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ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第1章 昔日の記憶は導となる

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第29話 一抹の不安と偉業




 王城の中にある宮廷魔導院結界課では、王都に張られている結界の一部に見られる損傷と思われる穴を治すべく、届けられてくる大量の魔石を加工していた。

 王城の地下にある魔法陣の修復の為に、魔石から作る魔粉が必要なのだ。

 結界課の全員で加工をしていき、やっとのことで出来上がった魔粉を、今度はインクの入った均一な瓶に一定量入れていく。

 インクも魔粉も一定量を計って入れているので、どれも同じ量になった。

 その液体をかき混ぜ棒でかき混ぜて、彼らは自分の魔力を液体に流していった。

 そして、魔法インクが出来上がった。

 魔法インクの入った瓶を作業用の鞄に入れた彼らは大きめの筆を持って、地下に向かった。

 地下へ続く階段の前にいる警備の騎士に身分証を見せて降りていった彼らは、魔法陣を見て驚いた。


「上手く書き換えられてますね」

「ああ」


 書き換えられた魔法陣の効果は本来の魔法陣の効果と然程変わらない。

 一部に穴が空く以外は。


「さっさと修復するぞ」

「はい」


 彼らは書き換えられた部分を浄化の光線が出る棒のような魔導具を使って消していく。

 そして、迅速に正しい魔法陣を描き上げた。

 最後に中央に浮かぶ巨大な魔石に自分たちの魔力を送り込んで、魔法陣の修復を終えた。


「戻るぞ」

「「はい」」


 彼らは自分たちに割り当てられている建物に戻り、部屋に入ると、息を吐いた。


「それにしても、なんで魔法陣が書き換えられていたんでしょう?」

「分からん、俺たちは見たものと修復結果をそのまま報告するだけだ。後は上が何とかするだろう」

「ですよねー」

「分かったら、さっさと仕事に戻れ」

「「はい」」


 書類を捲る音と、何かを書き込む音が、時々聞こえるだけで、心地よい静寂が部屋を包んだ。

 一抹の不安は、静寂の中に溶けていった。




 家に帰ってきたルクスは先程あった全ての事を仲間たち全員に共有した。


「なんと……魔族を屠ったのですね……。大変な偉業を成し遂げられましたな、ルクス様」


 このベネディクトゥス、感服いたしました。とベネディクトゥスは涙を流していた。


「ルクス様、怪我してないですか?大丈夫でした?」


 ラエティティアは逆にルクスを心配した。


「うん、怪我してないよ、ラエティティア」

「なあなあ、ルクスさまー。名誉元帥のブローチっていうの見たいー」


 アランは興味津々だ。

 ルクスは溜息を吐きつつ、アイテムポーチから小さいな木箱を出して、中からブローチを取り出した。

 ブローチは黄金のオリハルコンらしき金属を台座にしており、その台座に美しくカットされたシトリン(ルクスの鑑定で確認済)が埋め込まれている。

 台座に獅子の紋章が刻まれているのが薄っすら見える。


「おおー、すげー」

「これは確かに凄いとしか言いようがないね……」


 アランとバートがずずいと乗り出し、ブローチを眺めている。他の仲間たちも興味津々だ。


「はいはい、これ以上は有料ねー」


 と言ってルクスはブローチを仕舞った。

 収拾がつかないと思ったからだった。


「ええー」

「そんなー」


 嘆く二人を尻目に、ルクスは食事に戻る。

 二人は目の前に美味しそうな食事があったことを思い出し、食事に集中することにした。


「ところで、ルクス様、伯爵になられたことで、何かお仕事をしなければならない、とかありますか?」


 ラエティティアが素朴な疑問をルクスに問う。


「否、名誉元帥に付随する爵位だから、基本的に何もしなくて良いらしい」

「そうなのですね、良かったです」

「ラエティティアは俺が仕事をしない方が嬉しいの?」

「え?だって、お仕事をされると、ルクス様とお話することもなくなってしまうと心配でしたから、ルクス様がお仕事をされないのなら、良かったな、と思ったのです」


 ですから嬉しいのです、と素直に言うラエティティアの言葉にルクスは照れた。


「そ、そっか。うん、ラエティティアに喜んでもらえて良かったよ」


 頬を薄っすら赤く染めつつ、ルクスは食事に戻った。

 あたりに漂う甘酸っぱい雰囲気にベネディクトゥスは別の意味で静かに泣いていた。

 まだ嫁には出したくないです、と小声で呟くベネディクトゥスをヘレナがよしよししていた。

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