表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

やってきたまろ

 先日ユウタとヴェロニカさんといい出会いをしたキリです。

 まだシャンパンを持ってお店にお邪魔してないけど早く行きたい。ユウタ未成年だから飲めないけどな。ピーターもいいけどやっぱり同郷の友人ができるっていいね。なんせここは異世界ですから。俺は異世界人なんだぜ。なんてSF。

 とりあえずジロウさんにこっちの美味しいシャンパンを教えてもらおう。そうしよう。



 と、フラワー・ベルへの再訪を心に誓う今日この頃。

 相変わらず我らがパレスは暇です。基本常連さんしかこないからなこの店は。

 情報通のグレンさんに色々話を聞かせてもらうのが日課になりつつあるんだけど、あれだね、ホントこの世界異世界人いっぱいいるね。グレンさんの話聞いてると出てくる出てくる異世界人。俺もすでに二人異世界人と出会ってるし。俺からすると異世界人はつまり同世界人なわけだけど。いまのところ。

 普通異世界から人来るとかないよなあ。こんなポンポン来ないよなあ。来るとしたら世界の危機に大魔術師とかが勇者を召喚するとか、そういうやつじゃないの?魔王討伐するんだよ。こう異世界人がちょいちょいいるのはなんか違う気がする。夢が壊れるというか……いや別に勇者とか夢見てないけどさ。


 それにしても、俺が出会った異世界人はみんな(といっても二人だけど)地球人。なんかどっかで繋がってたりしてるんじゃね、この世界と地球と。ポンポン来すぎ。ね。

 異世界っていうからにはもっとすごいの来ないのかな。宇宙人的な。地球から来るなら火星からも来たっていいじゃない。火星人。そう思うのは俺だけ?

 とジロウさんに言ってみたら、「来ているかもしれませんよ」って微笑まれた。うん、そうかもしれない。昨日街ですれ違った人、実は火星人だったのかもしれない。火星人がどんな姿してんのか知らないけど普通の人間みたいに擬態とかできそうだしな。

 とかUMA好きでもオカルトマニアでもないのにどうでもいいそんなことをつらつらと考えている俺はだいぶやばいかもしれない。

 なにがどうやばいって、つまり暇すぎる。








* * *



 今日も一日平和に終了し、閉店。

 後片付けも済ませてシャワーを浴びてさっぱりした俺は寝る前にジロウさんと語り合おうではないかと店に降りてきたわけですが。あ、いつも寝る前はジロウさんと語り合うのです。この世界のこと色々教えてもらったりただの世間話だったり。俺、一応異世界人じゃなくてこの世界の住人装って生活しているもので。色々勉強になりますジロウさん。

 で、店に降りてきたわけです。わけですよ。


 なんか声がする。

 もう店は閉めたしここにはジロウさんしかいないはず。はずだよな?

 え、誰?誰か来てるの?




 そっと、ゆっくりドアを開けてみる。ちょっとだけね。

 


 





 え。






 ちょっと待て。え、何いまの?

 なんかちょっとありえないものが見えた気がする。気のせいかもしれない。

 もう一回見てみよう……、






 


 「って、まろーー!?」














 ちょっと自分の目が信じられない。信じられないけど確かに俺は見た。見てしまった。

 ジロウさんと話をする、

 公家装束の男を。








* * *



 「くるしゅうない、近う寄れ」


 今、俺の前にまろがいる。

 まろ、ってあれだよあれ。公家の人。烏帽子かぶった、白塗りにまろ眉の。この人は言うほど白塗りじゃないけど、薄化粧だけど。どう見てもまろだよ。なんか高貴な人だよ絶対。

 どうしようわけがわからない。なんか笏?っていうのあれ、なんかお内裏様が持ってる棒みたいなので手招きしてるよ。どうしよう。



 「ん?どうした?近う寄れと言っているであろう?」


 …………、やばいめっちゃまろっぽい。麻呂っぽい。

 固まっている俺の困惑度合いを感じ取ったのか、ジロウさんが話してくれた。




 「ああ、キリくん。彼はどうやら異世界人みたいんなんですがね、ここに居候することに決まりました」


 「え」


 「そういうことじゃ。キリとやら、よろしく頼むぞ」



 なんか知らんまろな公家様が知らん間に同居人になっている……!

 ちょ、俺がシャワー浴びている間に一体何があったのですかジロウさん!


 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ