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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第3章 少年少女よ、大志を抱け

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第84話 廃坑ダンジョン百層





 到達した百層の扉はドラゴンが象られた荘厳な造りで、見るものを圧倒させた。


「厳つい扉だな……」


 アランはそう言って巨大な扉を見上げた。


「厳ついけど、かっこいい」


 クラーラはきらきらした目で見上げている。


「確かに、そう言われれば」


 バートは納得した様子で扉を見上げた。


「そうですね、そう言われると……」


 ラエティティアも納得したように扉を見上げる。


「じゃ、入るよ」

「ちょ、ルクス。入る前に何かアドバイスはない?」


 バートがルクスに問う。


「んー……。ないよ。今まで通りに戦えば、問題ないよ」

「ええー」

「大丈夫、大丈夫、俺は皆を信じてる。皆も俺を信じてよ」


 ルクスは茶目っ気たっぷりにウインクした。


「おう」


 アランはガッツポーズをした。


「私はルクス君を信じますわ」


 ラエティティアは微笑む。


「信じるー」

「同じく」

「私も」


 クラーラとアスター、シアーシャがそう言った。


「分かったよ、僕も信じるって」


 バートはそう言って、杖を構えた。


「うん、ありがとう。さあ、行こう!」


 おおー、と全員が声を上げたと同時に、ルクスは扉を開いた。

 全員が中に入ると、扉は閉まり、壁のランプに黒っぽい紫の火が宿っていく。

 黒っぽい紫色の光に照らされた部屋の奥には巨大な影が見えた。


「ドラゴン……」


 バートが呟いた。

 そう、巨大な影は真っ黒な鱗に覆われた巨大なドラゴンだった。


傲慢の魔王(ルシファー)

最下層のダンジョンボス。邪神の眷属にして、七つの大罪の一つ【傲慢】を持つ魔王の分身。

詳細はこちら→


 ルクスは目を丸くした。


(魔王!?ゲームだと、廃坑ダンジョンのダンジョンボスはただの黒龍だった筈だけど……それに、|Sefirot Chronicleセフィロトクロニクルでは魔王は一体だけだった。けど、七つの大罪って文字が入っているとなると、魔王は七人いるのか?)


 ルクスは詳細を確認した。


傲慢の魔王(ルシファー)(分身)】

種族:邪龍

性別:雄

年齢:???

レベル:100

???


 ルクスはある文字に注目した。


(『分身』……本体ではないのか)


 分身なのにその威容は凄まじいものがあった。

 巨大なドラゴン──傲慢の魔王(ルシファー)はこちらに顔を向けた。


「我が眠りを妨げるは、お前たちか」


 喋った!?という驚きの声が上がる中、ルクスは応える。


「ええ、そうです。貴方に戦いを挑みに来ました」

「……良かろう。我に挑むがいい」


 傲慢の魔王(ルシファー)はその翼を広げて、飛び上がった。

 天井は円柱状になっていて、約千メートルほどの高さがある。

 傲慢の魔王(ルシファー)は遥かなる高みから黒い炎──ドラゴンブレスを地上に向けて放った。


「アラン!」

「おう!【幻影の盾】!!」


 アランは頭上に盾を構えて、幻影の盾を発動させた。ドラゴンブレスは幻影の盾により、受け止められた。


「ほう、これを受け止めるか、ならば」


 傲慢の魔王(ルシファー)は地上付近までやってきて翼をはためかせる。すると、鋭い風の刃が産まれ、辺りを切り裂き始めた。


「バート!」

「うん!【岩壁】【岩壁】、【岩壁】!!」


 バートは魔法で三枚の巨大な岩壁を黄金の導の面々の周囲に立ち並ばせた。

 風は鋭く、岩壁はどんどん削られていく。その度にバートは魔力で補修した。


「ラエティティア、アスター、シアーシャ、バフお願い」

「「はい(うん)!」」


 三人にバフを掛けて貰ったルクスは風属性魔法で飛翔し、岩壁から抜け出した。風の刃がルクスに襲い掛かるが、何故かルクスまで届かない。

 ルクスの周りには風の障壁が張られているのだ。


「【氷槍】」


 ルクスは周囲に沢山の氷槍を作りだし、魔素を使って風を纏わせた。螺旋状に氷槍に纏わせた風はまるで、銃のライフリングのような役割を持っている。

 ルクスは別の風を作り出して、弾丸を打つときのようなスピードを氷槍に持たせ、発射した。

 目にも止まらぬ音速よりも速いスピードで撃たれたいくつもの氷槍は傲慢の魔王(ルシファー)の身体のいたるところに深々と刺さった。

 傲慢の魔王(ルシファー)は地に倒れ伏した。


「人の子にしては強いな……」

「そうかな?」

「だが、何度倒しても我は死なん。何故なら我は分身だからな」

「知ってるよ」

「!?」


 ルクスは分身を何度倒しても意味はないと鑑定してから感じていた。何か手はないかと、戦いながら自身のスキルを見直していたとき、あるスキルが目に留まった。


「というわけで、このスキルを試してみまーす。【テイム】」


 先日、薬師のおばあさんであるアメリアに貰ったスキルスクロールで取得したテイムをルクスは試した。

 ルクスの前にホログラムウインドウが現れた。


[対象をテイムできませんでした]


 ルクスはそれで諦めなかった。


「【テイム】【テイム】【テイム】……」

「ちょっと、何をするのだ?そんなに試すのは止めろ。何度も拒否せねばならないではないか」

「ふうん?拒否してるんだ?……すごーく痛くてつらい拷問を受けたいのかな?」

「ひっ、恐ろしいことを言うではない……分かった、どうせ、許諾したところで、お前の従魔になることはないだろう」

「どうして?」

「当然だ。我は邪神の眷属だ。その眷属をテイムなどできるわけがない」

「とりあえず許諾してみて【テイム】」

「……どうせ、無駄だからな」


 傲慢の魔王(ルシファー)は許諾した。すると、傲慢の魔王は眩い光に包まれた。


[【傲慢の魔王(ルシファー)】が邪神の眷属ではなくなりました]

[誰も成し得なかった偉業を成しました。称号【英雄】を取得しました]

[神龍(幼体)を従魔にしました]

[【廃坑ダンジョン】を攻略しました。報酬として、【赤陽剣】を贈ります]

[神々が貴方を褒め称えています]


 たくさんのホログラムウインドウに目を通していたルクスの耳に幼い叫び声が響いた。


「な、なななー!?」


 光が収まるとそこには幼い黄金の鱗に赤い瞳のドラゴンがいた。


「な、なんでだ!?我は魔王だったはずなのに、全ての力がなくなってしまったではないか!」


 しかも、こんなに小さくなってしまったではないか!!と幼い龍はお怒りだ。


「ええっと、ごめんね?」

「ごめんね、で済む問題じゃなーい!」

「とりあえず、状況把握のために鑑定するよ」

「……うむ、分かった」


 ルクスは鑑定した。


【NO NAME】

幼い神龍。ルクスの従魔。

傲慢の魔王(ルシファー)だったが、ルクスが従魔にしたことにより、その権能は邪神に返還され、邪神の眷属ではなくなった。邪龍ではなく、本来の姿になった。長らく、神々から離れていたため、力を失っているので、幼い)

詳細はこちら→


 ルクスは詳細を確認した。


【NO NAME】

種族:神龍(幼体)

性別:雄

年齢:???

レベル:50

???


 ルクスは悩みつつ、幼い龍に真実を告げた。


「な、なに!?我は邪神の眷属ではなくなったのか!?」

「うん」

「……ふむ、そう、か」


 幼い龍はそうかそうか、と頷いた。


「久方ぶりに解放されたような心地だ」

「んん?」


 思っていたのと違う反応にルクスは首を傾げた。


「あの邪神の口車にまんまと乗せられて眷属になったがのぅ、あまり心地よいものではなかった。四六時中、傲慢の心が湧き出るのが不快でな、神々に封印されてからは、ずっと寝ておったのだ」

「封印?」

「なんだ、知らんのか?数多あるダンジョンは邪神とその眷属を封じるために神々が用意したものだ」

「え!?ダンジョンが封印って、どういうこと?」

「ふむ……我がお前たちに教えてもメリットはないしなぁ」


 意地悪な幼い龍の元にラエティティアがやってきた。


「よろしければ、このイチゴを食べてみませんか?」


 赤く瑞々しいイチゴはとても美味しそうだ。


「賄賂か、そのようなものに我は屈さな、むぐ」

「ささ、どうぞ」


 ラエティティアは幼い龍の口に無理やりイチゴを入れた。


「もぐもぐ……美味いな」

「ささ、もっとありますよ?」


 アイテムポーチから掌いっぱいのイチゴを取り出したラエティティアは幼い龍に餌付けするように食べさせていく。


「もっと欲しいのだ」

「でしたら、私たちに教えていただけませんか?」


 幼い龍はぐぬぬ、と悔し気に唸りつつ、目を閉じた。


「そこまでお願いされれば、仕方あるまい」

「(いや、イチゴに負けただけだろ)……」


 ルクスは心の中でツッコミを入れたが、口にはしなかった。


「ダンジョンの奥深くには邪神の眷属の本体がいる。ダンジョンのモンスターはその分身で、多くの分身を倒せば倒すほど、封印が延長される。それを知らない人々にダンジョンを攻略させるために、神々はドロップアイテムや宝箱を用意したのだ」

「なるほど……」

「定期的に魔物暴走スタンピードが起こるのは、邪神の眷属たちの封印を延長するためだな」

「へぇえ?なんで、俺は君を従魔にできたんだろう?本体は地の底にいるんだろう?」

「まあ、そうだな。お前のテイムを許諾したとき、何か神聖な力を感じて本体が引き摺り出されたのは分かったが、それ以上はよく分からん。もしかすると、お前を通して神々が我を引き抜いたのかもしれん」

「ダンジョンについては大体分かった。もう一つ聞きたいことがあるんだ」

「なんだ?」

「魔王は七体いるの?」

「……ふむ、そうだ」


 ルクスは複雑そうな表情を浮かべた。


(ゲームでは一体だった魔王が七体もいる、どういうことだろう。ゲームではリソースの問題で入れられなかったのだろうか。シルウェステルが勇者として目覚める前に俺が魔王を従魔にしてしまうなんて……俺が勇者みたいな感じじゃないか)


 ルクスは頭を抱えたくなった。


「そう……分かった。君を従魔にできたことについては、考えても分からないから、この話は終わりにしよう」

「ふむ、そうだな」

「そういえば、地下への扉が見当たらないけど、此処が最下層なの?」

「……そうだが。我がこのダンジョンのボスだったが?」


 我が強くないとでも言いたいのか?と幼い龍はルクスの前に飛んで来てガンつけた。


「はいはい、君は強いって。だから、俺の顔の近くでガン見しないで」

「ふん!」


 幼い龍はそっぽを向いた。


「ルクス君」

「なに?ラエティティア」

「この子にお名前を付けた方が良いのでは、と思うのですが……」

「確かに、呼びづらいからね」

「ええ」

「名前か、付けるなら我に相応しい名前を付けよ」

「んーと、じゃあ、『ルベウス』にしよう。古代ウェトゥム語で赤きほむらって意味があるから」


 赤い瞳が炎のように見えるので、ルクスはその名を付けた。


「良かろう」


 幼い龍──ルベウスの身体が一瞬淡い光を帯びたが、すぐに消えた。

 ルクスが鑑定すると、名前がルベウスに変わっていた。


「じゃあ、よろしくね、ルベウス」

「……お前の名を知らんが」

「ごめんごめん、俺はルクスだよ」

「ふむ、我が主はルクスか。よろしく頼む。主」

「結局、名前で呼ばないんだね……まあ、いっか、よろしく」


 ルクスはルベウスに握りこぶしを向けた。


「なんだ?」

「挨拶だよ。拳同士を合わせるんだ」

「人の子は変な挨拶をするもんだな」

「良いじゃん、さあ」


 ルベウスは渋々、ルクスとグータッチした。

 義理は果たしたと、ルベウスはラエティティアの元に向かい、イチゴを強請った。ラエティティアは苦笑しつつ、ルベウスにイチゴを渡した。


「よし。さあ、皆!帰ろうか」

「「おおー」」

「「はーい」」


 皆の返事を確認したルクスは魔法陣に乗った。後から仲間たちも次々と魔法陣に乗って地上に帰還した。

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