3 まずは地元に平和をもたらす、そして外部からちょっかいをかけそうな連中を潰していく
制圧・支配範囲が拡がる。
帰還者による魔力結晶生産地帯は、地元の市全体に及ぶほどになっていった。
数万人の市民が魔力結晶の増産を日夜行っている。
2000人ほどの協力者達が更に範囲を増大させていっている。
この勢いは止まる気配がない。
その間に、各地で問題をおこしていた者達が消えていく。
学校内や町会の範囲で起こっていた小さな問題から。
会社や役所における汚職や問題など。
更には名士と呼ばれる連中。
昨今の言葉を使うなら、上級国民ともなろうか。
これらの起こしてる問題。
更に、暴力団などの裏社会の人間。
こういった者達が一斉に消えていってる。
おかげで世の中平和なものだ。
少なくとも帰還者の周辺は。
帰還者の周囲には地味な者達が集まっていた。
派手な事はしない、お祭り騒ぎは起こさない。
地味に地道に堅実に物事を進めていく。
馬鹿げた悪さは起こさない。
おかげで静かで落ち着いた雰囲気が漂っている。
そんな環境を帰還者は楽しんでいた。
確かに劇的に派手な事は起こらない。
そういう意味では楽しみはないだろう。
だが、それはジェットコースターのようなものだ。
確かにジェットコースターは楽しいだろう。
スリルがある。
しかし、そんなものを毎日行うわけにはいかないだろう。
日々の生活はこんなスリルを楽しむためにあるわけではない。
平和な日常は淡々としたものだ。
特に大きな出来事があるわけではない。
むしろ、問題が起こらない方が良い。
お祭り騒ぎなど無い方が良い。
あっては困る。
何かしら騒動が起こってるという事なのだから。
世の中には騒動を好む者がいる。
悪さを起こすのが好きな者がいる。
そういった者がいると無駄な騒ぎが起こる。
こんな事をする奴等を真っ先に処分していった。
また、騒ぎに同調する者もいる。
これらも問題を拡大していく原因になる。
まとめてこれも抹殺していった。
更にこれらをかばう者もいる。
かわいそうだと、理由があるのだろうと言って。
あるいは人権でもよい。
理由を付けて悪さをした輩を守ろうとする。
これらも共犯だから処分していった。
こうした者が消えたあとの世の中は平和なものだ。
問題を起こす者が消えたのだから。
そうして地元の市に平穏がもたらされた。
その中で帰還者は平和を謳歌していた。
人口は1割程度になったがそれは問題ではない。
問題をおこす、問題を拡大する連中が消えたのだ。
それで十分である。
もっとも、あくまで一つの市を平和にしただけだ。
その外は違う。
まだまだ問題が山積みだった。
それらが少しずつ動きだしている。
当然だが、一つの市がほぼ消滅したのだ。
外部にこの状況が漏れないわけがない。
何が起こってるのかは分からないにしてもだ。
出勤しない社員や職員、役人など。
上がってこない報告など。
連絡の途絶えた取引先など。
突然の音信不通が一斉に起こってる。
外部の者達はこれらによって異変を知る。
「どうしてあいつは出社しないんだ?」
「あそこにある会社からの連絡がないぞ」
「この報告、どうして上がってこない?」
「どうなってる?」
概ねこんな会話があちこちで発生した。
それからとにかく確認をするために現地に向かう。
そして、人の気配のない市内を見て愕然とする。
「どうなってんだ……」
異様なほど静かな町。
やってきた者達は唖然呆然とする。
なにせ車一台としてすれ違わない。
歩行者も自転車もない。
開いてる店もない。
日本では珍しいゴーストタウン。
限界集落を超えた廃村といったものだ。
それがいきなり目の前にあらわれたのだ。
驚くしかない。
もちろん、全く誰ともすれ違わないわけではない。
たまに動いてる車を目にする事もある。
動いてる人を見る事もある。
だが、それは同じように市外から来た者だ。
お互いに声をかけてそれを知る。
「それじゃ、あなたも?」
「はい。
こちらの取引先と連絡がとれなくなって。
それで様子を見に来たんです」
「私も社員が出勤してこないもので」
こんな会話が偶然出会った者達の間で起こる。
そして、この様子がインターネットでひろまっていく。
写真や動画がSNSを通してひろまっていく。
「この市がこんな風になってる。
誰か理由を知ってる奴はいないか?」
こんな声が添えられる事もある。
もちろん、答えが出て来るわけもない。
ただ、これを見て帰還者達の町に出向く者も出てくる。
肝試しみたいなものだ。
基本的に興味本位で動いてる。
それが誰も居なくなった町のあちこちに出歩いている。
更に、誰もいないのを良い事に、勝手に占拠する奴も出て来る。
人のいない家に上がり込み、そこを根城にする。
拠点にしてあちこちに悪事をはたらきにいったり。
麻薬を使ったパーティなども行う。
更には逃亡犯の潜伏場所から、テロリストの武器保管庫まで。
あらゆる悪さの温床にしていく。
こんな事をするのはロクでもない連中だ。
実際、集まってきて居着くのは、見て分かるくらい柄の悪い人間ばかり。
そんな連中にかける情けも容赦もない。
率先して片付けたくなるような類いの連中だ。
「探す手間が省ける」
そういって帰還者と仲間達は、集まった連中を片付けていく。
最終的には魔力結晶の生産器具にして、霊魂を魔力結晶にして使い潰す。
だが、その前にやってきたクズの頭の中を覗く。
こいつらに危害を加えられてる被害者がいるからだ。
それを探って、少しは鬱憤晴らしをさせてやりたい。
報われる事の少なかった被害者に、せめて少しは良い事を。
そう思っての事だ。
その後、見つけた被害者に事情を話。
望む者達に加害者共への報復をさせていった。
バットで好きなだけ叩きのめしたり。
鎖で縛って車で引きずり回したり。
受けた被害を取り戻す事は出来ないが、少しでも気が晴れるようにつとめていった。
なお、どれだけ傷を受けても、魔術で簡単に治療ができる。
なので、遠慮無くサンドバックとして使っていった。
それくらいしか役立つ事もないのだから。
ついでに被害を受けていた者達も勧誘していく。
一緒にやらないかと。
たいていの者達は喜んで仲間になってくれた。
こうして仲間を増やしつつ、帰還者達は勢力を広げていく。
自らやってくる悪事を働いてる奴らを捕らえながら。
事が露見し始めた事で動きも加速させていく。
どうせいつかはバレると思っていた。
その時がやってきただけだ。
なので、事前に考えていた対策を実行していく。
「それじゃ、みんな。
頑張っていこう」
集まった仲間に声をかけていく。
目の前に居る者達も。
外に出ていて念話で連絡をとってる者達も。
全員頷いていく。
その気配や意思を受け止め、帰還者は行動していく。
協力者や仲間がいなくても行動はしたが。
それでも協力者がいるのはありがたい。
彼等は市の周辺に展開して行動を起こしていく。
クズを見つけて処分し、被害者に少しでも償わせる。
同時に、将来的に加害者になりうる者達。
素質や因子を持つ連中を処分していく。
まだ何もしてないというのは理由にならない。
起こってからでは遅いのだ。
そもそも、やらかしそうな連中というのは、問題をおこす前からそれらしい兆候を見せている。
普段の態度や言動、行動にあらわれる。
それこそ身につけてるものやファッションなどにも。
そこからある程度の予想は立つ。
そもそも、予想ではなく頭の中を直接覗いて判断してるのだ。
間違えようがない。
同時に被害者を中心に協力者を募っていく。
今後のためにもと言って。
既に被害に合っていた者達はだいたいが応じてくれる。
二度と被害を受けたくないからだ。
その為ならば、喜んで協力する。
誰だって平穏に生きていきたいのだから。
そうして市の周辺を制圧し。
県内の一部を掌握していく。
更に県の中枢や主要な場所も。
先んじて邪魔者を処分し、協力者を集めていくのだ。
敵対勢力は減少し、味方は増加する。
事を進めるごとに有利になっていく。
そうして基盤・拠点を成長させる一方で。
帰還者は日本の重要拠点と周辺脅威に向かっていく。
在日米軍基地。
そして、周辺国の核ミサイル施設に。
日本で何か事を起こした場合、これらが一番の脅威になる。
最悪の場合、これらが核ミサイルを発射する可能性がある。
そうなったらさすがに帰還者でもどうにもならない。
逃げる事は出来るが、日本が焦土になる。
クズ共はともかく、まともな人間まで消し炭になるのは避けたい。
なので、まずはこれらを処分していく事にした。
発射しようにも核ミサイルがなくなればどうにもならないのだから。
広範囲攻撃手段を奪えば、あとはどうとでもなる。
軍隊ごときは敵にならない。
それだけの力を帰還者はもっている。
だから厄介なものを先に片付けていく。
そうして自分に有利な状況を作っていく。
「そんじゃ早速」
やってきた在日米軍基地。
その中に入っていく。
洗脳して互いに殺し合いをさせながら。
頭の中を覗いて、様々な機密を手に入れながら。
そうして秘匿している核弾頭や核ミサイルの情報を手に入れていく。
「あるある」
見つけた核兵器の保管場所。
それらをもとに、核兵器を確保していく。
「安心してくれ、ちゃんとおまえらの国に戻しておいてやるから」
洗脳されてる基地司令にそう言いながら、核兵器を持ち出していく。
物体を別空間に保管するだけの簡単な作業だ。
あとはアメリカにお返しして、そこで爆発させれば良い。
「ちゃんと、核ミサイル基地は破壊してやるからな」
聞いてない事は分かっているが、基地司令にちゃんと説明をしてやる。
呆然としている基地司令は、虚ろな目でここではないどこかを見つめていた。
「それじゃ、あとはみんなで殺し合ってくれ。
楽しくもないデスゲームだ」
そう言うと、洗脳した軍人達に行動をさせていく。
米軍を攻撃しろと。
在日米軍基地で戦争が始まった。
最後の一人になるまで。
その一人が自分に銃口を向けて引き金を引くまで戦いは続いた。
在日米軍はその家族も含めて潰滅した。
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