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ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第1章 昔日の記憶は導となる

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第25話 プリティな小妖精王子




 冒険者ギルドで指名依頼の達成報告をしたルクスの冒険者ギルドランクが上がった。

 (アイアン)だったカードが、ランクが上がって、(カッパー)になったのだ。

 心の内で、エルナに感謝したルクスだった。

 冒険者ギルドを出て、街を巡ったルクス。

 小妖精王子(フェアリープリンス)のアスターと共に戻ってきたのは十七時前だった。

 ルクスは玄関から出ようとするベネディクトゥスと鉢合わせた。


「お帰りなさい、ルクス様」

「ただいま、ベネディクトゥス」

「少し早いですが、剣術の稽古をしますか?」

「うん」


 ルクスは胸ポケットに隠れたアスターに視線を向け、小声で話しかけた。


「どうして隠れたの?」

「人族は僕らの鱗粉や、涙を薬の材料にするから、信用できないんだよね」

「俺も人族だけど」

「ルクスは別枠だよ」

「そう」


 ルクスはアスターの好きにさせよう、と思い、それ以上ツッコミを入れなかった。

 しかし、ルクスが自室に戻る途中で、アスターはすぐに見つかった。


「あれ?ルクス様の胸ポケット、何か入ってませんか?」


 ラエティティアが気付いたのだ。


「アスター」

「分かったよ……」


 アスターはポケットから飛び出した。


「やっほー、僕はプリティな小妖精王子(フェアリープリンス)、アスター君だよ」

「ノリノリだな」

「ヤケクソなんだよ」


 ラエティティアは目を丸くし、固まっている。


「ラエティティア?」

「はっ、申し訳ありません、ちょっと驚いてしまって……」

「大丈夫、誰でも驚くから」

「はい……ですが、不甲斐なくて悔しいです」

「うん、悔しがる要素は無いからね?」


 二人のやりとりを見ていたアスターは吹き出した。


「アスター?」

「ふっ、面白くて、はははっ!」

「?何か面白いこと、私、言いましたか?」

「うーん、ラエティティアが天然ボケで、俺がツッコミを入れたからだと思うよ」

「天然ぼけ?」


 ラエティティアはこてん、と首を傾げた。


「うん、ラエティティアはそのままでいてね」


 ルクスは優しげな微笑みを浮かべた。


「はー、笑いすぎた……二人とも面白いね。ルクスは勿論、君──えっと、名前は?」

「私はラエティティアと申します」


 ラエティティアはそう言ってお辞儀をした。


「そう、ラエティティアも面白いから信用しよう」

「信用のハードル低いな」

「うるさいよルクス」


 二人のやりとりを見ていたラエティティアは笑った。


「ふふ、お二人のやりとりの方が面白く感じます」

「そう?」

「僕が面白いのは当然だけど」

「……うん、アスターは面白いと思う」


 ルクスは何か含みを感じさせる言い方をした。


「今、そこはかとなく見下されたような気分になった」

「気の所為だよ」


 ルクスはポーカーフェイスで誤魔化した。


「ところで、ルクス様はアスターさんとどうやって知り合ったのですか?」

「ああ、説明しよっか」


 ルクスはアスターとどのような経緯で知り合ったかをラエティティアに話した。


「まあまあまあ、ルクス様はそのような大冒険をなさっているのですね」

「大冒険、かな?」

「です!」


 断言するラエティティアに満更でもなさそうな表情をルクスは浮かべた。


「ちょっと、僕がいるの忘れてない?」

「「忘れてないよ(です)」」

「本当に~?」


 アスターは二人を揶揄ってやろう、と意気込んだ。


「わぁ、妖精さんだ!」


 ルクスとラエティティアの背後から近寄ってきたクラーラがアスターに気付いたことにより、アスターはそれどころではなくなった。

 あっという間にアスターはルクスの胸ポケットに身を潜ませた。


「隠れちゃった……」


 しゅん、とクラーラは落ち込む。そこにアランがやってきた。


「おーい、クラーラ!」

「アラン」


 元気がないクラーラはアランに抱き着いた。


「うぉ?」


 アランは何をされたか分からなかった。そして、抱き着かれたことに気付いた瞬間、顔が真っ赤になった。


「ク、ククククラーラさん?ちょっと、どうした?」

「元気なくなった。アランで充電するー。それと、私はククククラーラじゃないよ」

「あわわわわ」


 アランはあまりの刺激に放心状態だ。

 しばらくして解放されたアランの顔は赤いままだった。


「で、なんでクラーラは元気がなかったんだ?」

「妖精さんが隠れちゃったから……」

「妖精?」


 アランは首を傾げた。


「アスター」


 ルクスが促すようにアスターに声を掛けた。


「分かったよ……」


 ぴょーーん、と勢いよくアスターは飛び出した。


「僕は小妖精王子(フェアリープリンス)のアスター。妖精の部類だけど、妖精って言うと大体エルフを連想する奴が多いから間違えないように、種族的にはフェアリーって呼ぶように」

「はーい、フェアリーのアスターさんだね、覚えたよ」

「俺は付いて行けてない……」

「アランって意外と順応力がないんだね」


 ルクスは意外そうにアランを見る。


「じゅんのうりょくが何だか分からないが、馬鹿にされてる気がする……擽り攻撃するぞ?」

「ごめんごめん、馬鹿にしてないから、止めて」


 ルクスは苦笑した。


「あ、そういえば、ルクス。ベネディクトゥス先生が呼んでたぞ?」

「え?」

「剣術の稽古はどうしますか?だってさ」

「あ゛、忘れてた。アラン、アスター預かって!俺は訓練場に行ってくる!」


 アスターを渡されたアランは目を丸くした。

 ルクスはあっという間に訓練場に向かっていった。


「俺はアラン。まあ、これからよろしくな?アスター」

「馴れ馴れしい奴だな、でも嫌いじゃない。よろしく、アラン」

「そういえば、俺たち、なんで普通に話せているんだ?」

「僕が【言葉の指輪】っていう便利な翻訳道具を持ってるからだろうね」

「へぇー」

「で、これから何かするの?」

「あー、調理場で料理の手伝いでもしようってクラーラと話していたんだ」

「まあ、私もお供して良いですか?」

「ああ、勿論です」


 ラエティティアの言葉にアランは敬語で応えた。

 元々貴族のご令嬢であるラエティティアにアランは遠慮していた。

 彼らは調理場に向かった。


 一方、ルクスはと言えば、ベネディクトゥスの剣術指南を受けていた。

 剣術スキルがあるので、ルクスはスムーズに剣術を覚えていった。


(やはりルクス様は、天才だな)


 ベネディクトゥスは剣術をどんどん自分の物にしていくルクスを敬愛しつつ、同時に戦慄を覚えていた。


(この方はどれだけの高みに行かれるのだろう……楽しみで仕方ない)


 ぞくぞくしつつ、ベネディクトゥスは獰猛な笑みを浮かべた。

 すぐに引っ込めたが、その笑みを目にしてしまったルクスは身の危険というか、命の危険を一瞬感じた。

 普通に指導してくるベネディクトゥスに戻ったので、ルクスが感じたその感覚は暫くして消えたが、心配が残った。


(ベネディクトゥスって、もしかして、戦闘狂なのかな……)


 勘違いである。

 剣術指南が終わって、食事にやってきたルクスとベネディクトゥスの前に慌てた様子で外に出て来ようとするアスターが現れた。


「アスター、どうしたの?」

「ルクス、隠れさせて!」


 アスターはルクスの胸ポケットに入り込んだ。


「まあ、ルクス様、その小妖精(フェアリー)さんを私に渡して頂けませんか?」


 ルクスの前にやってきたのは、ヘレナだった。


「えーっと、ヘレナさん?」


 思わず、さん付けになるルクス。


「その小妖精(フェアリー)さんは逸材です!是非、お洋服を作って差し上げ、着ていただきたいのです。その為にも、採寸を……」


 ヘレナは布製のメジャーを持って興奮した様子だ。

 ルクスはベネディクトゥスを見あげた。


「妻は、小さくて可愛らしいものが好きなのです」


 諦めたような表情のベネディクトゥスは、小声でルクスに囁いた。


「そう……分かった。ヘレナ、アスターの採寸がしたいんだよね?」

「はい」

「アスターはヘレナがちょっと怖いみたいなんだ」

「そのようですね……」


 ヘレナは悲しそうな表情を浮かべた。


「だから、俺が採寸を手伝うよ」

「ルクス様……!」


 ありがとうございますぅ、とヘレナは感激した様子で感謝した。

 その後、ルクスはヘレナの要望に従い、黙々とアスターの採寸をした。

 (じき)に、アスターはヘレナの着せ替え人形になりそうだ、とその場にいた全員が思ったそうな。

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