伊藤と工藤は英雄なのか、世界を破滅に導く危険因子なのか
「工藤にともだちんこされると、HOOKしてた僕のシャドウブレインが、ガンスモークしたあげく、まじかるどろぴーしちゃうよ」
「だから、下ネタは辞めなさいよ。みっともないわ。ところで、コロコロ作品のゲーム化といえば、かっとび!童児を忘れちゃならないと思うのよ」
「原作のたかや健二先生は、藤子F不二雄のアシスタントとしても有名だね。ドラえもん後期の脇キャラをよく目を凝らしてみると、たかや健二風であることがわかる」
「ファミコンコロコロコミックか、ファミコンジャンプの向こうをはってね」
「ドラえもんだよりと思われがちだけど、ビックリマンやら前出のおぼっちゃまくん、ハゲ丸などを総動員すれば、それなりの作りにはなったはずだよ。パーマンあたりもいい仕事をしそうだ。パーマンのⅠもPART2も、なぜか藤子アニメゲーム化定番のハドソンやバンダイでなく、アイレムから発売されてる。この違和感、テレビ朝日~シンエイ動画ラインでガチガチだった昭和末期に、フジテレビ~スタジオぎゃろっぷが制作したキテレツ大百科みたいに、なぜかアイレムから発売されたんだよね。しかも、発売時期もパーマンのアニメがもう終わって、だいぶたった時期にアイレムがパーマンだよ。まあ、バンダイみたく、アニメのあからさまなタイアップって感じじゃないから、清々しいともいえるけど。魔法のプリンセスミンキーモモもアニメが沈静化してのゲーム化だよな。なんなんだろう、このタイムログ」
「でも当時の基本としたら、この手の寄せ集めゲーム、RPGをジャンルとして選択するのは免れないはずよ」
「ちゃまやハゲ丸の攻撃方法なんて、想像したくもないね。僕の苦手な下ネタに結びつきそうでさ」
「なによ、かまととぶって、さっき、嬉しげに下ネタ連発させて、ファミコンソフトをいたずらに消費させたクセに」
伊藤に呆れた工藤は、もう無造作な箱のお宝探しはおしまいとばかり、すくっと立ち上がると、再びパッケージ箱が並ぶラックに視点を戻した。
「改めて、居並ぶパッケージ群に眼をやると、並ぶファミコンソフトに規則性がないのがわかるわね」
「うん。パリ・ダカールラリー・スペシャルの横におにゃんこタウンだよ。レースゲームの横に猫探しアクションだなんてねえ」
「いや、無理やり結びつけると、不条理って言葉が当てはまるわ」
「不条理?」
「ええ、それおもファミコン創世記らしい無理やりな設定な不条理ゲーム。もし今パリダカのゲーム作るとしたら、豪華絢爛な映像の本格派ゲームだろうし、もし今猫探しゲームを作るのなら。それはもう、猫の生態とか町の機微とか双方向通信とか懲りに凝った設定の自信作を出すと思うけれど、ファミコン版パリダカは違うのよ。妙にリアルなのよ」
「金策に走るんだっけ、レーサーが」
「ええそうよ。当時、意味なく主流だったRPG要素を入れちゃったゲームの一つなんだけど、おにゃんこタウンはもっとひどいのよ。たかが、猫探しに全力で町中の人々が邪魔をするのよ。ありえる? 今、こんなゲーム作っらないわ。今こんなゲーム作るとしたら、確信犯的に、ええ私は、確信犯的に誤用してるんだけど、変なゲームを作ろうとする意図のもとに、奇妙な設定のゲームを作って、製作者が自己満足の泉に浸ることはあるかもしれないけど、頑張って、いや頑張ったかどうかは知らないけど、まあわりと本気に作って、こんな設定のゲームを作るのわけよ」
「そうだよな~。今、おかしなゲームのジャンルって確実にあるけど、それは確信犯的に、僕も確信犯的に誤用するけれど、作るか、それともよほどの手抜きのゲームかのどっちかだもんな~。猫を追い回す魚屋のおっさんだよ。どういう世界観だよ、一見、現実を正しく捉えてそうで、ありえない世界観を構築する。宇宙警備隊なんて、ラウンドウェーバーがゲルンガーを倒すんだよ。あれ名前はあれだけど、普通すぎる世界観だった」
「消えたプリンセスもどうにかしてるわ。富田靖子の是非は置いとくとして、10人まで、民間人を殺害してOKとかね、もう変よ、変よ」
「1人を殺せば殺人犯で」
「10人殺せば、罰金……あれ? 1000人殺せば英雄じゃなかったかしら?」
「罰金で済むのか、どんな世界観だよ、消えたプリンセスって」
「でも私と伊藤は、1000人じゃ済まない数の人々を間接的に殺めてるのよ。私と伊藤って、英雄かしらね? それとも罰金で済むかしら」
「怪獣がガシガシやりあう本格的な格闘ゲームを期待してゴジラ買ったのに、蓋を開けてみたら、シュミレーション。このリズム感と、一人を殺せば殺人犯で1000人殺せば英雄って言葉のリズム感が似てると思わない?」「思わないわ。そしれ、今、断定的にゴジラを語ってせいで、伊藤は確かに、この世界の誰かの命を奪ったはずよ」
「だからなんだろうな、僕と工藤は、殺人犯でも英雄でもないし、かといって罰金を払う義務もない」
「買うでなしに、店内をうろついたって誰にも咎められない。だって世界の終りに何をしたって自由な雰囲気が充満するなか、ファミコンショップで時間つぶしする輩なんて、かわいいものよね。実際、私は見た目もとびっきりかわいいし」
「ドクター・カオス 地獄の扉。まさしく僕と工藤がファミコンショップの扉から再び外の世界に飛び出ると、そんなカオスな光景が広がってるのだろうね」
「外行く? 気になるでしょ。わずか15分程度の時間潰しの間にどれだけ世界が急変したかって」
「うん、ちょっとね」
「デビルマンみたいなのがいいな~ ゲームでもアニメでも、間違えても映画のデビルマンじゃなくて、漫画のデビルマンの世界が広がってるのを希望するよ」
「突然!マッチョマンみたいな世界だったりして」
「どういう世界だよ。みんなマッチョマックスペレー漬けで、筋肉もりもりなのかい」
「ビック東海の世界ね。コンフリクトみたいな世界でもいいわ」
「う~ん、典型的なウォーシュミレーションか。なんで戦争するんだよ、日本とどこがさ、何の原因でさ。マッピーがが某アメリカ国民的キャラにインスピレーション受けてるからだとか? Might and Magicがあまり売れない日本市場に文句があったとか? ハッピバースデイバックスのバックスバニーの柄のセーター、どうしてジャパニーズマフィアが好んで着用するんだ、このやろうかい?」
「なんでアメリカが仮想敵なのよ、どこと戦争したっていいじゃないのよ。未来戦史ライオスのゴインキア王国が攻め立ててもいいでしょうよ」
「なんだい、その王国」