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【2部完結!】親馬鹿奮闘記!〜最強親父、娘たちが可愛すぎて常識を蒸発させる〜  作者: 美貴
第四章 てめぇらに武器を使うのは贅沢ってもんだ……!
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「しかし一体どこから探しますの? 北口から出たとはいえ、帝都は広いですわよ?」


 宮殿から脱走したリップルは、人通りのない帝都――北大通りを走りながら横のレイラに問いかける。


「とりあえず手分けして探しましょうか。幸い人は少ないのでシャルティの金髪は目立つと思いますし」


 言いながら北に向かって足を進めていると、ある老人に呼び止められた。


「――こら! レイラの嬢ちゃん! まだカインの若造は屋根を直さないよ! ギルドは何やってるんだい!」

「キュイソン様……!」


 帝都北区の妖怪――キュイソンが呼び止めた本人だった。


「申し訳ありません……! クレームの受付はまた今度でお願いします! いまはシャルティを探しておりまして……っ!」

「シャルティちゃん? それならさっき紫色の髪をした娘っ子を連れて酒屋に入っていくのを見たよ。ついにあの子も非行に走っちまって……。これもカインの育て方が悪いのかねぇ」


 これまた思いもよらない情報だった。


「シャルティを見たんですか? その店はどこに……っ?」

「あ、ああ。あっちの方だけど――」


 キュイソンを問い詰めたレイラはリップルとキュイソンを連れてその酒屋に向かうが、


「――いない。お茶も冷めてる。何か焦っていた? いえ、これは連れ去られたの……?」

「場末の酒屋……にしては些か違和感を覚えますわね。在庫は無く、看板もない」


 レイラとリップルが訝しんでいると、机にこぼれたお茶を嗅いでいたキュイソンが、


「ふぅむ。こらぁ『夢幻(むげん)(こう)』を盛られたね。嬢ちゃん。これはれっきとした誘拐さね……!」

「『夢幻香』ですか?」

「――今は高説垂れてる場合じゃあないよ。この店の主人は朴訥な老人でね、西区の酒場にしか酒を卸してない。考えられるのはそこだけど……」

「行きましょう! 今は少しでも足取りを辿らないと……っ!」

「お嬢ちゃんたちだけで行きな。あたしゃぁギルドに行ってエルキュールにお灸を据えてくるさね」

「――お願いします!」

「それではわたくしは一度屋敷へ戻って、わが家の私兵を動かします。あなたは引き続き西区で捜索をお願いいたしますわ」


 そうしてカインとシャルティが紡いできた〝(えにし)〟によって、魔物が迫っているという非常事態にも関わらずフォグガーデン家の私兵が動いた。

 もちろん事態を掌握し顔中脂汗をかき、青白い顔をしたエルキュールが陣頭指揮につき、数多の冒険者ギルド職員も捜索に駆り出された。


 キュイソンの言う酒場に行くと、連れ去ったと思わしき老人が馬車の幌を黒色から茶色に変えたことが分かった。その情報を基にギルド職員が聞き込みを行う。そして統率の取れた捜索はフォグガーデン家の私兵が、縦横無尽に駆け回る。


 幸い魔物の襲来によって人通りが少ないこともあって、馬車の目撃情報は少ないながらも確固たる信頼性のものばかりであった。

 そして西区の端、所謂スラム街の一角。

 帝都を取り囲む城壁のすぐそばの廃墟で馬車を見たという証言を最後に、目撃情報は途切れた。よって全勢力でその周辺を捜索。すると外見は浸食によって古びているのに、内装が堅固な建物を発見した。


 その一報を耳にしたレイラとリップル。

 職員や私兵が、安全が確認できていないのを理由に制止してくるのを振り切り、地下に続く道を駆け抜ける。そしていくつかのドアを蹴破り人の気配がする部屋に突入し、


「――平民のシャルティさん……! まだ淑女たる品位はお持ちでいらっしゃるっ?」


 リップルが、


「シャルティ! 遅れてごめんなさい! 無事なの……ッ?」


 レイラがシャルティの安否を確認する。


 このような経緯を経て、二人がシャルティの姿を認め、誘拐した一味と思われる男たちと交戦していると、


 ――屋根が落ちてきた。

お読みいただき、ありがとうございます!


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