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七話 初めまして

「もー、着替えていてほしいってちゃんと言ったのにー!」

「すいません」


廊下で怒られているのはもちろん俺である。子ども達を起こしに行って、迎えに来たら着替えもせずに窓の外を見ているのだから当然だが。


「確かに、珍しいかもしれないのですがまずは着替えてからにするのですよ?」

「反省してます……」

「ならいいのですよぉ。さ、ここが食堂になるのですよー! あ、中にはもう子ども達がいますので……」

「了解。ま、驚かないようにするよ」


 しょんぼりと肩を落として歩く俺を横目で見ていたリーフィさんはにっこり笑って頷くと、大きな扉の前で立ち止まって小声で注意をしてきた。


 もちろん、覚悟は出来ているので笑って頷く。それに合わせてリーフィさんも頷くとゆっくりと扉を開けていった。


 食堂にいたのは厨房にいる人含めて三人。広さの割に少ないのでなんだか寂しい気分にさせられる。ーーーが、俺はそんな事よりもこちらを不思議そうな顔で見ている二人の子どもに笑顔を向ける事に集中していた。


「だれ……?」

「……たぶん、リーフィさんが言っていた新しい家族」

「もー、フィーお姉さんって呼んでほしいのですよノノちゃん! そして大当たりなのですよ、この人が新しい仲間の龍君なのです!」


 小さめのテーブルに座っていたのは燃えるような紅い髪を後ろで一つにまとめ上げて切れ長の目で俺を睨むようにしている見ている『ノノ』と呼ばれた女の子と、その膝に乗って俺の視線から逃げようとしている、人間の顔もったイモムシーーー写真で見た『ルナ』ちゃんであった。


「二人とも初めまして。西京 龍だ。これからよろしくな?」

「最強の……龍?」


 にっこり笑って挨拶をするも、ノノちゃんが俺の名前を聞いた瞬間、信じられないといった表情で俺を見てくる。……ルナちゃんは相変わらずノノちゃんの胸元に顔を埋めて目も合わせてくれないが。


「ほら二人ともご挨拶はどうしたんです?」

 

 にこにこしながら俺たちのやりとりを見ていたリーフィさんは二人に声をかけ自己紹介するように促す。

 

「……はじめまして。ノノ・ドラゴニアです」


 俺から一切目を離さず、ずっと睨んでくるノノちゃん。……俺、なんかしたかな?めっちゃ怖いんですが。というかこの子も何かのハーフなんだろうか、特に可笑しなところは見当たらないが。


「ほら、ルナもご挨拶を。大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげるから」

「……ルナ・モービット……」


 ちらりと俺を見たルナちゃんはすぐにノノちゃんの胸元に顔を埋めていやいやと顔擦り付けている。それをよしよしと頭を撫でて宥めるノノちゃんを見て、なかなか警戒されているなあと改めて思う。


「あら、ちゃんと挨拶出来たのね。偉いわ二人とも」


 そんな中、俺の頭上から野太くも優しい声が食堂に響いた。


「……このくらい、私もルナもできる」

「そうなのですよ、ナナシは二人を子ども扱いしすぎなのですよー」

「ふふ、ごめんなさいね? えっと、龍君……だったわよね? そんなとこにいつまでも立ってないで早く席に着きなさいな」


 振り返って声の主を確認すると高身長でガタイがよく、長い髪を後ろで纏め頭巾で覆ったエプロン姿のイケメンがいた。だが、その顔には化粧が施されており、中性的な顔立ちもあって声を聞かなければどちらかわからないくらいだ。それになかなか妖艶な雰囲気を醸し出している。


「あ、はい!」

「そんなに緊張しなくてもいいわよ? あ、私はナナシ。ここで料理長をしているわ。お腹空いたらここにいらっしゃい、何か作ってあげる」


 俺が慌てて席に着いたのが面白かったのか、くすくすと笑いながら肩をぽんと叩いてくれた。なんだろう、男の人なのにドキドキするっ!

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