転生しました
少女漫画ばかり読んできたからか、少女漫画の世界に転生した。
おまけに転生したのは、私の大好きな漫画『貴族学校カンパネラ』の世界らしい。
「すごい、本物だ…」
鏡をかれこれ1時間ほど凝視してしまう。
その顔は『ローゼリア・バーネット』のものだった。
少女漫画『貴族学校カンパネラ』。
平民の主人公が貴族学校に通い、第2王子と恋に落ちる話だ。
最初は笑わなかったルチウスが、カンパネラの無邪気さに救われ、たくさん笑う人になっていくところがすごく素敵なお話なのだ。
…ちなみに、ローゼリア・バーネットと言うキャラクターはというと。
私は鏡の前で、口元に手を持ってくる偉そうなポースをする。
「あらやだ、それって豚の行進かしらぁ?」
このセリフは、ローゼリアがカンパネラのダンスを見て言う。
『貴族学校カンパネラ』で、ローゼリアは2人の恋を邪魔する悪役だ。
ルチウスが好きで、カンパネラへのいびりを繰り返す。
最期にはローゼリアを突き落とそうとし、失敗して自分だけ大怪我を負う。
「ローゼリアは哀れだわ」
彼女の離脱は中盤くらいで、終盤は退場して出てこない。
恋の障害にすらなれないのが、ローゼリアなのだ。
「私は、幸せになりたいな」
貴族学校での生活なんて、乙女の憧れの極み。
ローゼリアは知らなかったようだけど、素敵な王子様は何もルチウスだけじゃない。
――少女漫画とは絶対関わらないわ!