勇者もふもふ信仰
吾輩は勇者。名は無きにしも非ず。失敬。ここでは勇者もふもふと名乗っておこう。吾輩のスキルは全身のもふもふを尖らせ相手を貫く「ハリセンボン」であるからして。うかつに触ると毒もまわるぞ。気をつけるがいい。
「ふっふっふ、えらく丸い勇者だこと。お前なぞ手毬にしてやるわ!」
魔女に出くわした。愚か者め。吾輩を誰だと心得ている。魔王のひ孫であるぞ。
「えーい、えーい」
「や。止めるのだ魔女! 吾輩で遊ぶでない!」
吾輩は全身の毛を逆立てた。「ハリセンボン」のスキルを使ったのだ。魔女は吾輩を放り捨ててその場から消えていった。なんて失礼な奴だ。
――そんな吾輩の正式名称はシマエナガ。北海道に拠点を置いている。もふもふだからって舐めるでないぞ。綿飴のように甘くは無いのだ。今年の北海道の暑さは太陽という魔王のせいであるからして。そろそろ吾輩は勇者もふもふになろうと思い立ったのだ。
白くて雪のよな吾輩を見て涼むがよい。迷える人の子たちよ。そして崇めよ、もふもふを。いや、シマエナガを!!
シマエナガが好き!