十一話 もふもふ
「ああああ!! 目が、目がぁぁぁぁぁ!!」
「……お前よう、転移陣は起動するときめっちゃ光るんだから肉眼で見んなよ」
未だ視界が戻らなくて転げ回る俺に対して、呆れたようにキースさんが注意してきた。そういうの早く言ってくれない!?
「ぬおぉ……めっちゃ目がしぱしぱする……!!」
「なにしてんだー?」
「あの、大丈夫ですか?」
「え、え、誰?」
溢れる涙を拭いながら目を擦っていると、自分のすぐ近くから知らない声が聞こえた。
「おう、おはようだなアメネにシイナ。わりいな、どうやら転移陣を直視しちまったらしいんだわ」
「おはようございます、キースさん。まあ、それは……」
「おはー! ぴかぴかできれーだからな! アメネにはわかるぞ!」
「おう、だけど見たらこいつみたいになるから気をつけろよ?」
「あーい!」
ちょっと! 俺ほっといて楽しそうに話さないでくれる!?
どうやら転移してきた親子らしいが未だ視界がぼやけて……あれ、なんだこの黒い塊? もしかして失明……?
「だいじょうかー?」
「ああ、ありがとね……まだちょっとよく見えないんだ」
「はなは? はなはぶじなのか!?」
「え、ああうん。鼻は大丈夫だよ……?」
「ならよかったな! はながぶじならだいじょうぶだ!」
何故に鼻の心配? そんな事を考えがら目をマッサージしていると、ようやくぼやけた視界が治った。
「失礼しまし……」
「おかあさんおなかすいた!」
「さっき食べたでしょ? もう」
そうして俺は顔を上げるとまた黒い塊が。あれ、おかしいな、治ったと思ったのに。
しかし、先ほど俺に喋りかけてくれた声は目の前の黒い塊……いや、黒い毛玉から聞こえていた。
「なあ、おじさんだれ?」
そういって俺の顔をのぞき込んでくる黒毛玉に俺は圧倒される。
「どーした?」
顔は人間寄りなのか、あまり口や鼻が出ておらず顔の輪郭はふっくらと丸みが帯びていた。その中できらきらと光る人懐っこそうな瞳がじっと俺を見ていた。
また、銀色に輝く髪は腰まで伸びており、肩甲骨辺りで纏められていた。魔方陣の光を跳ね返すように輝いていて、とても綺麗だった。
「なあなあキース。このおじちゃんはどーしたんだ?」
「さあな、俺にもわからねえよ。おい、どうし」
そして全身を艶やかなでありながら見ただけでふわふわだとわかる漆黒の毛で覆われていた。一目見ただけで人外とわかる風体だ。
だが、正直に言おう。
「めっちゃ可愛い……」
「んんっ!?」
「おー、みるめあんなおっさん!」
「むっ」
この子が化け物だって? この世界の人間は目がおかしいんじゃないか?




