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雪山

作者: きなこともちお

「来週卒業だね。」

「そうだな。おめでとう。」

「ちょっと早くない?まだ、高校生なんだけど。」

「それもあと一週間だろ。」

そうだね、貴方と会えるのもあと一週間

こうやって、勉強のこと以外で話をするのが何よりも嬉しかったし楽しかった

梅雨が終わる前に前に言おう

夏休み入る前に言おう

あの木の紅葉が終わる前に言おう

文化祭が終わる前に言おう

年が開ける前に言おう

受験が終わる前に言おう

明日雪が降ったら、なんて

そうやって何度も何度も、やればよかったと誰にも言えない失敗を重ねてきた

そこにある後悔はきっと使い終わった参考書を遥かに超える高さになる

「寮に入るんだっけ。」

「うん。家から遠いからね。」

だからもう、偶然会うなんてこともない

「寮生活って大変だって大学の頃の友達が言ってたわ。頑張れよ。」

「ありがとう。ま、私は自分のことは自分でできるし。」

「確かに。なんだかんだ言って自分でできてたよな。委員会やったときも、修学旅行のときも。」

「まあね。」

貴方の横に並ぶ方法が分からなくて、精一杯の背伸びをしていただけ

「思い返すと、沢山勉強教えてもらったね。改めてありがとうございました。」

「どういたしまして、というか仕事だからな。」

分かってる

「そうだよね。でも、ありがとう。」

一緒に過ごせて幸せだった

「何か寂しくなっちゃった。もう終わりか。」

貴方と過ごしたこの場所を離れること、

「結構キツイな。あっさり卒業できると思ってたんだけどな。」

そうもいかなくなっちゃったし、でも幸せで、

「良い思い出が有りすぎる。」

そう軽く笑いながら言うと、貴方は

「いいことじゃないか。クラスの奴らとも楽しそうだったし。」

あれは貴方に、笑顔でいるところを知ってほしくて

そうやってたときなのに

「そうだね、良い人たちと出会ったよ。」

すると下校のチャイムが鳴る

「お、チャイム。気を付けて帰れよ。ていうか、卒業間近でもこうやって学校来るやついないぞ。」

そうだよね、みんな輝かしい大学生活を待ってるんだもんね

「悪い?」

「別に。ただ、他にも会いたいやつとかいないのかってこと。」

いるはずないじゃん

「大丈夫、明日友達と遊ぶから。」

「明日寒くなるらしいって。」

「マジで?どうしよう。」

見せてくれた画面には季節外れの寒さと書かれた文字と、日本列島の天気が映し出されていた

「富士山に引っ越したいかも。」

「いきなりだな。」

だって、

明日なら、雪が絶対に降ってくれるから


一部はノンフィクション

殆どはフィクション

青いって多分こういうこと

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