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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第3章 少年少女よ、大志を抱け

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第91話 クラス対抗魔法魔術大会 一学年の部




 理月ビナー(七月に相当)十日。クラス対抗魔法魔術大会一学年の部が開催される。

 クラス対抗魔法魔術大会一学年の部から二学年の部は、クラスの中から選抜された五人の選手が放つ魔法で、制限時間内に、会場に並ぶ幾つかのサンドバックならぬ的である人形を木っ端微塵にできればOKだ。

 三学年の部になると、的が魔物に変わる。

 五学年の部は、クラスの選抜者同士で戦うトーナメント制になる。

 大会の会場は会館の隣にある円形競技場コロシアムだ。

 生徒の魔法の精度・速度・威力などを教師たちが観測し、どのクラスが最も優秀で、誰が最も優秀だったか点数をつける。

 審査員は一学年から五学年までの教師陣の中から選抜された教師と外部審査員として、宮廷魔導士も審査員として並んでいた。

 学園の生徒はいずれ宮廷の職に就く者も多い。魔法魔術大会では魔法が得意な者たちが並ぶので、いずれスカウトするため、唾をつけておきたい。だから、宮廷魔導士が参加している。


「今年もやって参りました、クラス対抗魔法魔術大会!十日の本日は一学年の部です。実況は私、三年B組のアルミン・ベルクが務めます」


 アルミンは茶髪に眼鏡を掛けた真面目そうな男子生徒が魔導マイクに向かって喋る。


「解説は私、四年A組のエルザ・クーニッツが務めさせていただきます」


 エルザはふんわりとした茶髪の可愛らしい女子生徒だ。男子に人気がありそうな感じだ。彼女の前にも魔導マイクが置かれている。

 二人は放送部の部員だ。


 放送部の実況と解説が語り始めたので、そろそろ、開演されるようだ。

 まず、開会式が行われる。

 開会の言葉と学園長の挨拶、一学年生徒代表であるシルウェステルの選手宣誓。そして、開幕した。


「まずは、一年F組の代表選手たちが並びます。先生の合図により、魔法が放たれていく!……しかし、的には傷一つ付いていない!クーニッツさん、これは一体?」

「はい、この的である人形は教師の皆様が作り上げた渾身の作品だと聞いています。人形の素材ですが、木材はトレント、布はシルクスパイダーの糸で作られていて、綿の代わりに大量の魔石が入っています。魔石には一つ一つ守護などの魔法陣が付与され、この人形を破壊できる者などいないだろうと言われております」

「それは大丈夫なのでしょうか?人形に傷がつかなくても」

「大丈夫でしょう。先生方は魔法自体を見ておられますから」


 Fクラスが終わると、E・D・Cクラスも魔法で的を攻撃するが、傷一つ付けられなかった。

 クラーラとアランがいるBクラスの選手の中に二人の姿はなかった。

 二人は特に魔法が得意という訳ではないので、選手に立候補もしなかったからだ。

 そして、バートのいるAクラス。バート以外の選手が魔法を放つが、やはり、傷はつけられなかった。


「【其れは美しき幻想、泡沫の涙、優しくも残酷な夢、出でよ、泡沫の蝶】」


 バートは詠唱し、水でできた何匹もの蝶を出現させた。詠唱魔術だ。

 そして、その蝶たちは五つの的に留まる。的は蝶によってあっという間に溶けていった。

 一瞬の沈黙の後、会場に歓声が響いた。


「これは!!なんということでしょう!一年A組のバート君がやりました!的をあっという間に溶かしてしまいました!!」

「凄いですね。先生方が作られた人形をこうも簡単に撃破というか溶かすとは……あっぱれです」


 バートに対する賞賛の声が会場中に響く。


「ここで、的を再度設置する為に休憩を挟みます」


 的を溶かしたバートは同じA組の選手からもみくちゃにされ、客席から降りてきたA組の生徒たちにもみくちゃにされていた。そして、胴上げもされて、A組はお祭り騒ぎになっていた。

 その様子を見ていたS組の生徒たちは自分たちの代表者である選手たちを心配した。

 S組の選手たちはといえば、控室で和やかに談話していた。

 メンバーはルクス・ラエティティア・シルウェステル・レヴァナそして、S組の一人で、ルクスのルームメイト、エクトル・フォン・ネーフェ=シュトゥーベンだった。


「え、君たち、もう婚約したの?」


 シルウェステルが驚いた様子でルクスとラエティティアに問う。


「うん」

「はい」


 二人は肯定した。


「はあ、羨ましい……レヴァナ……早く婚約しようね」


 シルウェステルはそう言ってレヴァナの肩に頭を載せた。


「はい、シルウェステル様」


 レヴァナはくすくす笑いつつ、シルウェステルの頭を撫でた。


「そういえば、エクトルとティアって親戚かな?」

「ああ、アルノルトさんとは会ったことはなかったけど、親戚だね。父がそう言っていた」

「遠縁ですから、シュトゥーベン様とは雲泥の差がありますわ」

「確かに只の公爵令息と幻金級オリハルコンランク冒険者じゃ格が違うかもしれませんね」

「まあ、揶揄わないでくださいますか?」


 ラエティティアとエクトルは微笑みつつも棘のある言葉のやり取りをしている。


「二人は気が合わないのかな?」

「たぶん同族嫌悪というものでしょうね」


 シルウェステルとレヴァナはこそこそと話しつつ、二人のやりとりを見ていた。


「そろそろ出番だ、皆、行こう」


 ルクスの一言で睨み合っていた二人は顔を背け、前を向いた。


「「はい」」


 S組選手の出陣だ。


「今度の的は先程の的よりも強靭らしいです」

「はい、今回の的は鉄でできていますが、希少な鉱石であるアダマンタイトで表面をコーティングしています。また、中には空洞があり、その空洞には魔石がたくさん入っています。前回と同じく守護などの魔法陣が付与されておりますので、壊すのは至難の業です」

「なるほど……おっと、S組の選手たちが入場してきます」


 グラウンドに出てきたS組選手たちはS組の声援を受ける。

 先生の合図がグラウンドに響く。


「始め!」


 まず、ルクスとシルウェステルが前に出た。


「「【万雷一鳴】」」


 雷属性の超級魔法だ。上空で小さな万の雷が一つの太い一束となって、落ちる。

 二人が同時に詠唱したため、その束は二つあり、地上で一つとなった。


ピッシャーーン


 目が~目が~、と言う生徒もいれば、消し炭になった的を見て困惑している教師もいる。


「消し炭になったけど、まだ残ってるから、皆も殺っちゃって」


 ルクスがそう言うと待ってましたと言わんばかりに目を輝かせたラエティティアが前に出た。


「【氷華】」


 蓮の花のような美しい氷のオブジェが消し炭を凍らせた。ちなみに、これは上級魔法だ。

 ラエティティアはレヴァナとバトンタッチした。


「【審判の炎】」


 とても大きな白い火柱が氷を瞬く間に溶かし、消し炭をも燃やし尽くした。後にはマグマのように燃え滾る地面が残った。


「危ないから、消そうか【闇の扉】」


 エクトルが闇属性の上級魔法を使った。燃え滾る地面は闇に呑まれて消えた。地面には穴が開いてしまった。


「直しておくか、土よ」


 ルクスは魔素に干渉して、魔素から作り上げた土で穴を塞いだ。

 あまりの出来事に静かだった会場はやがて爆発的な歓声に溢れた。

 ルクスたちは皆で抱き合って喜び合った。

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