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序章


 いつも通り、推しを生きがいに働いていたそんなある日のこと。

 推しが出ている作品の聖地でもあった出張先で事故に遭ってしまった。

 仕事の合間に推しが登場していた聖地にいけるなんて幸せ! とか考えていたのに、どうして事故に遭ってしまったのか。


 会社に迷惑がかかるな、どんな噂が広がるのだろう、担当している仕事はどうなるのだろう。

 社会人として心配せざるを得ない考えが浮かんでいく中「どうして?」という疑問。

 どうして事故に遭ってしまったのだろう。何がいけなかったのだろう。何か罰当たりなことでも、知らないうちにしちゃったのかな。


 遠くなっていく意識の中で、そんなことを考える。うっすらと見える視界にはたくさんの人が騒ぐ声。でも、その聞こえていた周りの騒がしい声が段々と静かになっていった。


 これはもう、死ぬんだな。

 推しの最後も見れずに、推しの今後も見れずに私は死ぬんだ。

 そう思ったのを最後に、意識は途切れて何も聞こえなくなった。





 冷たくて寒い、とても深い恐怖の淵にいた。

 でもそれは、だんだん暖かいものに変わっていった。


 遠いところから聞こえる声。なんだか聞き覚えのある声に安心しながら、もう一度眠りにつこうとする。


「……まだ起きないのか?」


 待って、この声って、まさか。

 夢なのか、なんなのかわからないそれに返事をするために起き上がった。


 事故で死んだはずなのに、自分が生きている感覚に驚きながら起きればそこには愛してやまない推しの姿。


 いやいやいや、嘘じゃん。流石におかしい。

 なんで私の推しが隣に? 確かに何度も妄想したシチュエーションだけど、なんで?


 混乱する中で状況を整理しようにも、目の前の情報についていくことができない。


 それでも自分の好きな彼が目の前にいる。逃げたい感情と、こんな都合のいいことなんて二度とない、という気持ちで彼の姿をじっと見てしまう。

 でも、推しの左手を見ればそこには綺麗な指輪が薬指に嵌っていた。まさか、公式作品で公表していなかっただけで結婚していたパターン? そんなの信じたくないんだが?


 俯けば、自分の手が視界に入った。どこも怪我なんてしていない、普通の手……のはずなのに、左手の薬指には彼と同じ指輪が自分にも嵌っていた。


 同じ指輪。

 一般的に考えれば、お揃いの指輪を左手の薬指に嵌めているなんて婚約とか結婚を意味すると思う。

 

 ……二次元の推しと結婚しているなんて、誰が想像した?

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