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ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第1章 昔日の記憶は導となる

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第26話 みんなでジョブゲット




 本日も朝に文字の勉強をするルクス。

 気になっていたことをベネディクトゥスに質問した。


「聞いても良い?」

「はい、何でしょう」

「なんで、牛乳はモウモから採れるのに、モウモ乳とか言わないの?」

「そうですね、牛乳は勇者がそのように統一したからと【アルヒ王国建国記】に記録が残っています。その前は確かにモウモ乳と呼んでいましたね」

「ああ、なるほど、勇者か……」


 牛乳の方が日本人的に馴染みがあるもんね、とルクスは思いつつ、ベネディクトゥスの授業を受けた。


 授業が終わるとルクスは、ベネディクトゥスに断りを入れて、子供たちを集めて話をすることにした。


「みんなには冒険者になってもらう」

「「おおー」」


 アランとバートから歓声が上がった。


「自分の身は自分で守る為だ。俺もまだ冒険者になったばかりだけど、知識はたくさんあるから教えられると思う。えーっと、まず、これからの皆の強化計画を立てようと思っているんだ。それには、なりたいジョブを決めて欲しいんだ」

「はい、ルクス先生」

「バートくん、どうぞ」

「ジョブは神殿で授かるものだと聞きました。選ぶことができるんですか?」

「良い質問ですね。選ぶことができます。ちょっとした工夫は必要ですが、可能です。たぶん、殆どの人が知らないので、外では話さないで下さいね」

「はーい」


 他に質問はありますか?というルクスの言葉に子供たちは首を横に振った。


「じゃあ、進めるよ。ラエティティアには前にも話したけど、選択できるジョブを羊皮紙に書くからね」


 ルクスは羊皮紙にベネディクトゥスに習って書けるようになった文字を記載していった。


「え、ジョブってこんなにあるんだな」


 アランが驚きの声を上げた。


「これ、全部初期ジョブだからね。二次ジョブ、三次ジョブがあるから、ジョブ全体はこんなもんじゃないよ」

「うへぇ」

「で、これから一週間以内に、このジョブの中からなりたいジョブを選んで貰いたいんだ、できる?」

「うーん、分かんないけど、やってみる」


 アランは自信なさそうだ。


「僕はセフィラに関係するジョブにするよ」


 バートはアランとは対照的に自信がありそうだ。


「「セフィラ?」」

「あ、そういえばラエティティアとクラーラには、まだ説明してなかったよね」


 ルクスはセフィロトの使い方を二人に説明した。

 ラエティティアは美という意味のティファレトが光っていた。ティファレトは、CHA──カリスマに関わるセフィラだ。

 クラーラは勝利という意味のネツァクが光っていた。ネツァクはAGI──素早さに関わるセフィラだ。


「ラエティティアはカリスマに関わるジョブ……歌手か踊り子、美術家が向いているね。クラーラは素早さに関わる挙士か弓士、斥候が向いているね」

「ルクス〜、俺は?」

「アランは、防御に関するジョブ……騎士とか戦士が良いかな。バートはもう分かってるんだよね?」

「うん、えっと、僕は知恵に関するジョブたから、魔法使いだよね!」


 魔法使いに憧れてたんだ〜、とバートは嬉しそうに話している。


「あー、魔法使い以外にも知恵に関するジョブはあるぞ?」

「え?」

「死霊術士と呪術術士」

「絶対やだ」


 えーバートに似合うと思うけど、と言うルクスにバートは擽り攻撃を仕掛けようかと、手をわきわきさせた。


「よし!俺は騎士になる」


 アランは先ほどまでの自信のなさが嘘のように、自信満々に言った。


「えっと、アラン、なりたいジョブが他にあれば変えて良いんだよ?」

「俺、王都の騎士に憧れてたんだよ。騎士が向いてるなら、尚更選びたいじゃん」

「そっか」

「僕は勿論、魔法使いになるからね」

「うん」


 ラエティティアがおずおずと手を上げた。


「私は歌手になりたいです。歌を歌うことが好きなので……」

「私は斥候に惹かれるから、斥候になる!」


 ルクスは目を瞬かせ、驚いた。

 ラエティティアとクラーラは時間がかかるだろうと思っていたからだ。


「えっと、二人共、もう決めて大丈夫?」

「「はい」」

「分かった。じゃあ、午後になったら神殿に行こうか」

「「はーい」」


 アランとバート、クラーラはその場に残ってジョブについてルクスに質問し始めた。

 ラエティティアは授業があるので、羨ましそうに見つつ、ベネディクトゥスの元に向かった。


 全ての授業が終わり、お昼ご飯を食べた後にルクスは子供たちと神殿に行こうと思ったが、問題に気付いた。


(子供が大人数だと逸れたり、攫われるかもしれないな)


 ということで、ルクスはラエティティアの両親とクラーラの両親に事情を説明して、付いてきて貰うことにした。

 大人四人、子供五人の大所帯で神殿に向かう。

 街は活気に溢れているので、浮くこともなく、神殿に着いた。


「誰から行く?」

「じゃあ、じゃんけんで決めようぜ」


 アランがそう言うと、子供たちは全員、真剣な表情を浮かべて、じゃんけんに備える。


「最初はグー!じゃんけん」

「「ポン!」」


 そして、順番が決まった。

 クラーラ、ラエティティア、バート、アランの順になった。


「えっと、クラーラは斥候で良いんだよね?」


 地面に這いつくばっているアランを無視しつつ、ルクスはクラーラに問う。


「勿論です、ルクス様」


 早く早く、と思っているのが丸わかりなクラーラ。

 ルクスは苦笑しつつ、言う。


「アドナイ・ツァバオトの神像の前に行こう」

「はーい」


 クラーラは奇しくもルクスと同じ神に祈って得られるジョブを希望した。

 なので、ルクスは祈りの言葉をスムーズに伝えられた。

 クラーラは【斥候】になった。


「わぁ!本当に斥候になれた〜」


 クラーラはアランに抱きついた。


「ちょっ、ククククラーラ!?」

「ククククラーラじゃないもん」


 名前を間違えるアランはぎゅーの刑、と言いつつ、クラーラはアランを抱きしめた。


「まぁ、二人は放置して、ラエティティア、行こうか」

「はい」


 ラエティティアはルクスに導かれ、調和の女神エロヒムの神像の前にやってきて跪いた。

 ルクスに教えてもらった祈りの言葉を紡ぐ。


「調和を(もたら)す柔和なる女神エロヒムに祈りを捧げん。どうか、この矮小なる私に柔和なる御力の一端を与え給え」


 ラエティティアは現れたホログラムウインドウに驚きつつも、迷わず歌手を選んだ。

 ラエティティアの身体が淡く光った。

 ジョブを授かったのだ。


「ルクス様、ありがとうございました。以前、歌手は治癒と能力向上ができるとお聞きしましたので、今後、このジョブを極めてルクス様のお役に立つよう頑張りますね!」

「真面目か。……うん、そんなに頑張らなくて良いからね、ラエティティア。程々にね」


 頑張りたい意思を感じるラエティティアの表情を見て、ルクスは程々にね、という意味を込めて、頭を撫でた。

 ラエティティアの頬がみるみる内に赤くなった。


「ラエティティア?」

「ル、ルクス様、えっと……」

「熱でもあるの?」


 ルクスは熱を測ろうと、ラエティティアの額に手を当て、反対の手を自分の額に当てた。


「はぅぅ」

「ちょっと熱い気がする。ベネディクトゥス、ラエティティアをお願い」

「……はい」


 ルクスのせいでラエティティアが赤くなったことに気づいているベネディクトゥスは、複雑な思いでラエティティアをおんぶした。


「じゃあ、次はバートだね」

「うん」


 バートはワクワクしつつ、叡智の神ヨッドの神像の前で跪く。


「叡智を(もたら)す深遠なる神ヨッドに祈りを捧げん。どうか、この矮小なる私に深遠なる御力の一端を与え給え」


 バートも一瞬、淡く光った。


「魔法使いになれた。……ルクス、ありがとう」

「どういたしまして」


 クラーラから解放されたアランがやってきたので、ルクスはアランを基礎の神、シャダイ・エル・カイの神像の前に案内した。

 アランは跪いて祈りの言葉を口にした。


「安定を(もたら)す深慮なる神シャダイ・エル・カイに祈りを捧げん。どうか、この矮小なる私に深慮なる御力の一端を与え給え」


 アランの身体が一瞬淡く光る。

 戻ってきたアランはきらきらした目をしていた。


「騎士になれたぞ、ルクス。ありがとな」

「どういたしまして」


 全員のジョブが決まったところで、ルクスは神殿にいる神官に声を掛けた。

 たくさんジョブを授かったので、対価として寄付をするのだ。


「あの」

「はい、なんでしょうか?」

「寄付をしたいのですが」


 ルクスはそう言いつつ、小さな布の袋に入った寄付金を神官に渡す。


「ありがとうございます。貴方に、神々と生命の樹の祝福があらんことを」

「はは、では、失礼します」


 ルクスはさっさとベネディクトゥスたちの元に戻り、彼らと家に帰るべく神殿を出た。

 見送った神官は、ふと、袋が気になり、開けてみる。

 すると其処には金貨が五枚入っていた。

 驚きに目を瞠った神官は、袋をそっと閉じ、ルクスが出ていった方向にお辞儀をした。

 心優しく賢い神官は、この金貨を一番必要としている場所に向かった。

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