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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第3章 少年少女よ、大志を抱け

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第81話 誕生日パーティー




 バートにバレることなく、誕生日プレゼントを用意し、バート以外のメンバーは少しどきどきしつつ、食堂でバートの入室を待った。


「そういえば、俺とラエティティアのときは花束で済ませてたよね?」

「なんで俺に聞くの?……いや、あの時は俺たちのお小遣いが少なかったから、ベネディクトゥスさんに頼んで生活費から出してもらったんだ。だからだな」

「ああ、なるほど……あれ、それって元々俺のお金じゃ」

「まあ、細かいことは気にするなって!」


 アランはあはは、と笑ってルクスの背を叩いた。

 コンコン、と部屋をノックする音が響いた。

 扉を開けたのはヘレナだった。ヘレナと共にモーニングのような落ち着いた焦げ茶の礼装を纏ったバートがやってきた。


「「バート、誕生日おめでとう!!」」


 皆で声を合わせてバートを迎える。バートは目を白黒させていた。


「僕の誕生日、覚えてたんだ……」

「おう!」


 アランは本日思い出したにも関わらず、笑顔で応えた。


「……」


 ルクスは思い出せなかったので、そっと目を逸らした。


「え、ルクス……忘れてたの?」

「ごめん」

「あはは、いいよ。多分、アランがぎりぎりで思い出してくれたんだよね?」

「アランが思い出したのは、今日の午前中だった」


 クラーラが補足するように言った。


「やっぱり」

「やっぱりとはなんだ、やっぱりとは」


 アランがバートの言葉にむっとした顔で反応した。


「だって、アランだもん」

「だもん、じゃないよ、可愛く言っても酷いもんは酷いからな」

「あはは」


 アランとバートは笑い合った。


「さて、皆、それぞれプレゼントを用意しているから、渡すよ。まずは俺から渡すね」


 ルクスはバートに麻布に包まれたものを渡した。


「開けてもいい?」

「良いよ」


 バートが麻布を取ると、中から額縁に収まった絵画が現れた。


「小麦畑の絵だね」

「うん、なんか懐かしくて、俺たちがもっと小さかった頃は小麦畑もこんな感じだったろ?」

「!うん、そうだね……ありがとう、ルクス。大事にするよ」

「うん、大事にしてね」

「じゃあ、次は俺からだな」


 アランがバートに渡したのは、木彫りの猫の置物だった。


「よく、俺たちが遊んでるときに遊びに来た猫がいただろ?」


 トアル村に三人がいたころの話だ。


「あ、白猫のみーちゃん?」

「ああ、みーちゃんの代わり」

「代わりにはならないかな……ま、大事にするよ、ありがとう、アラン」

「どういたしまして」

「次は私たち四人からです」


 本を持ったベネディクトゥスたちがバートの元にやってきた。


「私からは『改訂版 魔法陣の基本的な考察について』を」

「私は『詠唱魔術のコツ』を」

「私は……『アルヒ王国秘境探訪記』を選びました。バートさん、あまり外に出られませんから、少しでも外に興味を持てたら、と思いましたの」

「『王都食べ歩き日記~勇者暦千二十年~』を選んだよ。たまには食べ歩きもおすすめ」


 ベネディクトゥスとヘレナ、ラエティティア、クラーラがそう言って、バートに本を渡した。

 どの本も最近できた本で、新しい。


「僕、そんなに家に籠ってるかな?」


 ルクスたちにバートが尋ねると、ルクスたちはうんうん、と頷いた。


「……気が向いたら、散歩とかするよ」

「まあ、ダンジョン攻略とかで外には出てるから、まだ良い方だと思う」


 ルクスはそう言ってフォローした。


「そうだよね!」

「それ以外はほぼ書庫にいるイメージだけど」

「うっ、否定できない……」

「よろしいじゃありませんか、ずっとゴロゴロしている訳でもありませんし」


 アデリナがそう言ってコッコの丸焼きが載った皿を持ってきた。


「そうかな?」

「ええ、それより、夕食の用意ができましたよ。並べるのを手伝ってくださいな」


 アデリナに促されたルクスたちは調理場に入って料理の載った皿を持って机の上に並べていった。


「豪華な料理はヴォルフとアデリナさんと使用人さん皆からのプレゼントだよ」

「あ、ありがとうございます」


 バートはヴォルフとアデリナと使用人たちがいる調理場で礼を言った。


「「誕生日おめでとう」」

「「おめでとうございます」」


 ヴォルフとアデリナ、使用人たちは口々に祝いの言葉をバートに掛けた。


「ありがとうございます」

「さあさ、ご馳走を食べましょう」


 アデリナに促されたバートたちは席に座った。バートはお誕生日席に座った。


「ルクス君、乾杯の音頭をお願いね」

「はい、皆、グラスは持ってる? うん、じゃあ、バートの誕生日を祝して、かんぱーい」


 ルクスはそう言って水の入ったグラスを掲げた。


「「かんぱーい」」


 子供たちが掲げたグラスも水が入っている。大人たちはワインの入ったグラスを掲げた。

 水についてだが、アルヒ王国の上流階級や水の魔導具が置かれている家は綺麗な水が出るようになっている。

 魔導具がない庶民は、井戸水などを使用している。井戸は各街区にある。

 それ以外にも、王都は川から水を引きこんでいて、外壁の周囲には水が流れている外堀があり、その外堀から中に通じる細い水路が続いていて、王都内の水路に繋がっており、井戸が混んでいるときは水路の水を使う者も多い。

 川の水なので煮沸する必要があるが。


「美味しい……」


 そう呟く者もいれば、夢中になって食べている者もいる。

 あっという間に平らげてしまった面々の前に使用人たちがデザートを置いた。

 ルクスは最初、使用人たちも一緒の食卓で構わないと言っていたが、使用人やベネディクトゥスやヘレナに反対されたため、断念することになったので、使用人たちは壁に控えているのだ。


「白いケーキ……もしかしてチーズケーキですか?」


 バートがそう言うとヴォルフは頷いた。


「その通り」

「よく分かったわね、バート君」


 アデリナが感心した様子で言った。


「書庫の本に書いてあったんです。」

「そう、色んな本を読んでるのねぇ。偉いわ」

「ありがとうございます」

「このチーズケーキはレアチーズケーキっていうの。さあ、食べましょう」

「はい」

「皆さんもどうぞ……って、クラーラったら、もう食べてるの?」

「だって、美味しそうだったから……もぐもぐ」

「あらあら」


 アデリナはクラーラの口の端に付いた食べ滓をハンカチで拭いてあげた。


「ありがとう、お母さん」

「どういたしまして」


 和やかな食卓を囲んだ仲間たちの様子を眺めつつ、ルクスはレアチーズケーキに舌鼓を打った。

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