確認
お久しぶり過ぎですね、はい(^_^;)
※後半キスシーンあり。
最近、天使渉がずっと居るような気がしていた三田頼之は、その疑問を本人にぶつけてみた。
「テンシ、最近ずっと居る気がするんだが、大学は休みなのか?」
「はい。もう春休みに入ったんですよ──だからサンタさんの所に朝から来られます」
と渉はせっせと散らかった洋服を集めながら、ソファーに座る頼之に答える。
頼之はそうなのかと納得した。それからぽつりと、頼之は言葉をこぼす。
「……朝からか」
「はい、朝から夜まで。朝は一緒に食べられないですけど、昼夜は一緒に食べられますよ」
「そうだな──」
頼之は微笑んで、洋服を運んでいく渉を見る。
渉はそのまま部屋を出ていった。
渉が戻って来るまで、頼之はドアを見つめていた。
「……ふぅ。あ、サンタさん今日の仕事終わったんですか?」
戻ってきた渉は自分を見ていた頼之に訊ねる。
「終わったよ。今日は量が少なかったからな」
「そうなんですね──」
と渉は笑って、頼之の左隣に腰を下ろした。
「俺も一段落しました」
「そうか」
渉は隣で伸びて、うーん、と声を出した。
頼之は笑って、思い出したように立ち上がる。
「ん……、どうかしました?」
「いや、何でもない。ちょっと待ってろ──」
そう言って、頼之は部屋を出ていった。
なんだろ、と渉は少し首を傾げて頼之を待つ。
少ししてから、頼之は小袋を手にして戻ってきた。
「お返しだ」
と渉に渡して、頼之はさっきの場所に座り直す。
渉は受け取ってから頼之に訊いた。
「すいません、何のですか……?」
「バレンタインだよ。チョコくれただろ?」
「……。ああ! ありがとうございます!」
と渉は思い出したように言って、にっこり笑う。
頼之はそんな渉の笑顔を見て、優しく微笑んだ。
「開けていいですか?」
「ああ」
頼之の返事を聞いてから、渉は袋から箱を出す。
それからその箱を開けて、中を確認した。
「ぁ……すごい!」
と渉は箱の中を見て感動する。
箱の中には、マシュマロで出来た動物たちの生活が広がっていた。
皆それぞれ服を身に纏い、二足歩行だ。
「これ──。この動物がテンシみたいだと思ってな、買ってしまった」
と頼之は洗濯物を干そうと、物干し竿に背伸びをして止まっている猫を指差す。
「はは。まぁ、洗濯しますけど──あ、これはサンタさんみたいですよ」
と今度は渉が庭で昼寝をしている熊を指差した。
頼之はぽっこりとしたお腹をしている熊を見て、少し眉間にシワを寄せる。
「こんなに腹は出てないぞ?」
「容姿じゃなくて、大きくて包容力がありそうって意味ですよ」
と渉はくすくすと笑った。
「そうだ、食べていいんですか? これ」
「ああ。いいぞ」
「なんかもったいないですけど、いただきます」
渉はどれにしようかな、と少し迷ってから熊を摘まんだ。
そしてぽんと一口で熊を食べる。
「……ん、おいしい! しかもこれ、チョコ味だ。サンタさんも食べてみてください」
と渉が頼之に箱を向ける。
頼之はじゃあ一つだけ、と渉みたいだと言った猫を口に運んだ。
「どうですか?」
「うん……、これは普通のマシュマロだな──もしかしたら、動物によって味が違うんじゃないか?」
そうなんですかね、と今度は羊を手に取り、渉は食べる。
「ん……、ほんとだ。これはソーダです。初めて食べました」
「そうか。俺もソーダのマシュマロは食べたことないな」
「そうなんですね──、あ、じゃあ、はい──」
頼之の言葉を聞いて、渉はもう一匹いた羊を手に取り、頼之の口元に持っていった。
「もう一匹いたんで、どうぞ」
自分のやっていることに気づいていないのか、渉は笑って頼之に羊を食べるよう促す。
「……、ありがとう」
頼之は一瞬きょとんとしてから、ぱくりと羊を食べた。
それから、少し照れたように頼之は言った。
「テンシが食べさせてくれるとは、思ってなかったな」
「え? ……ぁ、いや、さっきのはなんか、流れで……!」
徐々に顔を赤くしていく渉を見て、頼之はふっと笑う。
「流れでか、わかったわかった」
「なっ、サンタさん絶対わかってない!」
笑ったまま頷く頼之に、渉は若干怒りながら言って、もらったマシュマロを口に運んだ。
「他のもおいしいか?」
「……はい、おいしいですよ……っ!」
「良かった──」
怒っている渉とは反対に、嬉しそうに笑う頼之を見て、渉は余計に恥ずかしく感じるのだった。
半分くらいマシュマロを食べ終わった頃、渉はある提案を頼之にした。
「あの……、サンタさん。一つ提案があるんですけど」
「ん、何だ?」
と頼之は渉に顔を向ける。
「あの、いつも給料くれるじゃないですか、それなんですけど、もういらないです」
「ぇ……?」
渉の本意がわからず、頼之は少し不安げな顔になる。
「いやっ、ほら、最初は巧に言われて若干強制みたいな感じで来てたけど、今はサンタさんとその、付き合ってるわけで……」
と渉は頼之から視線をそらし、少し顔を赤くして続ける。
「俺の意思でここに来て色々やってるわけだから、その……、お金の関係でここに来てるみたいな感じをやめたいな、と思って……」
言い終えてからそっと頼之に視線を戻すと、頼之は照れているのか少し頬を染めて苦笑いした。
「なんだ……、そういう意味か──」
そして頼之は、渉に見られないように左手で顔半分を隠して続ける。
「てっきり、もう終わりにしたいのかと思った」
「そんなこと……」
「……うん、ありがとう──。テンシがそんなこと思ってたなんて、知らなかった。嬉しいよ──じゃあ今日からやめよう」
顔から左手を外した頼之は、そっと渉を抱き締めた。
渉もそっと背中に手を回して、頼之に伝えた。
「……サンタさん。俺、サンタさんが思ってるより、きっとサンタさんのこと、その……好きですよ──」
渉が言った言葉に、少し驚いて頼之は渉を見る。
渉はさっきよりも顔を赤くして、ごにょごにょと続けた。
「べ、べつに深い意味はないですけど、前よりサンタさんのこと好きだなと思っただけで──」
「渉、キスしていいか?」
「え……?」
突然頼之に訊かれ、渉は一瞬ドキリとする。
頼之はじっと渉を見つめたまま返事を待つ。
渉はドキドキしながら頷いた。
「……はい──」
渉の返事を聞いてから、頼之はそっと渉に口付ける。
それからくいっとアゴに手を持っていき、頼之は言った。
「口、開けて」
一瞬どういう意味かわからなかったが、意味を理解した瞬間、渉はぼっと顔が熱くなった。
今まで口にキスをしたことはあったが、その先をしたことはなかった。
前も口以外にしてた時、口にする時には確認された。
そして今回は、その先の確認がされたのだ。
「……嫌か?」
少しの間フリーズしていた渉に、頼之は問いかける。
渉はドキッとしてから、首を横に振って言った。
「い、やじゃ、ないです……けど、ちょっと緊張するっていうか……はは」
「そうか、ならすぐほどける──」
頼之は微笑んでから、渉の口を塞いだ。
優しく唇を重ね合わせてから、開いた隙間に舌を滑り込ませ、頼之は渉の口内を撫でる。
それから渉の舌を絡めとり、優しく吸った。
「っ……ン──」
渉が苦しそうな声を出したのが聞こえて、頼之はそっと顔を離した。
「……大丈夫か?」
「っ……、はい……」
顔を赤くしたまま頷いた渉を見て、頼之は微笑んでから言った。
「渉、もう一回いいか?」
「えっ……い、いや……っ、ちょっと心臓がもたないんで、また今度で……?」
ドキドキしつつ、何を言ってるんだ自分は?!と混乱する渉を見て、頼之はまたしてもいいんだなと、嬉しく思うのだった──
渉が帰ってから。
頼之「次はいつにするか……」




