表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第2章 色とりどりの日々

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/98

第39話 掘り出し物




 三日後、依頼人との打ち合わせ日。

 ルクスたち黄金の導は九時の鐘が鳴ってから準備し、冒険者ギルドにやってきた。

 本日はベネディクトゥスの授業はお休みだ。


「こんにちは、フリッツさん」

「こんにちは、ルクスくん。さっき、依頼人のエーリヒさんも来たよ。応接室にいらっしゃるから、案内するね」

「はい、ありがとうございます」


 ルクスたちはフリッツに案内されて応接室にやってきた。

 応接室には優しげな茶髪に茶目の青年がいた。

 青年は紋章が描かれた青い腕章を付けている。


「初めまして、君たちが【黄金の導】だね?」

「「はい!」」


 黄金の導の面々は元気良く返事をする。


「じゃあ、エーリヒさん、後はお任せしても良いですか?」

「はい、大丈夫ですよ、フリッツさん」

「ありがとうございます。じゃあ、みんな、頑張ってね」


 フリッツが出ていくと、エーリヒは黄金の導に声をかけて座るように促した。


「じゃあ、自己紹介しようか。私はバッハ商会のエーリヒ・ベンダー。よろしくね」

「えっと、俺……私は黄金の導のリーダーのルクスです」

「黄金の導のムードメーカーで、アランです」

「黄金の導の参謀で、バートです」

「黄金の導の斥候、クラーラ」

「黄金の導の歌い手、ラエティティアです」

「黄金の導のマスコットキャラクター、アスターです」

「なんか、一人変な自己紹介してなかった?」


 ルクスがツッコミを入れた。

 アランはテヘペロという表情になった。


「いや、ムードメーカーの方がかっこいいじゃん」

「すみません、ベンダーさん。アランはタンク……盾役です。肉壁ですので、存分にこき使って下さい」

「ルクス、ひどい、てか、アスターの自己紹介の方が変だろ」

「アスターはマスコットキャラクターで良いと思うけど」

「ふふん」


 小妖精王子のアスターは得意げに胸を張った。


「ふ、あはは、君たち面白いね。小妖精フェアリーがいるのも凄いことだし……じゃあ、早速だけど、本題に入るよ」


 エーリヒはルクスたち黄金の導には、来週の宙日(曜日のこと)に、一台の荷馬車の護衛を依頼したいと話す。


「君たちの護衛範囲以外は、全てベテラン銀級パーティー【風任せ】に任せることになってるんだ。まぁ、王都近郊の森には、そんなに強い魔物は出ないから、大丈夫だよ」


 エーリヒはそう言ってから細長い麻の布を取り出した。

 麻の布には乙女の横顔と胡蝶蘭の紋章のようなものが描かれている。

 エーリヒの腕章と同じ紋章だ。


「これはバッハ商会の腕章なんだ。外部の人には色なしでそのままの麻の布を渡している。これを腕に巻いていれば、バッハ商会関係者だと分かるから、護衛中は着けてね」

「「はい」」

「何か質問はあるかな?」

「あの、些細なことなんですけど……」

「どうぞ、ルクス君」

「この腕章の紋章はお店の紋章なんですか?」

「ああ、これは『店章』といって、まぁ、お店の紋章だね。ちなみに、貴族の場合は、『貴章』というらしいよ」

「そうなんですね、勉強になります。ありがとうございます!」

「どういたしまして、じゃあ、来週の宙日の九時……一の鐘が鳴る頃に西門前に集合ということで」

「わかりました」


 一同は解散した。

 エーリヒはフリッツと話があるということで冒険者ギルドに残り、黄金の導は外に出た。


「じゃあ、俺たちは夜まで一時解散しよう。夜まで皆自由行動ね」

「「はーい」」


 解散といっても散り散りになることはなく、アランとバートとクラーラ、ルクスとラエティティアの二組に分かれて行動することとなった。


「ラエティティア、どこか行きたいところはある?」

「えっと、ルクス様が行きたい場所に連れて行って欲しいです」

「ん、分かった」


 ルクスはラエティティアに手を差し伸べた。


「はぐれないように、手を繋ごうか」

「はい!」


 ラエティティアは、ルクスの手に自身の手を載せた。

 ルクスは、はぐれないようにとラエティティアの手をぎゅ、と握った。


「っ(ルクス様と手を繋いでる……緊張するのです……)」


 ラエティティアは頬を赤く染めつつ、ルクスの隣を歩く。

 ルクスはラエティティアと歩調を合わせつつ、目的地に向かう。

 しばらくして、ルクスたちは市場に辿り着いた。


「市場を見て回ろうか。何か気になる品があったら言ってね」

「はい、ルクス様」


 ルクスとラエティティアは市場を見て回る。

 今いる市場は、貴族街や冒険者街に近い市場なので、アクセサリーや武器や防具などが多く並んでいる。


「ラエティティア、何か良いものはあった?」


 元々貴族であるラエティティアの方が真贋を見分けられるだろう、とルクスは思いつつ言葉を紡ぐ。


「今のところ、特には……あっ」


 ラエティティアは何かを見つけたように声を上げた。


「これは、良いものだと思います」

「どれどれ」


 ラエティティアが指差したところには、古びたネックレスがあった。ペンダントトップが子供の拳サイズの開閉式らしき卵型ロケットになっている。

 ロケットペンダントだ。

 ルクスは鑑定してみた。


【古びたロケットペンダント】

古びた銀のロケットペンダント。

あまり価値はないが、ペンダントトップのロケットの中身はもしかしたら、価値があるかもしれない。

古いので、ロケットが開かなくなっている。

通常販売価格︰2,000エン


 素材の銀の価格が反映されている販売価格だ。

 ペンダントトップの中身を鑑定できないか、ルクスは試してみたが、目に見えないものは鑑定できないようで、何もわからなかった。


「おじいさん、このロケットペンダント下さい」

「ふむ、二千エンじゃ」

「はい」


 ルクスは二千エンを渡してロケットペンダントを購入した。

 露店から少し離れたところでルクスはラエティティアに聞く。


「ラエティティア、このロケットペンダント自体じゃなくて、中身が気になるんだよね?」

「はい、そうですね」

「じゃあ、後で一緒に確認しよう」

「はい!」


 その後も二人は露店を巡ったが、目ぼしい収穫は無かった。

 家に戻ったルクスとラエティティアは、談話室にやってきた。

 ロケットペンダントを机の上に置いたルクスは、ミスリルのナイフを取り出した。

 そして、ナイフで慎重にロケットを開いた。


コトン


 ロケットから転げ落ちたのは、淡い金色のオーラを纏った、はちみつのような色合いの宝石のような石だった。


【聖女の祈りの結晶】

聖女の祈りが結晶化したもの。

持っているだけで、運が少し良くなるし、癒しの効果がある。

通常買取価格︰5,000,000,000エン


 五十億エン……、とルクスは目を丸くした。


(凄い掘り出し物だな……おじいさん、ごめんなさい、後で大金貨五枚くらい置きに行くので、許してください)


 と、ルクスは内心で露店のおじいさんに謝りつつ、聖女の祈りをアイテムボックスに入れた。


「ラエティティア、聖なるマイクを預かっても良いかな?」

「えっと、はい」


 ラエティティアは、腰に下げたアイテムポーチから聖なるマイクを取り出してルクスに渡した。

 ちなみに、不便ということで、一週間前からアイテムポーチをルクスの仲間全員が装備している。


「ありがとう。俺は、また出かけるよ」

「私もお供を……」

「いいよ、ラエティティアは歌を習得したいんだよね?講義室で練習してて」


 ジョブの歌手の歌の効果は熟練度によって変わるので、練習すればするほど良くなる。


「……ありがとうございます、ルクス様」


 ラエティティアは、微笑んだ。


「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃいませ、ルクス様」


 ルクスは屋敷を出て、商人街の市場にやってきた。

 路地裏で魔法を使ったルクスは、おじいさんの露店に大金貨五枚を置いた。

 ルクスが使った魔法は、光属性魔法の光学迷彩だ。

 光の屈折によってルクスは見えなくなっている為、大金貨五枚を置けたのだ。

 おじいさんが大金貨五枚に気づいて回収するのを見守ったルクスは、職人街に向かった。

 そして、酒好き鍛冶屋の前にやってきた。


「なんか酒臭い……」


 ぴょーん、とルクスのズボンのポケットから飛び出したのは、小妖精王子フェアリープリンスのアスターだった。


「アスター、お酒苦手なの?」

「うん……此処から離れて、どっか隠れたいんだけど」

「あー、じゃあ、こっちかな」


 少し向こうにある一本の木にルクスはアスターを案内した。


「ここに隠れていて」

「分かった」


 アスターは木の上に飛んでいき、隠れた。


「よし、行くか」


 ルクスはドニのいる酒好き鍛冶屋に向かった。

 そして、扉を開く。

 少し酒の臭いが漂って来るが、最初とは大違いだった。

 ドニは鍛冶場で鉄を打っていた。


「おう、坊主。やっと来たか」

「ドニさん、こんにちは。あと、俺はルクスです」

「んなこた知ってるわ。全然来なかった奴なんて坊主で十分だ」

「もしかしてドニさん、拗ねてます?」

「ぶっ……んなわけないからな。勘違いするなよ」


 ツンデレ娘のような反応をしたドニを見て、ルクスは少し気持ち悪かったが、表情には出さなかった。


「えっと、お願いがありまして」


 ルクスは聖なるマイクと聖女の祈りの結晶を取り出した。


「このマイクにこの結晶を嵌め込んで欲しいです」

「……こりゃあ、聖水も使わないと無理だな」

「なぜですか?」

「どっちも神聖なアイテムだから、場を清めないといけないんだよ」

「そうなんですね」


 確かに僅かに酒臭い鍛冶屋では神聖なアイテムを加工することはできなさそうだ。


「じゃあ、浄化しますか」


 ルクスは光属性魔法の浄化を使った。

 眩い光が弾けるように、そこここで瞬く。色とりどりの弾ける光は、まるで花火のようだった。

 酒臭さはなくなり、部屋が新築のように綺麗な状態に清められた。


「どうですか?」

「あ、ああ、これなら加工できそうだ」


 ドニは聖なるマイクを分解し、加工し始める。

 聖なるマイクはマイクのような形状から、白い蓮の花びらのような形状になり、中央に聖女の祈りの結晶がはめ込まれると、淡い金色の光を纏って宙に浮いた。


「できたぞ」

「ありがとうございます」


 ルクスは鑑定した。


【真・聖なる乙女のマイク】

聖なるマイクの真の姿を昇華させたマイク。

歌の効果が超絶上がる。

神聖力が大幅に増幅する。

歌に合わせた音楽を流すことができる。

持っているだけで幸運を呼び寄せる。

買取価格︰100,000,000,000エン


 神聖力とは、魂に宿る力と言われており、神官や歌手などが神聖術や歌うときに消費する力だ。

 ルクスは目を瞬かせつつ、ドニに尋ねた。


「ドニさん、作業代はおいくらですか?」

「……金貨一枚でいい」

「では、これで」


 ルクスはドニの右手に大金貨一枚を握らせた。


「おい、多いぞ」

「とても良い仕事をしていただいたので。当然の代金です。少ないくらいですよ?」

「坊主は変わってるな」

「褒め言葉として受け取っておきます」


 ルクスはマイクをアイテムポーチに仕舞った。


「では、また来ます」

「おう」


 ルクスは酒好き鍛冶屋から出て、アスターと合流し、屋敷に戻ってきた。


「ラエティティア!」

「ルクス様」


 ルクスはラエティティアに真・聖なる乙女のマイクを渡した。


「これは……?」

「マイクだよ。今までのマイクよりもかなり凄い効果があるみたい」

「まあ!……いただいても良いのでしょうか?」

「もちろん!俺からのプレゼントだと思ってくれても良いよ」

「ふふ、ありがとうございます。ルクス様」


 ラエティティアはマイクを大事そうに持って、アイテムポーチに入れた。


「ルクス様、少し顔を傾けてはくれませんか?」

「?こうかな」


 ラエティティアは、ルクスの頬に口づけした。


「!!?」


 ラエティティアがほっぺにちゅーをしたことに気付いたルクスは顔を真っ赤にした。

 ラエティティアも頬がアポーのように赤い。


「感謝の気持ちを表現しました……では、私は失礼します」


 ラエティティアは恥ずかしかったのだろう、そそくさと食堂に向かった。


「まじか」


 ルクスはしばらくぽけー、としていたが、アランによって現実に引き戻され、食堂に連れて行かれることとなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ