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ゲーマーはゲームのような異世界に転生して最高の人生を掴むようです  作者: 星海亘
第1章 昔日の記憶は導となる

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第19話 ヒール草とゴブリン?




 一方、そのルクスは王都アルヒを出てすぐの森で片っ端から草を鑑定していた。

 ヒール草はすぐに見つかった。

 白詰草のような形の花は青く、葉っぱは三つ葉ではなく双葉。

 王都アルヒを出る前にとある木工店で購入した小さな木のスコップで根から掘り起こしたルクスは、露店で購入した麻袋にヒール草を入れた。

 アイテムポーチに土が付いた状態で入れるのは(はばか)られたからだ。

 ルクスは青い白詰草っぽい草を探して鑑定しまくる。

 すると、ものの数十分でヒール草が十本集まった。

 ルクスの初依頼は数十分で終わってしまった。

 ちょっぴり、しょんぼりしているルクスは麻袋をアイテムポーチに入れて、トボトボと帰ろうとした。


「きゃあぁあーー!!」


 女性の悲鳴が聞こえた。

 ルクスは悲鳴が聞こえた方に走っていく。

 マップで場所を確認しつつ、前方を見ると、女性が走ってくるのが見えた。

 女性を追っているのは、複数のゴブリンだった。


「きゃん!」


 女性は何かに(つまづ)いて転んでしまった。

 ルクスは女性を庇うため、跳躍して女性とゴブリンの間に降り立った。


「ゴブリンども、俺が相手だ!」 


 ルクスはミスリルの片手剣(子供用)に魔力を流し、ゴブリンを斬った。


(え、なにこれ)


 まるで紙を斬っているくらい、感触がなく、ゴブリンを斬ってしまった。

 ゴブリンは真っ二つになって絶命している。


(セフィラとパスを強化しまくったのと、ミスリルの剣の切れ味が良いからだろうか……)


 ルクスは考えつつも、どんどんゴブリンを斬りまくった。

 いつの間にか、襲ってくるゴブリンはいなくなった。


「あの」

「あ、はい」


 ルクスが振り返ると、そこにはしゃがみ込んでいる茶髪に深い緑の瞳の女性がいた。


「腰が抜けてしまいまして……起こしていただけませんか?」

「……はい」


 ルクスは女性に手を貸して、女性を起こさせた。


「ありがとう、ございます。えっと、私はエルナ・フィルツ。貴方は?」

「俺はルクス。エルナさんの方が大人だから、敬語はいらないですよ」

「えーっと、じゃあ、ルクス君も敬語はいらないわ」

「あー、はい、じゃなくて、うん」

「良し。……はぁ、本当、ルクス君がいなかったらヤバかったわ。ありがとう」

「うん、と、あれくらいなら大丈夫だと……逆にエルナさんはどうして襲われてたの?」

「ああ、私、薬士なんだけど、薬草採取してたら、ちょっと奥まで入ってしまって、ゴブリンたちに遭遇しちゃったの。普段なら森の浅いところしか入らないんだけど……」

「へえ、因みにゴブリンって怖いの?」

「そりゃあもう!ゴブリンは他種族を見ると必ず棍棒で死ぬまで殴ってくる野蛮な種族なのよね……女子供だろうと容赦はないわ」

「へえ……ゴブリンって雄雌ちゃんといるの?」

「?いるわよ。ゴブリンの雌も獰猛だから注意が必要ね」

「へえ……(俺の知ってるゴブリンと違う)」

「で、ルクス君は冒険者なの?」

「うん、それがどうしたの?」

「冒険者なら、ゴブリンの右耳取った方が良いんじゃないの?討伐証明になるし」

「そうなんだ」

「ルクス君、冒険者になったばかりなの?」

「よく分かったね。そうだよ」

「知識のなさは初心者だけど、戦闘能力は中堅以上……アンバランスすぎるわ」


 エルナは小さな声で呟いた。


「何か言った?」

「ううん、なんでもないわ」


 ルクスはゴブリンの右耳を嫌そうな表情で斬り落とし、予備の麻袋に詰めていった。


「さ、ゴブリンの死体は纏めて燃やさないと」

「燃やすのはどうして?」

「アンデッドになっちゃうからね」

「うぇ」


 ルクスは火の玉をイメージした。そして、出来上がった火球をゴブリンに向けて放った。

 轟轟(ごうごう)と勢いよく炎がゴブリンたちの死体を包み込み、燃やし尽くした。


「ルクス君て、凄い魔法使いでもあるのね?」

「え?ただ、火の玉でゴブリンの死体を焼いただけだよ?」

「普通はあんなに大きな火球を作れないし、火球だけでゴブリンを焼き尽くすなんてできないからね!」

「ええ?普通はどうやってるの?」

「ゴブリンの死体に拾ってきた木の枝を何本も載せて生活魔法の灯火で火を点けて燃え上がるまで見守るわ。雨の日は火なんて点けられないから、冒険者はそもそも冒険しないの。護衛依頼で止むを得なくモンスターを討伐したときは、穴を掘って、教会で購入できる聖水を死体に掛けて埋めるらしいわ」

「へぇえ!エルナって物知りだね」

「んふふー。……まあ、冒険者の女友達がいるから知ってるだけなんだけどねー」

「エルナ。なんかゴブリンがこっちに来るみたいだから、早く街に戻ろう」


 ルクスはマップで赤い鬼っぽいマークがこちらにやってくるのを見ていた。


「え、まじで!早く街に戻ろう!」


 エルナはルクスの手を掴んで、走って街に戻っていく。


(俺よりちょっと走るのが遅いけど、ゴブリンが移動する速度より速いから大丈夫か……)


 ルクスはそう思いつつ、エルナに合わせて走っていった。

 やがて、街道から平原に出ると、エルナは走るのを止めた。


「はあ、はあ、ここまで来れば、大丈夫でしょう?」

「うん、そうだね」


 王都アルヒに向かって二人は歩き出した。


「ルクス君」

「なに?エルナさん」

「後で、私が働いている薬屋に来て欲しいの」

「どうして?」

「助けてくれたお礼。用意して待ってるからさ」

「うん、分かった」

「約束よ?」


 二人は指を絡めて、二回振り、指を解いた。

 アルヒ王国の庶民に伝わる約束の作法のようなものだ。


「ところで、エルナさんが働いてる薬屋の名前は?」

「あ、肝心なことを言ってなかったね。【フィルツ薬屋】だよ」


 ルクスがゲームでは聞いたことがない薬屋の名前だった。


「フィルツ?エルナさんの苗字……」

「うん、私の祖母が店主なんだよね」

「そうなんだ」

「うん。あ、もう着いたよ」

「そうだね」


 ルクスは門番に冒険者ギルドのカードを見せた。エルナは銀のカードを見せている。


「エルナさんのカードって……」

「ああ、薬師ギルドの(シルバー)カード。早く(ゴールド)ランクまで上がりたいんだけど、それには難しいポーションも作らないといけないんだ。難しいポーションは素材が珍しいものが多いから、まず素材を見つけないといけないんだよねぇ」

「そうなんだ」


 エルナはルクスを見て、何かを思いついたようにカッと目を見開いた。


「そうよ!ルクス君!」

「うぇ、な、なに?」

「君に珍しい素材を見つけて貰えば良いんだわ!」

「ええ?俺?」

「そうよ、貴方、戦闘能力が凄いから、絶対に珍しい素材に辿り着くわ。是非、見つけたら、私に売って欲しい!」

「……善処、します」

「その為には鉄ランクからもっと上のランクにランクアップしないと……まずは私が鉄ランクでも受けられる指名依頼を出すから、絶対受けてね?」

「分かったよ」

「よし、決まり!じゃあ、私は一足先にフィルツ薬屋に戻るわ。また後でね」

「うん」


 エルナは商人街に向かい、ルクスは冒険者街に向かった。

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