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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第3章 少年少女よ、大志を抱け

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第80話 贈り物




 知月コクマー(十二月に相当)十日。寒さ厳しく、外は雪が降っている。あまり家から出たくなくなる季節だ。

 ルクスは次のダンジョン探索に向け、どの層のセーフティエリアで休んで、どの層まで潜るか和紙に鉛筆で書きこんでいた。


コンコン


 一段落したところで、部屋の扉がノックされた。


「どうぞ」

「失礼します、ルクス君」


 入ってきたのは、ラエティティアだった。


「どうしたの?ラエティティア」

「ルクス君、なにか忘れてはいませんか?」

「忘れている……」


 なんだろう、と思ってルクスは考えを巡らせたが、とんと、思い出すことはなかった。


「先程、アランさんが思い出されたのですが、今日はバートさんの誕生日らしいのです」

「ああー!そっか、すっかり忘れてた」


 言われて思い出したルクス。バートが不憫である。


「今日の今日ですけど、何か用意しようと談話室で相談しています。ルクス君は……何か書いていらっしゃったのですね、後にされますか?」

「ううん、今行くよ」


 ルクスはラエティティアに連れられ、談話室にやってきた。

 談話室では話が行き詰っているようだ。


「みんな、バートへのプレゼントは決まった?」


 ルクスは浮かない表情をしている仲間たちに声を掛けた。


「実はですね、ルクス様、全員同じプレゼントが良いという話になっておりまして……」


 ベネディクトゥスは未だにルクスを様付けしている。「自分はルクス様の臣下ですから」と言い張って止めないのだ。

 そんなベネディクトゥスも浮かない表情で言い淀む。


「え、同じプレゼント?」

「はい、皆さん本が良いという意見は出ますが、それ以外の意見が出ません」

「ああ……」


 最近のバートは魔導書以外にも様々な本を読み漁っているからだろう。本人としては、様々な知識が魔法にも活かされるという考えなのだ。


「しかし、この屋敷には多くの蔵書があります。それ以外の本を見つけるとなると、難しいと思いまして……」

「新しく発行された本があれば良いかもしれないね……」

「!そう、ですね……新しい本、本屋には大抵古本が置いてありますが、新しい本も偶にあります。それが狙い目ですね」

「あと、プレゼントを本に限らず、別のものも用意すれば良いんじゃないかな?」

「ええ……すでにヴォルフさんとアデリナさんが豪華な夕食を作るべく、使用人たちと買い出しに行っています。彼らは豪華な食事をプレゼントにするつもりのようです……」

「(だから、ヴォルフとアデリナはいないのか)自由気ままと風任せ、それから人それぞれは今日もダンジョンに潜っているから期待できないしなぁ」

「はい……貴族であれば、花や著名な美術品や宝飾品や異国の工芸品などで済ますのですが」

「あはは……バートは普通の子供だからね……とりあえず、此処にいても良いアイデアは浮かばないよ。街に出て探してみよう」

「分かりました」

「みんなもそれで良い?」

「ああ、寒いけど探してみる」


 アランはちょっと嫌だけどと言いつつ、ソファーに掛けてある外套を纏った。最初から外に出るつもりだったのだろう。


「私も寒いの我慢する……」


 クラーラはアランの外套の横に置いておいた自身の外套を纏った。


「二人とも準備万端だね」


 と言いつつ、ルクスはアイテムポーチから外套を取り出し、羽織った。

 ベネディクトゥスとヘレナ、ラエティティアも自身のアイテムポーチから外套を取り出した。

 ちなみに、クラン自由の翼では所持者を魔力で識別するアイテムポーチをクランメンバーにプレゼントしている。

 このアイテムポーチは魔法商店の主アルイスターが作ったもので、作者から直接購入しているため、普通よりは安く仕入れできている。


「さてと、皆、行こうか」


 寒いけど、と言いつつルクスたちは出発した。

 実はセット装備を着れば寒くはないのだが、皆、冒険以外のときは着たくないようだ。

 アラン曰く、「セット装備着ると仕事モードになるんだよな」ということらしい。


「皆で商人街に行くのも良いかもしれないけど、ここは二手に分かれよう」


 と言いつつ、ルクスはアランの手を掴んだ。


「俺とアランは職人街、ベネディクトゥスとヘレナ、ラエティティア、クラーラは商人街で探そう」

「え?ちょ、ルクス」

「まあ、良いから良いから」


 ルクスはアランを連れていってしまった。

 ベネディクトゥスたちは顔を見合わせ、笑い合い、和やかに商人街に向かった。


「なあ、ルクス、どうしたんだ?」

「久しぶりにアランと話そうと思ってね。しばらく互いに色んな人と一緒にいたから腹を割って話せなかったからね」

「ふーん、で、何を話すんだ?」

「うーんと、恋バナ?」

「こいばな、ってなんだ?」

「恋の話だよ」

「こい?まさか、れ、れれれ恋愛のあれか?」

「うん」

「男がそんなこ、恋の話なんて気軽に話すもんじゃないって」


 アランはそう言って恥ずかしそうに顔を背けた。


「いいじゃん、俺たち友達だろ?」

「うーん」

「そこで悩むなよ!」

「はは、冗談だって。でも、本当にするのか?その、恋バナってやつ」

「まあ……そこの木の下で話すか」

「お、おう」


 二人は木の下に移動した。


「真面目な話さ……早めに告白した方が良いと思うよ、アラン」

「え」

「クラーラさん美少女だから、学園に入ったらモテると思うね。……ラエティティアもモテるだろうから俺も早く告白しなきゃなんだけどね(まだ、ちゃんと好きって言えてないし)」

「え」

「横から誰かに掻っ攫われたくないから、本当は結婚したいけど、成人してないと結婚できないからさ……」


 ルクスは溜息を吐いた。


「クラーラに告白……」


 アランの頬は赤くなっている。


「うん、ま、頑張ろうよ、お互いにね」

「あ、ああ……頑張る」


 クラーラのこととなるとポンコツになる友人アランに内心エールを送ったルクス。


「さて、バートの誕生日プレゼントを買いに行くか」

「お、おう」


 ルクスとアランは木から離れ、通りを歩いて、職人たちの工房を訪ねて回ることにした。

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