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ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第1章 昔日の記憶は導となる

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第6話 噴水広場の老人




「あ、そうだ、自己紹介が途中だったね、皆も自己紹介しようか」


 ベネディクトゥスがお辞儀して、口を開いた。


「私はベネディクトゥスと申します。貴族でございましたが、没落し、奴隷となりました」

「私はヘレナと申します。ベネディクトゥスの妻です」

「娘のラエティティアと申します」


 ベネディクトゥスはグレー掛かったベージュ色の髪と、銀色の瞳を持つ美形。

 ヘレナはホワイトブロンドと緑色の瞳を持つ美女。

 ラエティティアはホワイトブロンドと銀色の瞳を持つ妖精のような美少女だ。


「次はお前たちだな」

「あ、トアル村出身のアランです。口減らしで売られた農家の四男坊です」

「同じく、トアル村出身のバートです。口減らしで売られた農家の六男坊です」


 アランとバートの自己紹介が終わると、ルクスはアイテムポーチから大銀貨五枚を取り出してベネディクトゥスに握らせた。


「?ルクス様」

「これで皆の服や必要な物を買って欲しいんだ、よろしくね、ベネディクトゥス」

(うけたまわ)りました」


 ベネディクトゥスは(うやうや)しく頭を下げた。


「ルクス様は、どちらへ?」

「うーん、内緒。でも、日が暮れるまでには帰るよ」

「かしこまりました。お気をつけて」

「ベネディクトゥスもね、アランとバートが迷子にならないように見張ってくれると嬉しい」

「勿論、見張ります」


 「すげー子供扱いされてる」と言うアランと、「実際、子供だしね」と言うバート。バートの方が大人な反応だ。


「じゃあ、一旦、解散ね」

「はい、では、行ってまいります」


 ベネディクトゥスはヘレナとラウラ、そして、アランとバートを連れて古着屋に向かった。

 見送ったルクスは、眠り猫亭を出て、表通りを歩き、中央の噴水広場に出る。

 噴水広場で片っ端から人を鑑定していったルクスは、とある老人に目をつけた。


【アルイスター・クラウリー】

夜明けの魔法商店の店主。

詳細はこちら→


 自分を鑑定するのと違って、他人を鑑定すると名前と簡単な説明だけが先に表示される。詳細を見るとその人の過去まで分かってしまうので、ルクスは見ないようにしている。

 老人の元にやってきたルクスはある言葉を投げかけた。


「『夜明けの金の星』」


 老人は目を少し見開きつつ、頷いて立ち上がった。

 そして、しっかりした足取りで歩いていく。

 ルクスはその後を追った。

 老人は表通りから商人街の路地裏に入って、行き止まりの壁の前で「開けゴマ」と言った。

 壁が溶けるように消えると、老人はさっさと壁があった向こうにある通路を通っていく。

 ルクスは感動しつつ、老人の後を追い、とある煉瓦造りの建物にたどり着いた。

 ルクスが看板を鑑定すると、『夜明けの魔法商店の看板』と表示された。


(早く、この世界の文字が読めるようにならないとな……)


 と、思いつつ、ルクスは夜明けの魔法商店に入った。

 カウンターには先程の老人はおらず、黒髪黒目の美形がいた。

 黒いローブを纏っているので、魔法使いっぽい。否、実際に魔法使いなのだが。


「で、どうやって合言葉を知ったんだ?坊主」


 ルクスが美形を鑑定すると【アルイスター・クラウリー】と出た。先程の老人は魔法で化けたもので、今の姿が本当の彼だ。

 何故、ルクスが知っているかといえば、前世のゲームSefirot Chronicleセフィロトクロニクルでも彼が出てきたからだ。


「ちょっと、伝手がありまして」


 ルクスは微笑みを浮かべ、多くは語らない。


(前世の記憶があるから知っているとは言えない……!)


 と、思いつつ、微笑みで乗り切ろうとルクスは、笑みを崩さない。

 アルイスターはふむ、と呟き、頷いた。


「よかろう、見ていくと良い」


 やったぁああ!と内心小躍りしつつ、ルクスは頷いて礼を言う。


「ありがとうございます、見させて頂きます」


 ルクスはそう言って、店内の商品を隅から隅まで見ようと、一つ一つ鑑定していく。

 幾つか欲しかったアイテムがあり、ルクスは近くにあった買い物かごに入れていく。

 魔導書と呼ばれる魔法スキルを覚えるアイテムも忘れない。

 ゲーム内で魔導書は消費アイテムだった。

 けれど、現実になった今では、どうだろう、とルクスは魔導書を開いてみる。


「……」


 全く理解できない言語が羅列されている。

 ルクスは目をしょぼしょぼさせつつ、閉じた。

 魔導書は消えず、そのままである。


(現実だから、消えたりしないんだな……ということは、消費アイテムじゃないから、魔法スキルも覚えられない、のか。内容理解すれば、魔法スキル覚えられるかもしれない)


 理解できるかな、と不安になりつつも、ルクスは火と水、風、木、土、氷、雷、光、闇の魔導書を持つ。

 そして、カウンターに魔導書と買い物かごを置いた。


「これください」

「大金貨十枚」

「……古代金貨二枚でも良いですか?」


 ルクスは(ふところ)から出すフリをしてアイテムボックスから古代金貨を取り出した。

 受け取ったアルイスターは、古代金貨をじっと見る。


「……まあ、よかろう」

「ありがとうございます。……それは?」


 ルクスは店主アルイスターの後ろにある麻袋に目を付けた。


「ああ、これは虹の雫という高難易度のダンジョンの宝箱から出るアイテムなんだが、どうやっても壊れないし、蓋も開かないしで、使い道がないんだ。冒険者たちはいらないからと言って置いていくもんだから、溜まっていてな。正直、ごみ箱じゃないんだから、止めて欲しいんだが」

「買います!!」

「は?」

「古代金貨一枚でどうですか!?」

「君、使い道が分かるのか?」

「あ、えっと」


 ルクスは視線を逸らした。


「否、言わなくていい。君と私は店主と客の関係だ。君に提示できる対価もないのに、使い道を知ろうとするなど、お門違いだ」

「え、でも、その虹の雫が十分な対価……」

「高難易度のダンジョンから出る虹の雫を使う方法を知っている者は、私の知る限り、この王国にはいない。そんな知識なのだから、相当な大金もしくは対価を求めなければならないよ。それが出来ないのであれば、あまり他人には教えないことだ」

「えっと、はい」

「よろしい。ところで、奥の部屋に虹の雫が山ほどあるんだが、対価になるかな?」


 ルクスはきょとんとした表情を浮かべたが、笑顔になった。


「勿論です」


 アルイスターはこの後、セフィロトを目にして度肝を抜かれることとなる。

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