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アフターストーリー・ローラ

 "王級"の魔物に襲われるという未曾有の出来事にありながら、奇跡的に死者は出なかった帝立騎士学校。


 さりとて、帝校としてはすぐさま通常運転というわけにはいかない。皇族が関与していた事情もあり、処理や火消しに追われていた。


 ゆえに暫くの間は午前に座学のみとなり、実技は無期限の停止という判断を下した。


 そのような状況もあって、シャルティはローラとともに午後の空き時間で剣技の自主訓練をしていた。


 これはそんなうら若き少女たちの一コマ。


「はぁ……はぁ……ダメっ、全っ然わかんないよー」

「分からなくても大丈夫です! 体が覚えるまで叩き込みましょうローラっ!」

「こんな体育会系のシャルシャルはシャルシャルじゃないよー」


 通り雨に打たれたかと錯覚するほど全身を汗で濡らしたローラが剣を落とし地面に座り込む。

 

 魔圏での力不足、そして一度でも友を、いや共に育った家族を見捨てたことを恥じたローラから言い出したこの自主訓練。


 強くなるために父親のガッツに相談するとカインを頼れと言われ、そのカインにはシャルティと切磋琢磨しろとたらい回しにされ今に至る。


 最初は馬鹿にされているのかもと思ったが、同い年のシャルティと剣を交えることは学びが多いことに気づいた。


 筋力はローラとさほど変わらず、しかしその剣速は帝校の教師たちとも遜色ない。


 その要因が体の柔軟性によるものだと気づいたのは訓練を初めてすぐ。しかしどうしてもシャルティの言ってることは分からない。


 しっかり者のように見えて意外と雑でポンコツなシャルティ。教えるのも実は下手くそであった。


 ローラは体が鉛のように重くなるのを自覚する。


 既に陽は傾き茜空が二人を照らしている。


「相手の踏み込みでどこから斬られるかなんてわかんないって……前髪もベタベタしてるしもう帰ってお風呂入ろーよー」

「髪型を気にする余裕がまだあるんですねローラ。ではもう少しだけ打ち込みを強くしましょうか!」

「ウソウソ! 前髪なんて気になってません! もう動けませんシャルシャル先生……っ!」

「さあ! 倒れていても敵は容赦してくれませんよっ」

「ギャー!? シャルシャルの鬼! 悪魔! ファザコン!!」

「ファザコンじゃない! 父親思いなだけっ!」

「だからそれがーー」


 ローラの悪態に顔を真っ赤に染めたシャルティが大きく振りかぶって斬りかかる。


 二人の特訓は陽が沈むまで終わらなかった。


「あ"ー……生き返る〜」

「もうっ! ローラったらお父様みたいな声出して」

「ん〜? シャルシャルってば、どーしてカインパパのお風呂で出す声なんて知っているのかにゃ〜? 帝校五年生にもなってまだパパとお風呂入ってるんでちゅか〜」


 特訓でやられたことの意趣返しをするローラ。顎先まで湯船に浸かってニマニマしながらシャルティを揶揄う。


 他方でシャルティは洗い場で体を泡まみれにしながらキッと眦を吊り上げ反論する。


「入ってないもん! 帝校に進学した時が最後だもん!」

「おっとおっと〜、口調が乱れてるよシャルシャル〜。カインパパとお風呂入れなくなって寂しいのかにゃ〜??」

「……ち、違います。ローラが急に変なこといいだすからビックリしただけです……!」

「……筋金入りのファザコンだ」

「もうっ! 知りませんっ!!」


 揶揄いすぎたようでプイっと顔を戻し髪を洗い始める。母親譲りの長い金髪を大事にしているシャルティは髪のお手入れに心血を注いでいる。


 それをよく分かっているローラは湯船から立ち上がり、髪を肩から前に流しコンディショナーを丁寧に塗りこんでいるシャルティの背後をとる!


「ごめんねシャルシャル〜。からかいすぎちゃった! お詫びにおっぱいマッサージしてあげるからゆっくり髪のお手入れするといいよ! ……でへへ」

「ひゃん……っ!? ローラぁ……あんっ」


 グワっと後ろからシャルティの双丘を鷲掴みにし縦横無尽に揉みしだく。ボディソープが体に付いていたのもあり滑りも良く、シャルティは下唇を噛んで声が出るのを我慢する。


 そしてその魔の手が丘の頂上を掠めると、


「んっ、そこ……はっ」


 シャルティの瞳が濡れ始める。


「えへへへ〜。こうして揉んでるおかげかな? ちょっと大きくなってるね! あたし調べだけど」


 調子に乗ったローラがいよいよ下半身に手を伸ばし始めると、


「もう! やりすぎですよ! こうなったら私だって!」


 シャルティ反転攻勢へ。


 ローラの慎ましい胸を両手で掴む!


 ……というよりも押し付ける程度だが。


「んふっ♡ たまには責められるのもいいかも……」

「ちょっと、変な声出さないでよ!」

「……え、それシャルシャルが言うの??」


 こうしてカインに怒られるまで浴槽で戯れ合う二人であった。

お読みいただき、ありがとうございます!


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よろしくお願いします!!

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