から魔素が離れて魔法が使える…とか。うーん。
ここは思考を変えて、魔力は外付けするものという風に決めてしまうというのはどうだろう。どういうことかと言うと、魔素というのは存在せず、神である私が与えるものという風にしてしまうのだ。ファイヤーボールで例えてみよう。生物がファイヤーボールを使いたいなって思ったとしたら私の権能を経由してファイヤーボールが具現化される。そして発動した魔法に応じて内部数値である魔力が減少する。魔力とはただの数字でしかないが、それがないと魔法は発動できない。魔法とはまさに神の御業という訳だ。
であるなら、こういう権能の使い方はどうだろう。《この世界に生きている生物は私の権能が限定的に使える。私の権能を使う時、その現象の実現可能性に基づき使用魔力量が決定される。実現可能性とはどれだけ物理法則が乱れていないか、理論が乱れていないか、ということである。》としてみようか。つまり使いたい事象が地球で起こせるなら魔力の消費も少なくて済むし、逆に物理法則を捻じ曲げる必要があるならその度合いに応じて必要魔力量が変わってくる、という訳だ。さらにここに追加して発現する魔法の理論が乱れていないかは発動者の理解と実際の法則が乱れていないか比較しよう。いや待て。それでは必要魔力量を比較するだけで世界の真理に近づけてしまう。どういうことかというと同じ魔法を発動しても使用者の理解がAの時は使用魔力が10、理解がBの時は15とかだとAの方が正しいのかと簡単に分かってしまうということだ。
やはり使用者の理解ではなく、起こしたい事象の実現可能性に基づいて魔力量を決定すべきだな。そしてそれだと核爆弾とかが魔力量が少なく済んでしまうので、使用者の周囲の環境から魔法で捻じ曲げるほど魔力量がかかるという風にするか。爆発とかを制限するためだな。
で、後魔法の発動位置についても制限を加えよう。魔法は自分から1m圏内でしか発動できないという風にするか。またファイヤーボールで例えるが、ファイヤーボールなら自分の1m圏内で発動し、そこから射出するという形だな。
あと、自分以外の体内で魔法を発動するのを抑制するために《自身から、自身の大きさ(m)×0.01mの範囲において他人は魔法発動不可》という設定を加えよう。例えば1mの大きさの生物なら体表から1cmの範囲は他人は魔法が発動できないという訳だ。発動できないだけで射出された魔法の無効化などはできない。まあ体内で爆発とかさせてお手軽に殺すのを防ぐためだけにつくった法則ではある。
よし。とりあえずこんなものでいいか?詠唱やら魔法陣やらは後で考えるとして、ここまでで何か不具合がないかAIに聞いてみよう。