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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第2章 色とりどりの日々

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第72話 建国祭




 翌日、お昼ご飯を食べたルクスは、ラエティティアに声を掛けた。


「ラエティティア、ちょっと良い?」

「はい、ルクス様」


 ルクスはラエティティアを連れて談話室にやってきた。


「その……ラエティティア、これを君の右手に結んでも良いかな?」


 ルクスがそう言って取り出したのは、ヘレナが昨日、ルクスに渡したリボンだった。


「まあ……勿論、大丈夫ですよ」


 ラエティティアは嬉しそうな様子で、右腕を差し出した。


「良かった。……結ぶね」


 ルクスはラエティティアの右手首にリボンを結んだ。


「その……ルクス様、私もお願いがありまして……」

「ん?なんでも聞くよ」

「ふふ、お願いを何でも聞いてはいけませんわ。……私のお願いはこれです」


 ラエティティアは微笑みつつ、銀糸で月の紋章が刺繍された白いリボンを取り出した。


「このリボンをルクス様の右手に結んでもいいですか?」

「!……うん、勿論良いよ」


 ラエティティアはリボンをルクスの右手首に結んだ。


「できた」

「うん、綺麗に結べてるね」

「はい、我ながら上手く結べました」


 ラエティティアは、ルクスの右手に結んだリボンを愛おし気に撫でた。

 その眼差しが、愛おしいと思ったルクスはラエティティアの右手を掬い上げリボンに口付けた。

 ラエティティアは、ルクスの恋情を感じる目を見て、頬を真っ赤に染め上げ、目を逸らした。


「る、ルクス様、お祭りは行きませんの?」


 ルクスはラエティティアの手を優しく引いて、抱きしめた。


「る、るる、ルクス様!?」


 ラエティティアは更に顔を赤く染めて慌てた。


「ラエティティアが可愛すぎて外に出したくない……」


 ラエティティアとルクスはヘレナによって、お出かけコーデに身を包んでいる。

 ラエティティアは、レースが使われた白いワンピースと赤いストールを纏っている。白という色がラエティティアをより、儚げで清楚な天使のように見せ、赤という色はルクスの髪色を纏っているようだ。頬を染め、目を潤ませているラエティティアは、ルクスからすると、世界一可愛く見えていた。

 ちなみに、ルクスはといえば、赤いジャケットと白いパンツ、白いシャツとネクタイを纏っている。


「ルクス様ぁ……」


 へにゃり、とラエティティアの力が抜けた。


「ラエティティア!?」


 倒れそうになるラエティティアをルクスは支えた。


「こ、腰が抜けました」

「はは……ごめん、ラエティティア」

「大丈夫です。ちょっとだけ、休めば治りますわ」

「うん……」


 ルクスはラエティティアをソファーに寝かせ、近くで見守ることにした。




 街は建国祭で盛り上がっており、多くの人々がお祭りのとき限定の露店を眺めたり、購入したりしている。

 回復したラエティティアとルクスははぐれないようにと、手を繋いで露店を眺めていた。


「わぁ、かわいい」


 ラエティティアの視線のさきには犬や猫の形をした飴を売る露店があった。


「よし、買おうか」

「あ、ルクス様、私も出します」

「だーめ。俺にプレゼントさせて」

「まあ、ありがとうございます、ルクス様」


 犬や猫のかたちをした飴を買ったルクスとラエティティアは、噴水広場のベンチで食べることにした。

 ラエティティアは夕空を見て、しょんぼりした。


「もう、日が暮れ始めてますね……すみません、私が腰を抜かしてしまったから……」

「いや、元はと言えば俺のせいだから、気にしないで。飴を舐めたら行きたいところがあるんだけど、付き合ってくれるかな?」

「はい、是非」


 二人は他愛もない話をしつつ、飴を味わった。


「食べました」

「ん、じゃあ、行こうか」


 ルクスはラエティティアをエスコートし、市民街の時計台にやってきた。

 その頃には、辺りは暗くなり、建国祭のために道端に置かれたランプに火が灯され始めていた。

 時計台の上、展望階に、階段を上ってあがってきたルクスとラエティティア。

 高レベルな二人は息一つ乱れていない。


「まあ!」


 ラエティティアは感嘆の声を上げる。

 展望階から見渡す王都の夜景は普段と違ってランプの灯りがあるので、より幻想的で美しかった。


「なんて、綺麗なの……」


 ラエティティアは景色に見惚れていた。

 ルクスは夜景よりもラエティティアの横顔に見惚れている。


「ラエティティア」

「?」


 ラエティティアは横を向いてルクスを見た。

 不意にルクスは跪いてラエティティアの右手を取った。


「ラエティティア、もし、今の関係が変わっても、ずっと、傍にいてくれるか……?」


 ルクスは懇願するような表情を浮かべ、ラエティティアの右手に自身の額を当てた。


「ルクス様……」


 ラエティティアはしゃがんでルクスの頬に手を当てた。


「顔をあげてくださいな。ルクス様」


 ルクスは目を瞬かせる。

 俯いていた顔をあげると、可愛らしくも美しい笑みを浮かべたラエティティアがいた。


「ルクス様は私の光、私の導……。私の方こそルクス様に願わなければなりませんわ」

「ラエティティア?」

「ルクス様、どうか、私と共に生きてください。共に笑い、共に泣き、共に楽しみ……。私は、生涯、ルクス様と共に居たいのです」


 晴れやかな笑みを浮かべたラエティティアが眩しくて、綺麗で、ルクスは目を細めた。

 一粒の涙がこぼれた。


「ああ、一緒にいよう……。どんなことが起こっても、一緒に生きて行こう。ずっと……、一緒に」


 泣きながら、ルクスは笑っていた。どこかで感じていた孤独感や寂しさが全て癒されるようだった。

 そんなルクスをラエティティアは抱きしめた。


「一緒にいましょう、ルクス様」


 ルクスはしばし、ラエティティアの腕の中で泣いた。


「……未来はどうなるか分かりませんけど、もし、私が貴方を置いていくことがあったとしても、私の心はいつも貴方の傍にあります。来世があるならば、どこか違う場所、違う世界に行ったとしても、いつか貴方の元に帰りますわ」


 ラエティティアの声に宿る決意の色に、ルクスは息を呑んだ。涙も引っ込んだ。


「……ふふ、それは難しいかもしれないな」


 真面目に返答してしまったら、ラエティティアが決意を確かなものにしてしまうのでは、と危惧したルクスは、茶化した。

 ルクスはラエティティアの言葉が嬉しかった。嬉しかったからこそ、決意させるべきではない、と思ったのだ。

 未来は誰にも予想できないものだから。


「まあ!ルクス様ったら、いじわるですね」

「そうか?」


 ルクスは立ち上がって、ラエティティアに手を差し伸べた。

 ラエティティアは「ありがとうございます」と言って、その手を取り、立ち上がった。


「ラエティティア、ありがとう」


 ルクスは万感の思いを込め、微笑んだ。


「……どういたしまして、ルクス様」


 ラエティティアは柔らかな笑みを浮かべた。


「帰ろうか、そろそろ夕食の時間だ」

「ええ、帰りましょう」


 二人は手を繋いで、家路についた。

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