やおまん、転生する
序
2019年4月1日の朝、俺は転生した。
午前11時30分の新元号の発表を待たずして、異世界へ旅立ったのだ。
その日の俺は、学校に10冊以上ある教科書とかいう時代遅れな代物を
取りに家を出た。そこまでは完璧だった。そのあとが厄介だった。
ツイッターで流行りのvtuberのツイートを見ながらニヤニヤしていた。
「やおまんっ!危ないっ!」
えっ
いぬ、くるま、
ひかれる、
たすけないと、
キーッ、ドンッ
俺は犬を抱きしめて、逝った。
破
クゥーン
ハッハッハッ
うぅ、なんだ犬か…
どうした、お腹すいたのか…?
そういえば…
ゴソゴソと、教科書を入れるために背負っていたnorthface
のカバンを開ける、あった、カロリーメイトだ。
ほら、これ…
犬はうれしそうにカロリーメイトを食べている
おまえ、ひかれそうになってた、犬か?
ワンッ
そうか、おまえも…
ここは死後の世界なのか…
ということは神様か何かがいるかもしれない
とりあえず探してみないと何もわからない
お腹が減ってきた、
朝ごはんのカロリーメイトはこの犬にあげちまったし
リンゴか何かを探さねば
まったく、死ぬのも楽じゃないんだな
死なないとわからないことだ
急
大賢者「神様、転生者が現れました」
神様「え、転生者?」
大賢者「解、犬と一緒に転生しました」
神様「犬?あぁ、はいはいはい、アレね
くるまにひかれそうになったのを助けたら死んだ的な?」
大賢者「解、通常であれば、犬は助かります」
神様「んー、そうだよね、そうだよね、犬は助かるよね
普通はね、んー」
大賢者「神様、どうしますか?」
神様「まぁ、普通はね、ここに来た記憶を消して、
元の世界に戻すのがセオリー通りだよね、うん」
大賢者「解、輪廻転生ですね」
神様「そうそうそう、輪廻転生
ここは存在しないということになってるからね、うん、
やっぱどうしてもね、ほら、完全なシステムなんてないじゃん、
やっぱ最後はどうしても神様の手がね、必要じゃん、うん、
でもなぁ、なんかひっかかるなぁ」
大賢者「神様、何がひっかかるのですか?」
神様「いやね、ほら、おかしいんだよね、
転生してきてさ、真っ先に神様のところに向かってくるのがさ、
なんか怖いよね、うん、アイツ、本当にただの転生者なのかなぁ」
大賢者「と言いますと?」
神様「うん、だからね、殺すの」