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【第二章完結】ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第2章 色とりどりの日々

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第38話 トアル村




 黄金の導はいつものようにダンジョンに潜って、収集した魔石やドロップアイテムを買取カウンターで買い取ってもらった。

 現在、黄金の導は二十層まで潜っている。

 ダンジョン二十層で出る魔物は二十レベル。

 ルクス以外の平均レベルが三十なので、安全マージンは取れている。

 二十層のボスを倒しても得られる経験値が少なくなってきたので、ルクスたちはそろそろ、もっと下の層へ潜ろうとしていた。


「あ、ルクス君」

「こんにちは、フリッツさん」

「久しぶりだね」

「そうですね。冒険者ギルドのクエストを受けてないからかもしれません」

「ああ、ダンジョン関連のクエストは殆どないからね。仕方がないけど。それで、今は何層まで潜ってるのかな?」

「二十層ですね」

「!凄いね……中堅パーティー並みじゃないか。ルクス君たちは、そろそろ護衛依頼を受けても良いかもしれないね」

「護衛依頼、ですか」

「そう。銀級ランク及び銀級パーティーになる為に護衛依頼を受ける必要があるんだ。銅級パーティーでも、実力がないと受けさせないんだけど、君たちは申し分ない。僕から上に話しを通しておくから、ちょっと待ってね」

「ありがとうございます、フリッツさん」

「どういたしまして」

「あの、全然関係ないんですけど、質問しても良いですか?」

「なんだい?」


 フリッツは首を傾げた。


「ダンジョンの洞窟って、いつも、白っぽい結晶がいくつも壁に埋まっていて、それが、灯りになってるじゃないですか、あの灯りってなんでしょう?」

「ああ、あれは灯石って呼ばれているね、ダンジョンにしか生成されない石で、取り出すと灯りが消えてしまう不思議な石だよね……ダンジョンの不思議としか言い様がないんだけど……こんな回答でも良いかな?」

「はい、大丈夫です。ありがとうございました、フリッツさん」

「どういたしまして、じゃあ、ルクス君もみんなも頑張ってね」


 フリッツはギルドの事務所に戻っていった。


「ギルド職員さんってみんな忙しそうにしてるね」


 バートが事務所にいるギルド職員を見て言った。


「うん、男性職員は受付にいる間は暇そうだけど、事務所に戻ると大変そうだよね」

「うん……大人になったら、あんな風に忙しく仕事をしなきゃいけないのかな?」

「いや、どうだろうね」


 ルクスは前世で忙しく働いていたことを思い出しつつ、苦笑した。


「ま、何事も程々が良いよね」

「だね」

「ああ」

「うん」

「ええ」


 あくせく働くよりも、適度に働きたい黄金の導一行であった。


「あれ、アスターは?」

「アスター君なら、さっき僕のフードに入ってきたような……」


 ルクスとラエティティアがバートのフードを覗くと、小妖精王子のアスターが眠っていた。


「ふふ、帰ろうか」

「ですね、帰りましょう」


 アスターを起こさないように、一行は喋り声を小さめにし、帰路についた。




 一週間後、二十五層まで進んだ黄金の導が冒険者ギルドに行くと、フリッツに声を掛けられた。


「やあ、みんな」

「「こんにちは」」

「こんにちは、フリッツさん」

「こんにちは、さあ、みんなに護衛依頼が来ているよ」


 フリッツはルクスに布の切れ端もとい依頼書を渡した。

 依頼人は【バッハ商会】の商人エーリヒ・ベンダーだった。


「バッハ商会?」

「うん、王都でも指折りの商会の一つだね。エーリヒさんは噂によれば、バッハ商会の若手の一人で、真面目で優秀な商人らしいよ」

「「へぇー」」

「今回は王都近郊の村々を回って物資を売ったり、村々の特産品を買い取ったりするんだって。商隊を組むそうだから、護衛の一組として黄金の導に依頼したいってさ」

「えっと、どうして俺たちに依頼されたんでしょう?」

「あぁ、エーリヒさんの知り合いにクラウリーさんという方がいるそうなんだけど、その人に勧められたそうだよ」


 アルイスター・クラウリーさんだ、とルクスはすぐに勘づいた。


「どうかな?受ける?」

「受けたい、のですが、その商隊はトアル村にも行きますか?」

「トアル村……」


 フリッツは表情を暗くした。


「実はね、最近入ってきた情報によると、トアル村は盗賊に襲われて壊滅したそうなんだ」

「「え」」


 ルクスとアラン、バートの三人は目を瞠った。


「盗賊は騎士団によって既に討伐されているらしいけど、痛ましいね……ルクス君、もしかしてトアル村に知り合いとかいたのかな?」


 冒険者ギルドカードには出身地の欄があるのだが、記載しなくても良いため、ルクスとアラン、バートの三人は何も記載していなかった。

 なので、フリッツは三人の故郷がトアル村だということを知らない。


「あ、いえ、大丈夫です。……あの、護衛依頼、受けます」

「そうこなくっちゃね。依頼人との面会日は、三日後の十時頃を予定しているから、当日は冒険者ギルドに必ず来るように」

「はい」

「じゃあ、僕は仕事に戻るね」


 フリッツを見送り、黄金の導は冒険者ギルドを出て、噴水広場にやってきた。

 二つ並ぶベンチに彼らは座った。


「アラン、バート、大丈夫?」

「うん……」

「ああ……」

「ちょっと、ショックだよね」

「そうだね、僕を売った親は当然の報いだって思うけど、兄さんたちに恨みはないし、ショックだね」

「俺も、兄貴たちには恨みはないから……」

「うん……(俺の場合、ストーリー以前にトアル村が壊滅してビックリしてる方が大きいけどね……)」


 ルクスの前世の記憶によれば、ストーリーが始まってからトアル村は盗賊に襲われて壊滅する。


(ストーリーが早まっている……?否、ここは現実だから、予想外のことが起こっても仕方がない)


 ルクスは仲間たちと、噴水広場にいる人々を眺めた。

 待ち合わせをしている者もいれば、仲良く並んで座っている老夫婦や家族、恋人たちがいる。


(この平和を守る為にはもっと強くならなきゃいけない。現実だからこそ、もっと、強く……)


 ルクスはぎゅっと拳を握って決意した。

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