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第1話 「世界を書き換える権利」

数ある作品の中から目に留めていただき、ありがとうございます。


もし、あなたのスマホに「世界を書き換える権利」が届いたら。 その代償が「隣の誰かの命」だとしたら、あなたはどうしますか?


今日から30日間、この残酷な世界の行く末を見守っていただければ幸いです。 ※5話まで一気に投稿しています。まずはそこまで読んでみてください。


 それは、月曜の朝だった。

 寝坊しかけて、パンをくわえたまま玄関を飛び出して、

 「今日もいつも通りの一日だな」って、何の根拠もなく思った。


 その瞬間、スマホが震えた。


 ピコン。

 通知音は、いつもと同じ。

 でも画面に表示された文面は、いつもと違った。


 ――

 【全ユーザーへの一斉通知】

 あなたは、“世界を1つだけ書き換える権利”を持ちました。

 使用期限:30日

 ――


 は?

 思わず足を止める。

 寝ぼけてるのかと思って、もう一度画面を見た。


 同じ文面。

 消えない。


「……なにこれ。スパム?」


 駅へ向かう人の流れの中で、俺は立ち尽くした。

 周りを見渡すと、同じようにスマホを見て固まっている人が何人もいる。

 誰かが小さく笑った。


「なにそれ、ドッキリ?」

 「世界を変えるって、映画の宣伝じゃね?」


 ざわざわと空気がざらつく。

 電車の中でも、みんな同じ画面を見ていた。

 検索しても、ニュースを見ても、同じ話題で埋まっていく。


“全人類に謎の通知”

 “世界を書き換える権利って何?”

 “フェイクか本物か”


 教室に入ると、もう完全にその話一色だった。


 「なあ、見た? あの通知」

 「見た見た。俺、世界平和にするわ」

 「いやいや、宝くじ当てるに決まってんだろ」


笑い声が飛び交う。

 冗談みたいなテンション。

 みんな、どこか現実感がない。


 


俺の隣の席の親友、結城颯太が、机に肘をついて言った。


 「こういうのってさ、どうせ嘘だろ。

 でももし本当だったら、早く使ったもん勝ちじゃね?」


俺は返事ができなかった。

 “世界を1つだけ書き換える権利”。

 あまりに大きすぎて、考えが追いつかない。


 窓際の席で、如月琴葉は黙ってスマホを見つめていた。

 いつも冷静なやつなのに、その日は指が少し震えているように見えた。


 「……信じてるの?」


 俺がそう聞くと、彼女は一瞬だけ視線を上げて、

 小さく首を振った。


「信じたいわけじゃない。

 でも、もし本当だったら……って、考えちゃうでしょ」


 その言葉に、胸の奥がざわついた。


 放課後。

 校門の前では、知らない大人たちがスマホ片手に言い争っていた。

 SNSは炎上、ニュース番組は特番。

 世界は一日で、妙にうるさくなった。


家に帰っても、テレビは同じ話題ばかり。

 俺は部屋で一人、ベッドに座ってスマホを見つめる。


 もう一度、通知を開く。


 ――

 あなたは、“世界を1つだけ書き換える権利”を持ちました。

 使用期限:30日

 ――


 使い方も、条件も、何も書いてない。

 ふざけた文章のくせに、やけに重たい。


「世界を変える、か……」


 俺は、これまで“でかいこと”なんて何一つしてこなかった。

 目標も夢も、特別な才能もない。

 クラスにいても、別に目立つ存在じゃない。


 なのに。


 もし、これが本当だったら。

 俺みたいな普通の人間が、

 世界に手を出していいのか?


 そのとき、画面が一瞬だけ暗くなって、

 新しい一文が表示された。


――

 ※あなたの選択は、他の全員の“選べなかった未来”を消します。

 ――


 心臓が、嫌な音を立てて跳ねた。


 冗談だと思いたかった。

 ただの悪趣味な演出だと笑い飛ばしたかった。


 でもなぜか、

 この文章だけは、嘘だと思えなかった。


 俺は、スマホを強く握りしめた。


世界を変えるか。

 それとも、何も変えないまま、30日を過ごすか。


 まだその選択が、

 自分の人生をどれだけ壊すかなんて、知らなかった。

第1話、いかがでしたでしょうか。


救ったはずの親友に忘れられる。 それは救済か、あるいはただの自己満足か。


この後、物語はさらに加速していきます。 続きが気になる方は、ぜひ次のエピソードへ。

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