「鐘一つ鳴らせぬ偽聖女め」と追放された私、実は村の結界を支える“鐘守”だったのですが〜石畳の村に響く鐘が止まった時、王都が気づいても遅いですよね?〜
「役立たずの偽聖女め、鐘一つまともに鳴らせぬのなら、辺境の廃村へでも消えるがいい!」
王太子ジークの怒声が、大聖堂の高い天井に響き渡った。
私、セシリア・ローデンは、その言葉を静かに受け止める。
(あー、来たわね。この展開)
心の中で、前世の私が肩をすくめた。
並み居る貴族たちの視線が、針のように突き刺さる。私の隣では、義妹のミレーユが可憐に涙を拭う仕草をしていた。
「お姉様……わたし、お姉様のことをずっと信じていましたのに」
(嘘泣きが、実にお上手なこと)
「セシリア。お前は公爵令嬢の身でありながら、聖女の務めを一度も果たさなかった。儀式で鐘を鳴らせたためしがない。代わりにミレーユが、あれほど神々しい鐘の音を響かせてくれたというのに」
ジーク王太子の碧眼が、侮蔑に染まっていた。
(神々しい鐘の音、ねえ。……あれが割れているとも知らずに)
私は視線だけを、大聖堂の奥へと向ける。
そこには『聖鐘』があった。荘厳な意匠の、しかし──とうに割れた鐘が。
誰も気づいていない。あの鐘は、もう鳴らないのだ。ミレーユが披露していた「鐘の音」は、彼女の光魔法が作り出した、それらしい偽物にすぎない。
本物の聖鐘を無理に鳴らせば、結界が暴走する。だから私は、鳴らさなかった。鳴らせなかったのではなく。
だが、それを口にする気は、もうなかった。
「セシリア・ローデン。お前との婚約を破棄する。爵位も聖女候補の資格も剥奪し、辺境の廃村へ追放する。異論はあるか」
私は、ゆっくりと顔を上げた。
漆黒の髪が、はらりと肩を滑る。
「かしこまりました」
喚くこともなく、涙を流すこともなく。ただ、淡々と。
「では、鐘のことはどうぞご自由に」
それだけ言って、私は踵を返した。
背後で、ジークが何か勝ち誇ったように言っていたが、もう聞こえていなかった。
(せいぜい、頑張ってちょうだいね。偽物の鐘で、この国を守れるものならね)
割れた聖鐘を、最後に一度だけ振り返る。
──あなた方が、この音の意味に気づく頃には、きっともう遅い。
静かに、私は大聖堂を後にした。
◆
馬車に揺られること、五日。
私がたどり着いたのは、石畳の敷かれた辺境の村──『鐘の村・エルディナ』だった。
「……ひどい有様ね」
思わず、本音が漏れる。
かつては栄えていたのだろう。丁寧に敷き詰められた石畳は、今は苔むし、あちこちが割れている。家々は寂れ、人影もまばらだった。
そして、村の中央に。
古びた鐘楼が、天を突くように佇んでいた。
(あれね)
一目見て、私は理解した。前世の職人としての勘が、ざわりと反応する。
あれは、ただの鐘楼ではない。
「……お前さん、王都から来た娘かい」
声をかけてきたのは、白髪を布で覆った老婦人だった。皺だらけの手に、警戒の色が滲んでいる。
「セシリア・ローデンと申します。この村に、追放されてきました」
「追放、ねえ。聖女様が追放だなんて、王都も落ちぶれたもんだ。……まあいい。腹は減ってるだろう。スープくらいは出してやる」
差し出された一杯の温かいスープに、私は少しだけ、胸が緩んだ。
(久しぶりね、こういう温かさ)
「ミラさん。あの鐘楼は、いつから鳴らなくなったのですか」
「……もう、三年になるかねえ」
ミラの目が、遠くを見た。
「昔はあの鐘が鳴るとね、村中に不思議な力が満ちたもんさ。魔物も寄りつかなかった。だが鐘守が死んで、誰も鳴らせなくなってからは……この通りさ」
(魔物の脅威。寂れた村。沈黙した鐘。……すべてが、繋がったわね)
「聖女様、次はどこ直すの?」
いつの間にか、亜麻色の髪の少年が私を見上げていた。トト、と名乗ったその子は、無邪気な瞳で鐘楼を指差す。
「お姉ちゃん、鐘、直せるの?」
私は、しばし黙って鐘楼を見上げた。
錆びついた撞木。歪んだ吊り具。だが──鐘そのものは、割れていない。
(王都の割れた鐘とは、違うわね。これなら、鳴らせる)
「……ええ」
私は、袖をまくった。
「直しましょう。どうせ、他にすることもありませんし」
(働きたくないって言いたいけど……鐘つくのだけは、好きなのよね)
前世で毎朝、あの重い梵鐘をつき続けた腕が、疼いた。
石畳の村での、私の再生が──静かに始まった。
◆
それから数日間、私は鐘楼にこもりきりだった。
錆を落とし、吊り具を組み直し、撞木の角度を整える。村にあった端材と魔石を使って、音叉代わりの魔導具も自作した。
「聖女様、それ何?」
トトが目を丸くする。
「音の高さを測る道具よ。正しい音が出せているか、確かめるためのね」
(前世じゃ、こんなの機械一つで済んだんだけどね)
鐘というのは、ただ叩けばいいものではない。撞点が数センチずれるだけで、音は濁る。間が悪ければ、響きは死ぬ。
そして、この鐘には──明確な「正しい音」があるはずだった。村の結界を維持する、共鳴のための音が。
「……ここね」
私は、撞点を指でなぞる。
幾度も魔導具で音を確かめ、間を計り、ようやく確信を得た。
村人たちが、いつの間にか鐘楼の下に集まっていた。ミラも、トトも、まばらな村人たちも。皆、半信半疑の目で私を見上げている。
私は、撞木を握った。
息を、深く吸う。
(前世の私も、今の私も。鐘をつく時だけは、いつだって真剣だったわ)
呼吸を合わせ、間を計り──打つ。
──ゴォン。
澄んだ音が、石畳の村に響き渡った。
低く、深く、それでいて心の芯まで届くような音色。その一打が、村全体を包み込む。
次の瞬間。
村外れの、枯れかけていた古い結界樹が、ざわりと葉を揺らした。萎びていた枝に、みるみる緑が戻っていく。
「……木が」
誰かが呟いた。
村の境界に集まっていた魔物の影が、鐘の響きに押されるように、後ずさり、退いていく。
ミラの皺だらけの手が、口元を覆った。
「聖女様……本物の鐘が……鳴った。三年ぶりに……本物の鐘が、鳴ったよ……」
村人たちが、次々と涙ぐむ。トトが飛び跳ねて叫んだ。
「すごい!お姉ちゃん、すごいよ!かっこいい!」
(かっこいい、ね。王都では一度も、そんな言葉をかけられたことはなかったわ)
「聖女様なんて、大したものじゃないわ。私はただの、鐘つき職人よ」
その時。
「──この音は」
低い声が、割り込んだ。
振り返ると、そこに大柄な人影が立っていた。
◆
銀混じりの黒髪。鋭い金の瞳。額から覗く小さな角と、腰から伸びる竜の尾。
傷の刻まれた強面に、村人たちが一斉に身を強張らせた。
「が、ガーラント様……」
ミラが囁く。
(竜人……それも、将軍格ね)
辺境守備隊長、ガーラント・ヴォルフリート。冷酷な竜人将軍、と噂される男だった。
その鋭い金瞳が、まっすぐ私を射抜く。
初対面の者なら、震え上がるところだろう。
だが──私は、あることに気づいてしまった。
(あら?……尻尾が、揺れてる)
彼の腰から伸びた竜尾が。さっきの鐘の音を聞いた瞬間から。
──ふわり、ふわりと、ご機嫌に揺れているのだ。耳も、ぴくぴくと動いている。
強面の仏頂面とは、あまりにもちぐはぐな尻尾の動き。
「……この音は、悪くない」
(口ではそう言ってるけど、尻尾が全部白状してるわよ、あなた)
私は、平然と令嬢の礼をとった。
「セシリア・ローデンと申します。王都より、こちらへ追放されて参りました」
「追放……だと。王都は、この鐘を鳴らせる者を、追放したのか」
「ええ。鐘一つ鳴らせぬ役立たずだと」
私が淡々と答えると、彼はしばし沈黙した。
そして──ぐるる、と喉の奥で唸る。
「……愚かな連中だ」
吐き捨てるように言った。
「この村は、結界網の要だ。ここの鐘が鳴らねば、辺境一帯が魔物に沈む。俺は三年間、剣一つでそれを防いできた」
「……お一人で?」
「他に、できる者がいなかった」
その横顔に、疲労の色が滲んでいた。強面の下に隠された、責任の重さ。
その時、トトが駆け寄って、ガーラントの竜尾に飛びついた。
「ガーラント様!お姉ちゃんが鐘直したんだよ!すごいでしょ!」
「……トト。尻尾を掴むな」
口ではそう言いながら、ガーラントは少年を振り払わない。それどころか、大きな手で、ぽんとトトの頭を撫でた。
(そう言いながら、頭を撫でてるじゃないの。……村の子どもに慕われる、涙もろい将軍。噂とは、まるで違うわね)
「セシリア・ローデンとやら。この村に、いつまでいる」
「さあ。追放の身ですから、行くあてもございませんし」
「なら──いろ。鐘を、鳴らし続けてくれ。村のために」
(そう告げる尻尾は、やっぱり揺れているのね)
「……かしこまりました」
◆
それから、私の村での日々が始まった。
毎朝、正しい間で鐘をつく。
──ゴォン。
その一打で、村の結界が保たれる。魔物は寄りつかなくなり、寂れていた村に、少しずつ活気が戻ってきた。
私は職人気質を発揮して、割れた石畳を直し、枯れた井戸を掘り直した。
「聖女様、次はどこ直すの?」
トトが、今日も私の後ろをついてくる。
「聖女様はやめてって言ったでしょう。鐘つき職人でいいの」
「じゃあ、鐘つき職人のお姉ちゃん!」
「……まあ、それでいいわ」
(悪くないわね、この呼び方も)
ミラは、鐘楼を守ってきた家系の言い伝えを、少しずつ教えてくれた。
「あたしの祖父さんが、鐘守だったんだよ。よく言ってた。『鐘は派手に鳴らすものじゃない。正しい間で、村を守るために鳴らすものだ』ってね」
(そう。まさに、その通りよ。王都では、誰もそれを理解していなかった)
ガーラントは、しばしば鐘楼に顔を出すようになった。
「点検か」
「ええ。撞木の角度を調整していますの。……ガーラント様。尻尾が」
「……気のせいだ」
「そうですか」
(絶対に気のせいじゃないけど)
負傷した魔物を前に、彼が手を止めて逃がしてやる姿も見た。村の子どもたちに囲まれて、困ったような顔をしている姿も。
冷酷な竜人将軍、なんてとんでもない。
(この人、ものすごく不器用なだけの、優しい人なのね)
ある日、私は鐘楼の頂上から、村全体を見渡した。
石畳が、夕日に照らされて輝いている。結界樹は青々と葉を茂らせ、井戸には水が満ちた。子どもたちの笑い声が、風に乗って聞こえてくる。
(居場所、か)
王都で味わった屈辱も、義妹の嘲笑も、ここには届かない。
「セシリア。日が暮れる。危ないぞ」
下から、ガーラントの声がした。
「今、降ります」
(心配性なんだから)
私は、静かに微笑んだ。
三ヶ月が、穏やかに過ぎていった。
──そして、その頃。王都では、取り返しのつかない事態が、静かに進行していた。
◆ 王都・レガリア
「なぜだ……なぜ、結界が保てぬのだ!」
ジーク王太子の怒声が、大聖堂に響いた。
だが、その声には、かつての傲慢さはなかった。あったのは、焦りと恐怖だ。
各地の鐘が、次々と沈黙していた。
セシリアが追放されて三ヶ月。王都近郊の結界は綻び、魔物が街道にまで押し寄せていた。
「ミレーユ!お前の力で、鐘を鳴らせ!いつものように、神々しい音を!」
聖女ミレーユは、蒼白な顔で震えていた。
「で、できません……もう、魔力が……」
「なんだと?」
「あれは……あの鐘の音は、わたしの光魔法で作った、ただの……」
ミレーユの言葉が、途切れる。
貴族たちの視線が、一斉に彼女へ突き刺さった。
「まさか……偽物だったというのか。聖鐘の音を、魔法で偽装していたと?」
ざわめきが、広がっていく。
その時、老いた神官が、大聖堂の奥へと駆け寄った。荘厳な聖鐘に手を触れ──愕然とする。
「殿下……この聖鐘は、とうに割れております。……もう何年も、鳴らせる状態ではありません」
「なっ……」
ジークの顔から、血の気が引いた。
割れた聖鐘。それを、彼はずっと知らなかった。いや──知ろうともしなかった。
ふいに、記憶が蘇る。
儀式の日。皆が華やかな魔法に沸く中、ただ一人、割れた聖鐘の亀裂を、静かに見つめていたセシリアの姿。
あの時、彼女は。
「鳴らせなかった、のではなく……無理に鳴らせば、結界が暴走する。それを見抜いていたから、彼女は沈黙を選んだのか……」
ジークの声が、震えた。
国を守るために。誰にも理解されぬまま。
「セシリアを……セシリアを連れ戻せ!彼女なら、鐘を鳴らせる!彼女だけが、この国を救える!今すぐ、辺境へ使者を送るのだ!」
だが──もう、遅い。
魔物の咆哮が、王都の空に響いた。
偽りの上に築かれた栄光は、本物の沈黙の前に、脆くも崩れ去ろうとしていた。
◆ 鐘の村・エルディナ
王都からの使者が村を訪れたのは、よく晴れた朝だった。
仰々しい馬車が石畳の道を進もうとして──村の入口で、ぴたりと止まる。
目に見えぬ壁が、行く手を阻んでいた。
「な、なんだこの壁は!通せ!我々は王太子殿下の使者だぞ!」
その前に、腕を組んだガーラントが立ちはだかっていた。
「この村の結界は、俺が管理している。用件を言え。話にならんなら、帰れ」
「セ、セシリア・ローデン様を、王都へお連れするのだ!殿下のご命令である!」
私は、鐘楼の前から、ゆっくりと歩み出た。
漆黒の髪を、朝風がなびかせる。
「あら。私を、廃村へ捨てたはずの方々が、今さら何のご用でしょう」
使者が、慌てて頭を下げた。
「セシリア様!王都が危機に瀕しております!結界が崩壊し、魔物が押し寄せ……どうか、どうかお戻りを!あなた様だけが、聖鐘を鳴らせるのです!」
私は、静かに彼を見下ろした。
喚くこともなく、勝ち誇ることもなく。ただ、淡々と。
「私、一度も“聖女”を名乗った覚えはございませんの」
「そ、それは……」
「鐘を鳴らせなかったのではありません。あの割れた聖鐘を無理に鳴らせば、結界が暴走する。だから私は、鳴らさなかった。国を守るために」
使者が、言葉を失う。
「儀式の日、私は一人であの亀裂を見つめておりました。誰も、気づきませんでしたけれど」
私は、わずかに首を傾げた。
「鳴らせなかったのではなく──あなた方が、聞く耳を持たなかっただけ」
一拍、置いて。
「──ですよね?」
静寂が、落ちた。
使者は、何も言い返せなかった。返せるはずがなかった。
「お、お戻りいただけないのですか……殿下は、廃嫡の危機に……ミレーユ様も、偽装が露見して失墜され……」
「それは、ご自業自得というものでしょう。失って初めて、本物の価値を知る。……よくある話ですわ」
ガーラントが、一歩前に出た。竜尾が、ぴりりと張り詰める。
「聞いての通りだ。彼女は、行かない。──帰れ」
使者の馬車は、逃げるように王都へと引き返していった。
石畳の道に、朝の鐘の音が、澄んで響いた。
──ゴォン。
私の居場所は、もう、ここにあった。
◆
数日後、今度は国王直々の使者がやってきた。
「セシリア・ローデン殿。陛下は貴女に、“国家鐘守長官”の地位を授けたいと仰せです。全国の鐘を統括する、栄えある役職です」
村人たちが、ざわめいた。
栄光。地位。名誉。
かつての私なら、飛びついたかもしれない。
だが、私は静かに首を横に振った。
「肩書きは、結構ですわ」
「なっ……国家の要職ですぞ!」
「私は、この石畳の村で、鐘をつく者でありたいのです」
トトが、私の袖をぎゅっと握った。ミラが、涙ぐんで微笑む。
(そう。私の居場所は、王都の華やかな大聖堂ではないの)
この、鐘の村。ここで、村の人々のために鐘をつく。それが、前世からずっと変わらない、私の生き方だ。
「もちろん、王都の鐘の直し方は、書面でお教えいたしますわ。無償で。……人が困っているのを、放ってはおけませんもの」
(まあ、割れた鐘は鋳直しからだから、何年かかるか分からないけどね)
使者は、深々と頭を下げて去っていった。
村に、静けさが戻る。
「セシリア」
ガーラントが、鐘楼の下に立っていた。強面の頬が、なぜか少し赤い。
「なんでしょう、ガーラント様」
「その……お前は、この村に残るのだな」
「ええ。何度も申し上げている通りです」
彼は、しばらく言葉を探すように、視線をさまよわせた。竜尾が、落ち着きなく揺れている。
「なら……」
ぐっと、拳を握る。
「俺が、この村を守る。──お前ごと」
(あら。不器用な、あまりにも不器用な求愛だこと)
強面を真っ赤にして、視線をそらしながら。でも、その言葉には、確かな温度があった。
「……ふふ」
私は、思わず笑ってしまった。
「頼りにしておりますわ、ガーラント様。尻尾も正直で、よろしいことですし」
「だから、尻尾のことは言うな!」
ゆらゆらと揺れる竜尾を見て、村人たちも笑った。トトが、二人の間を跳ね回る。
温かな、家族のような時間。
これが、私の掴んだ、本当の居場所だった。
◆
そんなある日。
遠い辺境からやってきた旅人が、こんな話を残していった。
「遠い北の地に、もう一つ、沈黙した鐘があるらしい。その村も、魔物に脅かされて、寂れる一方だとか……」
私は、鐘楼を見上げた。
(もう一つの、沈黙した鐘……)
「セシリア」
ガーラントが、私の考えていることを察したように、隣に立つ。
「行くのか」
「ええ」
私は、静かに微笑んだ。
漆黒の髪を、風がやさしく揺らす。
「次の鐘も、鳴らしに行きましょうか」
沈黙する鐘があるなら、私が鳴らす。
それが──前世から受け継いだ、私の、たった一つの誇りだから。
石畳の村に、今日も澄んだ鐘の音が響く。
──ゴォン。
その音は、遠い空へと、どこまでも広がっていった。




