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出張先は聖地


 いつも通りの朝。

 目覚ましアラームを止めて、スマホでなんとなくニュース記事を読んで、起き上がって身支度と朝ごはんを済ませる。

 家を出る前に全身鏡で自分の姿を見て、どこもおかしいところがないかを確認する。最後に電気の確認と持ち物の確認をしてから家を出た。ここでもしっかりと戸締まりの確認をして、鍵を閉めた後にガチャガチャと音を立てながらドアノブを捻った。


(よし、ここからの一週間頑張るぞ……!)


 土日はとてもいいものだった。出張の準備があったけれど、観たかったアニメは観れたし買って来たスイーツは当たり商品だったし、ごろごろとしながらのんびり過ごすことができた。やっぱりだらだらするのも大事。


 きっと、今日あたりにどこに行かされるかがわかるはず。ご飯の美味しいところだといいな、時間があればどこかおしゃれなカフェでも入って仕事もできるかもしれない……。

 仕事とはいえ、出張中は比較的にゆっくりとした時間が過ごせるからいいものだ。出張に内容によっては夜の時間は自由かもしれないし。

 そんなことを考えながら歩き、バス停まで行く。学生時代にお金を貯めていたおかげで念願の一人暮らしが叶い、運良くバス通勤ができるところへ引っ越すことができた。

 夜は強いのに、朝になると本当に起きれない。あと五分……となりながらアラームのスヌーズをかけるのが常だ。

 数分待てば、バスが到着したので乗り込む。そこから十五分ほど乗っていれば会社近くに到着する。

 バスから降りて歩いていれば、後ろから声をかけられる。


「雨宮さん! おはようございます〜!」

「おはよう。随分ご機嫌だね?」

「実は昨日、ライブイベントに行って来たんですよ! 席もすっごく近くて!」


 楽しそうに話しているこの子は私の後輩だ。ちょっと落ち着きはないけど素直ないい後輩。しかも、お互いにオタクであることを知っているから先輩後輩といった関係性でもギスギスしたものはなく、仲良くやれていると思う。

 話しながらビルまで歩き、そのままエレベーターに乗り込む。目的の階に到着し、ぞろぞろと人が降りていく。

 後輩は私の隣の席なので、そのまま一緒に席へと着いた。引き続き話を続けていると始業の時間になり、朝イチの連絡を確認してから自分の仕事を始める。

 すると、近くを通った上司に声をかけられた。きっと出張のことだろう。


「出張先決まったぞ。詳しいことはメールに書いてあるから確認しとけ」

「承知しました」

「ちなみに木曜から一泊だ。金曜はそのまま直帰でいいから」

「大丈夫です」

「ならよかった。頼んだぞ」


 最後に返事をしてから自分の席へと戻った。結局どこになったのだろうと、気になってメールを開けば詳しい日程と内容、どこに泊まるのかとかが書かれていた。


(……まって、ここって確か映画の聖地じゃなかった?)


 確か二年ほど前に上映された劇場版の聖地だったような気がする。まって、何それ最高すぎる。

 観光とかはできなくても聖地に行けるだけ最高すぎる。


「先輩、どうしたんですか?」

「出張先、映画の聖地だった!」

「ええ、そんなことあるんですか⁈ 羨ましい……」

「いやー、嬉しすぎる。お土産買ってくるね」

「いいなあ。お土産、楽しみにしてますね」


 俄然とやる気が出てきた。

 今回は支社に行ってサポート対応をするらしい。他にも数名出張に行くみたいだけどグループ行動ではないみたい。多分夜に飲み会とかは入るだろうけど、木曜から一泊で、金曜は直帰。会社に寄る必要もないのであれば自分で宿を取って土日に旅行してしまうのもいいのでは……⁈

 正直金欠ではあるけど、後悔するくらいならお金をかけたほうがいい。


(帰りに洋服見て帰ろうかな。相互さんと予定が合うならご飯に行くのもいいかも)


 昼休みに宿を探すことを決め、今週末のための準備を進めることにした。

 いい日になりますようにと、願いながら。

 

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