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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第2章 色とりどりの日々

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第49話 神殿の闇




 フードの男は、黄金の導のメンバーがジョブを取得したときに寄付金を渡した神官だった。


「あの時……?もしや、あの寄付金をくださったご令息……!?」

「あ、令息とかじゃないです。普通の冒険者です」

「あ、すみません……その節はどうもありがとうございました。あの寄付金がありましたので、私は孤児たちを僅かながらも救えました」

「孤児たち……?どういうことですか?」

「はい……ご説明します」


 フードの男もとい神官は話し始めた。


「私は神殿の神官テオと申します。私は神殿に仕える神官として働いておりました」


 テオは淡々と話す。


「ある日、私は孤児院の子供に読み聞かせをしておりました」

「神殿の神官って、孤児院の子供に読み聞かせするんですか?」

「はい、孤児院は神殿の管轄ですから、子供たちに読み書きを教えることも神官の務めです」


 テオは微笑みを浮かべ、話しを続けた。


「私が読み聞かせを終えて帰ろうとしたとき、そう夕方でした、神殿長がやってきたのです。私は追い出されましたが、気になって、隠れて様子を伺っておりました。やがて、孤児院の裏には馬車がやってきました。そして、五人ほどの年長の孤児が神殿長と見知らぬ男たちの手によって馬車に乗せられてどこかに連れて行かれました。きっと、どこぞの貴族に売られるために……」


 テオは笑みを消し、苦い顔をした。


「私は怖くて隠れていることしかできませんでした。翌朝、神に仕える女性つまり、女神官である孤児院の孤児たちを育てている女性に話を聞きました」


 テオは一呼吸置いた。


「彼女は知っていました。孤児たちが神殿長によって貴族たちに売られていることを。しかし、逆らえば自分も売られるかもしれないと恐れ、孤児たちが売られても見て見ぬふりをするしかなかったと。泣きながら神に懺悔しても、罪は消えないことも分かっている、と」


 テオは眉間に皺を寄せる。


「彼女よりも許せないのは、神殿長です。私腹を肥やし、豪華な食事をし、神官だというのに、宝飾品を身にまとって、贅沢三昧。果ては女性を侍らせるような店にも通い詰めているとか……最悪です。ですが、神殿長の背後にはどうも大きな存在がいるようで、不祥事も揉み消しているのです」

「大きな存在……」

「貴族、それも上位の後ろ盾があるのでしょう」

「ふぅん?」


 ルクスは特に怖いとは思わなかった。なぜなら、ルクスは王族と繋がりを持っているから。


「私は憲兵に訴え出ようと思いましたが、揉み消されるとわかっていました。そして、手をこまねいていていたとき、貴方様の寄付があったのです」


 テオは祈るように手を組んだ。


「神の導きだと感じました。私は古着屋で服を変え、荷馬車を買って、孤児院の女神官のクリスタと共に孤児たちと共に逃げて、とある村にいました。しかし、一ヶ月ほどが経った頃、人の口にとは立てられぬとよく言いますが、どこから話を聞きつけたのか、男たちが孤児たちとクリスタを連れ去ってしまったのです」


 テオは組んでいた手をほどいて暗い表情を浮かべた。


「私と一部の孤児たちは買い出しに行っていて、助かったのです。しかし、クリスタたちは……。私は孤児たちを村人に任せて、王都まで戻ってきました。恐らく、クリスタたちは神殿の地下牢に囚われている、と神官仲間が教えてくれました。しかし、私一人では……」


 ちらちら、とテオは何かを期待するようにルクスを見た。

 ルクスは溜息を吐いた。


「いいでしょう。発端は偶然にも私があの寄付金を貴方に渡したことでしょうから。助けてさしあげます」

「本当ですか!?」

「ただし、報酬はいただきますよ」

「報酬……ですか」


 何も持っていないのですが、とテオは残念そうに言う。


「報酬といっても大したことではありません。孤児たちの中で適正がある者を私がこれから立ち上げるクランの団員に斡旋して欲しいのです」


 ルクスは五年後以降に起こるであろう、スタンピードに備えて、クランを立ち上げるつもりだった。

 クランとは、冒険者たち同士が集まってできた団体のことだ。

 パーティーは五、六名くらいの小規模なもので、クランはそれ以上の大規模なものだ。

 ちなみにギルドは大陸全土にある民間組織で、ギルドは殆どの国から冒険者ギルドとして活動する権利を得ている。冒険者は、冒険者ギルドに登録することで、多くの国で冒険者として活動することが可能だ。


「それは、構いませんが……報酬になりますか?」

「勿論です!人材は宝ですから!」


 ルクスは満面の笑みを浮かべた。


「はぁ、なら、大丈夫です。そうだ、貴方様の名前をお聞きしても?」

「そういえば、名乗ってませんでしたね。俺はルクスと言います」

「古代ウェトゥム語で【光を齎す者】ですか、良い名ですね」

「ありがとうございます」

「それで、ルクス様……、クリスタたちをどうやって助ければ」


 テオは縋るような目をルクスに向けた。


「大丈夫です。策はありますから」


 ルクスは路地裏から見える神殿の方に目を向けた。


「私腹を肥やす者たちに天罰を下してやりましょう」


 ルクスは不敵に笑った。

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