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第8話 生徒会との対決

 入学式が終わり、日曜も特に何も無く終わり、また月曜が始まった。いつも通り部活が終わり、いつも通り授業が進み、そして昼休みが来た。今日も酢好と雑談し、何葉が一方的にイチャイチャしてきて、砂塔を見つめるだけの昼休みが過ぎるはずだった。はずだったのだが。


「三年七組九番、鷹端愛輝!今すぐ生徒会室に来なさい」


 突然ガラガラと騒がしい音を立てて開いた扉。その向こうには生徒会の第二副会長の『衣更着きさらぎ』がいた。最初は自分の名前を呼ばれたことに全然気付かなかった。だが、


「おい、鷹端。呼ばれてんぞ。お前、なんかしたのかよ」


 という酢好の声でようやく気付いた。自分が生徒会室に?何故だ?そんなことを考えていると、いつの間にか衣更着はどこかに行ってしまった。まずいことになったんじゃないのか。


「どうしたの?愛輝くん…何やらかしたの~?」


 何葉がニヤニヤしながら訊いてくる。笑う所じゃないと思うのだが…そして、もう一人。


「鷹端先輩!あなたを悪者扱いする人は私が許しません!」


「だから何でお前は三年のクラスにいるんだよ!きどり!」


「きどりじゃないです!おうとりです!」


 黄鳥湖取(おうとりことり)。入学式の日に助けた一年女子の名前だ。あれ以来、どうやら鷹端に惚れ込んだらしく、授業以外の時はやたらに付きまとってくるようになった。最初は後輩に慕われるというのに優越感を得ていたが、徐々に鬱陶しくなってきた。毎回休み時間に来られたんじゃ困る。それに、彼女は偽りの眼と偽りの手の存在を知ってしまっている。一緒にいさせてくれないとバラすという、恐ろしい脅し文句のせいで、離れることは出来ない。用途を知られてないのが不幸中の幸いだ。まあ、可愛いから許せるのだが。


「やっぱ愛輝くんってロリコンだよね」


「やかましいわ」


「そんなことより…早く行った方がいいんじゃない?」


 声の主の方を振り向くと、そこには砂塔がいた。興奮しそうになるが、それを必死に抑え、鷹端は椅子から立ち上がる。


「ああ、そうだな。行くか…」


 精一杯賢者のフリをして言う。せっかく話しかけてくれたのだからもっと話したい所だが、今はそれどころでは無い。むしろ、結構まずい状況だ。本当に心当たりが無い…いや、心当たりと言えば、恐らく何者かに一生懸命一人で走り回ったり跳んだり手を振り回している滑稽な図を見られたぐらいだ。ぐらいって…


「ぜってぇ変人だと思われただろ…それ…ただの変質者じゃねぇか…!」


「え?何の話?」


「あ…いや、こっちの話」


 何葉が首を傾げるので、鷹端は慌てて否定する。つい、声に出てしまったようだ。そんな変な人間を見たら、自分だって変人にしか見えない。物凄く恥ずかしくなる。まずい…自分のこの学校の体裁が保てなくなる。早く行って早く戻ろう。広まらないように…誰にも知られないように…


 生徒会室の扉の前に辿り着いた。三年のクラスから第二校舎のここまではかなり長い。そして、その長い道の間にいつの間にか沢山の人が来ていた。鷹端は勿論、何故か酢好、何葉、黄鳥まで付いてきていた。そして、地味に皆美もいた。鷹端以外誰も気付いていないようだが。


「よし…入るぞ…」


「大丈夫だよ、愛輝くん。私達が付いてる!」


「お前たちがいるから嫌なんだが…」


 もしも自分が変人として訴えられていたなら、それを彼らに聞かれたら…確実に引かれて、もう関わってもらえない。その噂はたちまち広がり、砂塔にも広まり…これで学園生活はTHE ENDだ。めでたしめでたしだ。これにて完結だ。


「何やってんだよ、さっさと入ろうぜ」


 酢好が楽しそうに言う。「ふざけんな」と呟きながら、鷹端は引き戸を開く。


 そこには…既に生徒会の面々が揃っていた。さっき来た衣更着、そして、第一副会長の煌眼着(きらめき)、会長の皇羅着(すめらぎ)がいた。会計と書記はどうやらいないようだ。会長と副会長は全員女子。そして、三年生。生意気そうにソファーに座っている。


 生徒会…恐らく五月雨中で最も恐れられている存在。きっと、教師よりも。二年前までは生徒会は別に恐れられてはいなかった。というか、そもそも何の仕事をしているか知っている者は全然おらず、酷い時は存在すら忘れられているぐらいだった。だが、去年からそれは変わった。衣更着、煌眼着、皇羅着の三人組。彼女らが就任し、変わった。異常なまでに校則に厳しく、少しでも校則を破れば厳しい罰が下る。そして、罰の内容も尋常じゃなく厳しい。この罰を受けた者は九分九厘校則を破ることは無くなる。それ程。この生徒会のおかげで、学校からはかなり校則違反者が減った。そして、皆からは嫌われた。先生からも。何故なら、彼女らは教師にも意見するからだ。優等生すぎて劣等生。だが、そんなことはお構いなしに彼女らは校則違反者を取り締まり続ける。


「やっと来たわね、鷹端愛輝」


 皇羅着が足を組んで言う。不敵な笑みを浮かべながら。


「ていうか…後ろの奴らは誰よ…」


「ああ…俺の友達だ。別に付いてこいとは言ってないけど付いてきた」


「私は鷹端愛輝に来い、と言ったのよ」


「別に鷹端だけとは言ってねぇだろ」


 酢好が鷹端の背中に隠れて異議を唱える。言うならもっと堂々と言え。


「まあ…そうね、これに関してはこちらの説明不足ね…衣更着」


「す、すみません…」


 なんだ、同じ三年生なのに上下関係があるのか。恐ろしい世界だ。内心ドン引きしながら、鷹端は咳払いした。


「で、用件は何だよ」


「まあ、掛けてくださいな」


 言われたので、鷹端は生徒会が座っているソファーと反対側のソファーに座る。続いて、後ろの三人も座った。皆美だけは座らずに腕組みをしながら立っていた。


「さて…鷹端愛輝。あなたがここに来たのは初めてね。一緒にいる酢好耕哉(こうや)はこれで五回目のようだけど」


「お前五回も呼ばれてたのかよ!」


 初耳だ。親友だから何でも知っているとは思っていたが、そんなことは無かった。


「知らないのも当然。罰に関しては他言無用ですからね」


「いや~あの罰は応えたな~死ぬかと思った」


「マジで何されたんだお前」


「今は関係ないでしょ。話題を戻すわよ」


 皇羅着はソファーとソファーの間にある机をコツコツと軽く叩く。鷹端と酢好も会話を辞めて、慌てて生徒会と向き合う。


「今回あなたを呼び出したのは他でも無い。その…眼帯のことよ」


 あ、それか。その話題なのか。よかった、変人呼ばわりされなくて…いや、待て。これはこれでまずいんじゃないか。この眼帯を取れば、偽りの眼が露わになる。そしたら、変人どころか…いよいよまずいことになる。


「が、が、が、ががが眼帯がどうかしたんですか…」


「どうかした、じゃないわよ。一体何よその眼帯は。眼帯は怪我でもしていない限り、アクセサリーとして、禁止よ。しかも、怪我をしていても普通の白い物しか認めない。それに…」


 立て続けに言った後、皇羅着は一旦息を整え、さっきまでの大きな声から一転、小さな声で。


「痛いわよ」


 傷ついた。もう言われ慣れたとは思っていたが、こうやって面と向かってはっきり言われると辛いものがある。今すぐこの眼帯を取りたい。でも…後ろを軽く振り向く。皆美と目が合う。彼女は、首を横に振った。


「い、痛いことは百も承知だ。でも…これを付けないといけない理由があって…」


 冷や汗が出る。視線が痛い。誰とも目を合わせないように壁に掛かっている時計を見つめる。そろそろ昼休みが終わりそうだ。このまま終わったら帰してくれるだろうか。黙秘権を発動するか。


「あくまで黙秘をするというならその眼帯を無理矢理外すわ。それで怪我をしていないようなら重い罰を与えるわ」


「まじかよ…ちょっと待ってくれ!本当に怪我をしてるんだ!この眼帯の中はグッチョグッチョのグログロになってるんだぞ!」


 思わず鷹端は立ち上がり、大声で否定する。だが、それにも皇羅着は驚かず、むしろ不敵な笑みは更に不敵になってしまった。


「えらく焦ってるわね。その焦り方はやましいことがある時の焦り方。今までそういう人を何人も見てきたから分かっちゃうのよね~」


「違う!本当だ!信じてくれよ…」


「それに、その左腕の包帯。もしかしたらそれもアクセサリーの一部なんじゃないのかしら?」


「だから、これも怪我だ!それに今、包帯は関係ねぇだろ!」


「そうかしら?そんな短時間で立て続けに大怪我をすることがあり得るかしらね?」


「なっ…」


 もう言葉が出てこない。口がうごうごするだけで、声が出てこない。反論の余地が無い。このまま正体がばれてしまうのか…いつかはばれるとは思っていたが、まさかこんな早くに…腕の力が抜け、ぶらんと垂れ下がる。どうすれば…何葉や酢好も心配そうに見つめてくる。やめろ、そんな目で見るな。


「どうしたの?これでもう終了?じゃあ…早く外して貰おうかしら」


 皇羅着は足組みを解き、立ち上がった。そして、鷹端の眼帯に手を伸ばす。無理矢理奪う気だ。それだけは阻止せねば。慌てて左手の手の甲で皇羅着の手を吹っ飛ばす。


「あら、左手は怪我してるのでは無くって?」


「…ああ…そうだよ…本当の事を話すよ…俺はなぁ…」


 場の全員が息を飲む。次に鷹端の口から放たれる言葉を待って。


「俺はなぁ…そうだよ。中二病なんだよぉぉぉぉぉおおおおお!」


 鷹端が叫ぶ。そして、叫んだ後は暫しの静寂が訪れた。やめろ。黙るな。笑え。そこは笑う所だ。鷹端にとってはかなりの苦肉の策であった。後先考えずに言ってしまったが、これは成功だったのではないだろうか。一番酷くて、一番マシな。


「…中二病?中二病って…は、はは、あはははは!ははははは!」


 静寂を切り裂くように酢好が大笑いし始めた。それに釣られ、何葉も笑い始めた。そして、黄鳥も。そうだ、笑ってくれた方がいい。いよいよ、鷹端まで笑い始めた。衣更着や煌眼着もクスクスと笑う。笑っていないのは、困ったような顔をする皇羅着と無表情のままの皆美だけだった。


「ああ、そうさ。俺は中二病だ!だから、こういう眼帯とか包帯を付けてないと俺は死んでしまうんだよぉ!」


「で、でも…だからと言ってそれは校則違反だから…」


 皇羅着は状況が掴めない様子で、困惑しながら言う。だが、鷹端は続ける。


「おいおい、いいのか?それで。この眼帯を取ると、この学校から死者が出るぞ。死ぬのは俺だ!そして、俺の神剣ファルシオンによって俺以外にも犠牲者が出るぜ?いいのかよ、ああ?」


「え、そ、それは…」


 皇羅着はたじろぎ、ソファーに座り込む。そして、何やら衣更着や煌眼着とヒソヒソ話し始めた。そして、三十秒ぐらい経って再び生徒会三人は鷹端を見据えた。あの学校中から恐れられている生徒会長に優勢なのだ。勝てる、と確信していた。


「…ダメよ。中二病なんて病気は存在しないわ。そんな嘘偽りを言っても無駄よ。たとえ中二病だろうと…例外は無しよ」


「…いいのかよ、人が死んでも…」


「校則が全てよ。あなたが死ぬのなら勝手にしなさい。人を殺したならただの犯罪者。それだけのことよ」


 それだけのこと…校則が全て…その言葉に、鷹端は妙な感覚を覚えた。そして、無性に苛ついた。


「…校則が全てって…何なんだよそれ…確かに俺のこれは完全に校則違反かも知れない…でもな…お前らのせいで学校生活がつまらなく、面白くなくなった奴が何人いると思うんだよ。それになぁ、こんなちまちま小さな事を注意をしてる暇があったらなぁ…この学校にはもっと向き合うべき問題があるんだよ!お前らがちまちまやってる間に俺は…」


 物凄く熱く語っている所、誰かに肩を叩かれた。皆美だった。小さく首を横に振る。そうだ、うっかり言うべきで無いことを言う所だった。力無く鷹端は座り込む。そして、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


「はぁ…埒が明かないわね。今日の所はもういいわ。でも、あなたは今日から要注意人物よ。これから少しでも怪しいことをしたら何度でもここに呼ぶから。分かったわね?」


 こうして解散となった。鷹端たちはクラスに戻るため、廊下を歩く。酢好と黄鳥はさっさと走って行ってしまった。皆美はいつの間にかいなくなっていた。そして、二人きり。結局、何も解決しなかった。さっさと終わらせて、自分が笑いものになるだけかと思っていたのだが、悶々とした気分だけが残ってしまった。秘密を持つというのはもどかしいものだ。いい加減…何葉とか酢好には言ってもいいんじゃないのか。秘密を共有出来る人…今一番に鷹端が欲しいのはそれだった。どうして、自分がこんな目に…左腕に巻かれた包帯を見つめる。急にその、既に自分のものでは無い左腕。金色に染まるそれ。怖くなった。目だってもう違うんだ。一か月前までは自分のものだった部位が…


「ねぇ…愛輝くん。本当は…どうしてそんな眼帯付けてるの?怪我でも…中二病でも無いんでしょ?」


 皆美が心配そうにこちらに顔を向けて問うた。もう言ってしまおうか。言った方が楽になるのは明らかだ…でも。


「いや…これは本当に何でも無いんだ…」


「嘘。言ってよ。幼馴染でしょ?私達。言ってよ」


 言いたい。言いたいに決まっている。でも、言わない。巻き込みたくないのだ。こんな学園生活をぶち壊しにするような厄介事に…幼馴染を巻き込みたくない。何葉が可哀想だ。


「無理だ。本当に何も無いんだから、言う事も無い…」


「…何も無くてそんな眼帯付けるような人じゃないでしょ。愛輝くんは。知ってるよ、私は」


「…幼馴染だからって…何でも言わなきゃ駄目なのかよ…」


「だって今まで全部…話してきたじゃん。私も愛輝くんに秘密事なんか無いもん!」


 何葉が叫ぶ。少し驚く。絶対に言わないんだ。今さっき決めた。絶対に巻き込まないんだ。


「お前と俺とじゃ違うんだよ!俺は何でもは言わない!それだけだよ…」


 鷹端も怒鳴る。何葉は鷹端同様に動揺した顔をした。そして「馬鹿」と呟き、走って行ってしまった。五時間目開始のチャイムが鳴った。これじゃあ授業遅刻だなぁ…と他人事のように考え、立ち尽くした。


 見事に授業遅刻をし、学校が終わり、部活をし、一人きりで家に帰る。家には妹だけがいた。いつも通り元気に迎えてくれた。暗い気分の時のこの笑顔には何度癒された事か分からない。どうやら妹はカレーを作っているようだった。カレーの匂いが部屋中に充満している。


「あれ、お前料理作れたっけ?」


「カレーぐらい作れるってば~馬鹿にしてるでしょ!」


「ああ…馬鹿にしてたかな。カレーぐらいは流石に作れるか、そうだよな~」


 こうして、野菜の形がバラバラのカレーを食べることになった。まだ微妙に固い。正直言って自分の方がまだ上手く作れる。そう思いながら、スプーンを口に運ぶ。テレビでは妹がいつも見ているアニメが流れている。魔物相手に魔法少女が戦うアニメだ。女の子が見るアニメにしては残酷な気がする…というか食事中に見るアニメでは無い。それに、放課後の戦いも思い出してしまう。


「な、なあ。愛香。アニメじゃなくて俺と話しをしようぜ。今日あったこととかさ」


「うん、分かった!」


 愛香はあっさりテレビを消した。録画しているので問題ないという事もあるが。


「で、何話してくれるの?」


 言ってしまおうか。言わまいか。いや、言うわけが無い。妹に言って何になるんだ。


「そうだな…今から面白い話をしよう。とある普通の男子高生がいました。その男子が少し変わった女子高生に出会って、不思議な能力を得ました。そして、その男子はその力で学校に住み着く魔力を倒していきましたが…」


「うんうん、で?で?」


 妹は結構食いついている。更に続ける。


「でも…その内男子は自分のやってる事が分からなくなりました。どうして自分が…他の誰でも無い自分がこんな仕事をしなきゃいけないんだって…そして、このことを誰にも言えないもどかしさに男子は辛い思いをしています…で、あなたはどう思いますか?」


「ふぇっ!?どう思いますかって…う~ん…難しいことは分からないよ…」


「そうか…そうだよな…すまない、こんなつまらない話しして」


「え?全然つまらなくなかったよ!お兄ちゃんの出してくれた問題、考えとくね!」


 妹は笑顔で言う。屈託の無い、迷いの無い、汚れの無い笑顔だった。その笑顔は、鷹端の心を癒すと同時に、辛い思いにもさせた。自分の過ごす学園生活とかけ離れていて。いよいよ自分のやってる意味が分からなくなった。


「ああ…考えといてくれ…それと、食べながら口を開けるな」


「何それ~お兄ちゃんが何か話せって言ったんじゃん。じゃあじゃあ、私も話すね!」


 そして、妹の長い長いお話が始まった。そこではまさに、鷹端の理想とする学園生活が繰り広げられていた。恋愛沙汰こそ無かったが…それもそろそろ追加されることだろう。それが羨ましく、同時に妬ましくもあった。妹に何で劣等感を抱いてるんだ。慌ててその考えを払拭する為、頭をブンブンと振る。


「ごちそうさま」


 カレーを一気に食べ終え、台所に皿を置き、二階に駆け上がった。そして、部屋に入り、扉を閉めた。そして、鞄の中からスマートフォンを取り出して、メールのアプリを開く。沢山の名前が載っている。最初に酢好の名前が目に入った。鷹端にとって彼は良き相談相手だ。何葉とはまた違って、男同士だからこそ出来る相談もある。それに、適当に流してくれるのが快い。そこまで真摯に向き合ってくれないのが逆に良いのだ。聞いてくれるだけでも…有難い。でも…今回だけは話が違う。こんな話をした所でどうなるっていうんだ。次に、何葉の名前が見えた。酢好よりも長い時間一緒にいた。でも…さっきいざこざがあったし、今は相談出来る状況じゃない。止めだ。


「じゃあ…どうすればいいんだよ…」


 知らずに言葉を発していた。それは、助けを呼ぶ声だった。お前はどういうんだ、皆美。メールアドレスに存在しない名前を心の中で呟いた。

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