同意
お久しぶりです…!
考えて、伝えて、それから──。
三田頼之が自宅でまた仕事をするようになり、天使渉はいつ頼之に“そういう事”が出来ると伝えようか、密かに考えていた。
頼之の新入社員教育が終わったらと決意していたが、いざ終わってみると、タイミングが難しい──。
「……いつ言うべきか……」
洗濯物を畳みながら、渉は「う~ん……」と唸る。
頼之は今も仕事部屋に居るため、悩んでいる姿を見られることもない。
「単刀直入……いや、遠回しで……」
うんうん悩みながら、渉は畳み終わった洗濯物を積んでいく。
「……てか、こういうのってわざわざ伝えるもんなのか……? そのまま雰囲気でガッと……」
と考えて、渉は今までの頼之の行動を思い出して「それはないか……」と呟く。
初めて口にキスをした時も、深いキスをしようとした時も、頼之は必ず確認してきたし、無理矢理されそうになったことはない。
そう思い出し、渉は「やっぱり伝えるのが一番だよな……」と呟いた。
「でも言葉選び難しくないか……?」
近くのタオルを畳みつつ、渉は考える。
「サンタさんとなら、エッチな事出来ます──、……いやいやいや、流石に無理、恥ずかしくて言えねえ!! ……そういうこと、サンタさんとなら、してもいいかなと思って……。うーん……無難っちゃ無難か……でもなぁ……」
とブツブツ言いながら渉が片していると、休憩しに出て来た頼之が、渉を見て首を傾げた。
「……どうした? ブツブツ言って。何か暗記でもしてるのか?」
「へっ?! え、いや! あ、そ、そうです! そんな感じです!」
「そうか。暗記も大変だからな。頑張れよ──」
と頼之はキッチンに入りコーヒーを淹れ始める。
「テンシも飲むか?」
「あ、はい、お願いします──」
畳み終わった洗濯物を端にまとめて、渉はテーブルに向かう。
頼之は二人分のコーヒーを持って、テーブルに置いた。
テーブルに寄り掛かるように二人並び、お互いに一口飲んでほっと息を吐く。
それから頼之が、小さく微笑んだ。
「美味しいか?」
「はい、とても──」
と渉が笑顔を見せるので、頼之は「そうか」と嬉しそうに呟く。
「……あ、の、サンタさん」
「ん?」
「えっと……」
何やらそわそわし始める渉に、頼之は真剣な顔になった。
「どうした? 何かあったのか?」
「いや、そういうんじゃなくて、その……」
と口ごもってから、ええいっままよッ!と口を開く。
「さ、サンタさんは、俺に興奮、てか、欲情しますか……!?」
「……は……」
きょとんとする頼之に、渉はしまったと思うのと、恥ずかしさで顔を赤くした。
それから頼之はプッと噴き出してから、口を押さえる。
「……ふ、そんなこと聞いてどうするんだ? もし、するって言ったら“そういう事”してくれるのか?」
と頼之は笑ってから付け足す。
「そりゃ、してくれるなら嬉しい──でも、一方的なのは嫌なんだ。前にも言ったと思うが、渉がしてもいいと思ってくれるまで、俺はしないよ。大丈夫だ」
と頼之が微笑むので、渉は「あのっ……」と意を決して言った。
「大丈夫です! いや、えっと……、何が大丈夫なのかとか、自分でもよくわかんないんですけど、あの、俺……サンタさんとなら、その……大丈夫です──!! 冗談とか、そういうのじゃなく、ほんとに……」
そう言いながらいっそう赤くなっていく渉に、頼之は小さく息を呑む。
「……ほんとか?」
「はい……」
と赤い顔で頷く渉が可愛くて、頼之はそっと渉の方に体を向ける。
渉もカップをテーブルに置いて、頼之を見上げた。
「……なんか、照れるな……」
「俺なんか心臓バクバクですよ──!?」
渉がそう言うのと同時に、頼之はそっと渉を抱きしめた。
ドクドクと渉の鼓動が伝わってきて、頼之は嬉しくなる。
「ほんとだな……」
「う、嘘なんかつきませんよ……」
と渉もそっと腕を回した。
頼之は渉の顔が見たくて、離れようとする。
だが、なぜか渉はギュッと抱きついてくるので、頼之は嬉しいが「テンシ……?」と声を掛けた。
「……顔が見たいんだが?」
「い、……やです……」
「何で」
「だってっ……絶対顔赤いし……、恥ずいんで……」
と渉は耳まで赤くして、頼之の胸に頭を埋める。
頼之はキュンとしつつ、もう一度ギュッと抱きしめた。
渉がびっくりして顔を上げると、頼之が計画通りというように笑った。
「やっと見た──」
優しく微笑まれて、渉は余計に熱くなる。
頼之はそっと渉の頬に手を添えて、愛おしく撫でた。
「渉、ありがとう、好きだよ」
「っ、お、れも……好きです……」
真っ赤になりながら言った渉に、頼之はそっと額にキスをして、確認するように渉を見つめる。
渉は少し目を逸らしてから、じっと頼之を見つめた。
頼之は小さく微笑んで、そっと唇を塞ぐ。
「サンタさ……っ」
「……っ──」
渉の照れたような顔に、頼之は思わず欲張りになった。
優しく触れてから、頼之は渉が口を開けるように仕向けて、上手く舌を滑り込ませる。
「……っ、んン──っ」
渉がギュッと袖を引っ張ると、頼之はやっと顔を離した。
火照った顔をする渉に、頼之は思わず歯止めが効かなくなる。
「渉……触ってもいいか?」
「ぇ……あ、はい……」
承諾を得て、頼之はそっと服の下に手を忍ばせ、渉の体に触った。
するりと腹を撫でると、ぴくっと渉が反応する。
頼之は思ったことを思わず言っていた。
「……ちょっと、腹は脂肪があるな」
「こ、これくらい普通ですよ!」
「そうか──」
顔を赤くしてツッコむ渉に、頼之は小さく笑って、そっと手を離した。
「……今日はこれくらいにしておこう、じゃないと俺が止められない──」
そう苦笑いする頼之に、渉は続ける。
「と、止められなくても、大丈夫ですよ……あ、いやっ!! 今のは、すぐにそういう事したいとかじゃなくて! てか、そもそも俺には知識がないんで、勉強からなんですけど……! えっと……だから、その……言いたいのは、同意したってことです!」
一人でぐるぐるする渉に、頼之はまた小さく噴き出して、優しく微笑んだ。
「ふっ……あぁ──。その言葉が聞けただけで十分だ。ゆっくり進もう」
「ぁ……、はい──」
と渉が照れながらも頷いたので、頼之は可愛いなと思うのと同時に、大切にしたいと強く思うのだった──
頼之「ゆっくり、着実にな(微笑む)」
渉(うわぁ……めっちゃドキドキする……!)




