約束と告白
20日ぶりです(^^;)
約束と告白。
「テンシ、大晦日は何か予定あるか?」
ソファーに座っていた三田頼之が、食器洗いを終わらせて手を拭きながら歩いてきた天使渉に訊いた。
「んー……ないですよ。サンタさんは何か予定あるんですか?」
ふぅ……、と伸びをして渉はソファーに腰掛ける。
「いや……。そうか、ないのか──じゃあ、大晦日は一緒に過ごそう。問題ないよな……?」
と頼之は隣の渉を見る。
「はい。問題ないです──今のところサンタさんが一番ですよ」
「そうか──」
頼之は頭を掻いて俯く。
渉は首を傾げて、頼之を見ると訊ねた。
「どうかしましたか?」
「いや……嬉しいなと思って」
年甲斐もなく──と頼之は少し頬を染める。
渉は頼之が照れたような顔をしたのを初めて見て、少しドキッとした。
「……じゃ、じゃあ大晦日の夕食はそばにしましょう」
「そうか──テンシも食べてくよな?」
「そうですね。いいなら一緒に食べます」
と渉は笑って頼之を見る。
頼之はふっと微笑むと、頷いて言った。
「あたりまえだ」
「ぁ……はい──」
渉は嬉しそうに頷いた。
*
「あれ? テンシじゃん──」
帰り、渉はコンビニに寄っていた。
そこで、新巻巧と会った。
巧は買い物を済ませたのか、ビニール袋を片手に持っていた。
「よ。買い物?」
「うん。ちょっと母さんに頼まれてさ」
渉はロールケーキを掲げて見せた。
「そっか──じゃ、途中まで一緒に帰るか?」
「そうだな。じゃあ会計してくる──」
渉はレジに向かって会計を済ませ、巧とコンビニを出た。
渉は自転車を押しながら、巧と並んで歩く。
「この前は悪かったな。酔いすぎた」
「ほんとな。次はないと思えよ」
「うわ、テンシさんそりゃキツいわ……」
と巧は苦笑いする。渉も笑って言う。
「あんなになったら、彼女出来たときに困るのお前だぞ?」
「大丈夫大丈夫。俺は、そういうだらしないとこ全部受け止めてくれる彼女見つけるから」
「ぶっ。いねーよ──」
と渉は爆笑する。
そんな笑わなくたっていいだろ?! と巧はツッコむ。
「……てか、お前彼女と上手くいってんの?」
「え? まぁ、うん……」
と渉は笑うのをやめる。
「いいよなぁ、リア充は。そろそろ俺に彼女紹介してくれてもいいんじゃないの? 写真くらいあるだろ?」
「いや……」
「なんで。この前居酒屋行く前になんかやってたけど、それって彼女にお詫びのメールいれてたんだろ?」
「そんな感じだけど……」
と渉は口ごもる。
決心はついている。巧には知っておいてもらいたい。気持ち悪がられるかもしれないけど──。
「名前くらい言えるだろ? 誰? 俺が知ってる人?」
「……三田さん」
「は?」
「三田頼之さん──」
そう言って、渉は止まった。
巧も止まって、渉を見る。
「……え? 三田さんって、手伝いしに行ってる所の人だろ? 俺が訊いてんのは……」
「付き合ってるのは……、三田さんなんだ」
まっすぐ、渉は巧を見つめる。
巧は眉間にシワを寄せて言う。
「お前……、男と付き合ってんの?」
「…………」
「えっと……、マジで?」
渉は静かに、首を縦に動かした。
巧は真顔になってから、苦笑いする。
「いや、この前酔いすぎたから、その仕返しにそう言ってるなら……」
「本当だよ──俺は、三田さんと付き合ってる。気持ち悪いと思われるかもしれないけど。巧には理解出来ないかもしれない。俺だって、最初はこれっぽっちも好きになるなんて思ってなかった」
渉は一息吐いてから続ける。
「……でも、三田さんの思いとか、優しさとか……。気づいたら好きになってた。もちろん、他の同性にドキドキしたりとか、そういうのはないし……。三田さんだけなんだ──」
巧は、真剣に渉の話に耳を傾けていた。
「巧にはちゃんと言っておきたかった。理解されなくても、知っておいてもらいたかったんだ。悪い……今まで黙ってて……」
と渉は頭を下げる。
巧は苦笑いすると、渉の肩をポンッと叩いた。
「気にすんな──俺だって渉の立場だったら、絶対言えないし……」
そして今の話を反芻してから、口を開いた。
「まあ……お前が今楽しいんなら、何も言うことはない」
「巧……」
「でも──」
と巧は、ぱちっとウィンクしてから言った。
「俺のことは、好きになるなよ☆」
「ならねえよ。さっき言ったろ──?」
渉は苦笑いから、いつもの笑顔になって巧に言った。
「……ありがとな」
「やめろよ──」
巧は手で払うような仕草をしてから歩き出した。
渉は自転車を押しながら後を追う。
「あれだぞ、聞いてくれてって意味だぞ」
「は? ……まぁ、人の話は最後まで聞けって、小さい頃言われたからな」
「ははっ……、なるほど」
二人は笑いあって、夜空の下を歩いた──
渉と別れてから。
巧「……マジか──(苦い顔)」




