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試験という恐怖

作者: さとー

 今日も部活に行く時間だ、体操着を出しに行こうとロッカーへ向かった。ふと教室の後ろ側の黒板が目に入る。張り紙が……「試験範囲」

 私は、恐怖に駆られ、席に静かに戻り、隣に座っている友人に声をかけた。「なぁ長谷川、後ろに試験範囲とか書いてあるんだけど俺疲れてるんだよな」「後二週間だからな」「それはどういう…」「だから中間試験まで二週間だろ」長谷川は当たり前だと言わんばかりの落ち着きで言い放った。

 

 高校に入学していろいろあったが忘れていた。高校にも試験があることを。外は6月に入ったばかりの清々しい青空が広がる。こんな日に試験に気付いてしまうとは。


 部活を終えると急いで家に戻り、教科書を広げるやはりさっぱり分からない。入試が終わって気が抜けたせいか…いや前から勉強が苦手だった。何か作戦を立てなければ。


 携帯で長谷川にかけた。「もしもし、長谷川?」

「どうした?」「試験どうしたら良い?」「社会とか覚えるだけの科目から勉強したら良いんじゃないか?」「流石長谷川ありがとう」


 社会の試験範囲をメモした紙をカバンから取り出した。しわくちゃになっている、どうやら試験に対する恐怖から無意識に握りしめてしまっていたようだ。


 数ヶ月前を思い出す、生まれてこの方、親戚や親兄弟から、「将来は期待できないな」と言われ続け小学校は中学を通じて「良く卒業できたね」と言われる成績を修めていたので「これはヤバい」と焦った両親に塾に放り込まれた。私にとっては恐怖の世界で、毎日のように、漢字や英単語をお経を書き写すように練習させられた。


 その後しばらく教科書とにらみ合いをしたが、いつのまにか意識不明に陥り、目を覚ますと夕飯の時間だった。


 翌日の昼休み、弁当を食べながら友人と試験対策を話しあう事にした。中学時代からの友人平井が話しだした「ここは試験で0点を取るしか」「いや普通に勉強しろよ」そう言って、長谷川はペットボトルの茶をすすったまるでさも当然だと言いたげだ。

これには平井がしっかり対策した。手を体の前で握りしめて「勉強はできない、一方で試験には出席しなけりゃあならない。これを両立するにはこうするしかない!」長谷川はしばらくぽかんとした後「お前らっていつもこうなのか?」と聞いてきた「そのとうりだ。」と私が続けるとため息をついていた。


 とりあえず私の家で勉強会を開催する事にして、3人で下校している。道の横には黄緑色の草が伸びて風に揺られている。ポツポツ丸い綿のような雲も風に押されてゆっくりころがっていた。

 

 狭い教科書や読みかけの漫画が放ってある六畳の部屋で社会を勉強する事になった。居間から持ってきた黒いちゃぶ台に教科書を広げ「じゃあまず地理から」長谷川が地図帳を見ながら言った。問題集の白地図を差しながら「この国は?」私は「日本?」平井も「どうみても日本だろ」長谷川は何か恐ろしい物でも見たような顔で「これはニュージーランドだろ」とつぶやき、重苦しい空気が辺りを支配ささた。


 そんなこんなで時は過ぎ 


 試験当日、一限から試験、科目は数学、当然対策は出来なかった。ここは睡眠を取り、最後の4限にある社会にかける!!……


 目が覚めた「よく寝られな・・」と長谷川「昔から寝るのは得意なんだ」「誉めてねぇ、そういえば昼飯どうする?」「4限は?」「もう終わってる」

こうして今回も0点だった。

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