⑧ “日本国債の価値“を伝える必要性
質問者:日本は利上げをしてはいけないと言うことでしたが、理想的にはどのような政策をとることが大事なのでしょうか?
筆者:まぁ、“外圧“や”利益者集団”の問題もありますから容易にはいかないのですが、
通貨リセットを防ぐ&日本を正しく発展させる方法としましては、
1 日本国民や国際社会に対して“正しい日本の通貨発行能力・日本国債”の価値を説明し続ける。
2 利権集団にではなく適正に国民に分配されるように減税を行う。(消費税などの逆進課税やガソリンの二重課税の撤廃、未来への先行きの見通しを示す)
3 建設業は新築を建てまくるのではなく、公共事業を推し進めるべき(老朽化している)
この3つを中心に行って欲しいと思います。
質問者:改めて見ても1がかなり重要な気がします。
日本国民の方々ですらも緊縮財政が必要だと考えられておられますからね。
筆者:「税金や社会保障費が財源である」と言う固定観念も非常に問題だと思いますね。
金本位制度ではなくなった今においては課税をすると言うことは制度を促進するためのものであったり、規制するために存在するべき存在です。
例えば最近、国民の行動を防ぐための税金の見直しがあったこととしましては、誰も住んでおらず、かつ管理などがされていない倒壊しそうな「特定空家等」に対しては固定資産税の優遇措置を撤廃するといった措置が挙げられます(実質、固定資産税が6倍になる)。
これは建物を取り壊すのに費用が必要であることから、固定資産税の優遇を受けるために壊れそうな危険な空き家が増えていたことが問題となっていたんですね。
質問者:確かに、壊れそうな空き家とちゃんと使っている建物と同じように優遇されているのでしたら取り壊さないほうが良いと言うことになってしまいますからね……。
筆者:京都市はこれに加え、空き家などの所有者に課税する「非居住住宅利活用促進税」を2026年度にも導入し、国からも許可を受けたと22年3月22日に発表しました。
このように国民の悪い行動を変えさせるために税金はあるべきです。
それにとは全く関係の無い消費税増税などと言うのはもっての他です。
つまり、税金の行動抑制の観点から言うと、消費税増税は『消費をするな』と言うことと同義ですので、GDPの半分が家庭消費に依存しているのでそりゃ成長するわけがないなと言うのが正直なところです。
これが長年デフレ経済が続いた原因でもあります。
質問者:確かに税の課税や優遇措置で人々の行動は変化しそうですよね……。
2の生活保障に関しては具体的に他にはあるのでしょうか?
筆者:現在国は年金受給年齢の引き上げなどを行おうとしています。
確かに、定年が55歳の時には当初の年金受給年齢は寿命が60代でした。
現在は男性でも80歳が平均寿命になりつつあるので、ある意味理解は出来ます。
実際に、お金を若いうちに稼がれて早期リタイア(FIRE)した方も人生のやりがいを感じられずに仕事に復帰するケースもあります。
海外では、早期リタイアをされた方は認知症になる確率が上がるという研究もあります。
しかし、必ずしも誰もが健康で働けるだけの体を誰もが持ち合わせているわけではありません。早期リタイアをしても有意義な活動をされる方もいらっしゃいます。
国の政策によって人生の選択肢を余程のお金持ちでない限り強制的に狭められているというのは僕は問題だと思います。
これは夫婦共働きを強要させられている現役世代と同じような構図だなと思います。
質問者:建前上は「自由な働き方」や「認知症の防止」と言った話ですが、経済的な理由での実質的な70代までの強制労働ともなれば話は変わってきますよね……。
筆者:現在はそれだけでなくインフレ分の年金受給額が増えないこともあり、今貰えている高齢者の方に関しても生活保障がままなりません。
若い方に至っては今の受給年齢よりももっと先にならないと貰えないでしょうし、さらに社会保険料も上がっていくのではないかと思って今います。
このように金銭的な理由でもって未来を感じられない状況を脱却するためには最低でも現在の年金制度を維持し、インフレ分は確実に年金額に反映され、「ちゃんと年金を払っていれば生活は保障されるんだな」と若い世代が感じてくれることが大事になります。
僕は更にお金の問題だけにとどまらず、精神的なケアに関しても必要だと考えています。
特に30代以下の若い方の自殺者数は他国と比べても圧倒的な数ですからね。
質問者:どうして若い方が自殺されてしまうのでしょうか?
筆者:色々な要因はあるとは思いますが、10代の方ですとやはり受験の失敗やイジメなどでしょう。
20代や30代の方ですと失業などからの役割喪失感や逆に与えられた役割の大きさに対する過剰な負担感から、危機的な状態にまで追い込まれてしまったりすることが原因だと推測されています。
後日メンタルについてのエッセイも書いていこうと思うのでお待ちください。
質問者:なるほど、期待しています。
この3つ目の公共事業についてはどうなんでしょうか?
イメージ的には道路などは全国津々浦々あると思うので問題ないような気がしますが?
筆者:ところが、今現在高度経済成長期に多く作られた道路などはかなり老朽化が進んでおり、
NHKの2022年12月6日の『“橋がトンネルが崩れる” 74万のオープンデータを調べると』という放送によりますと、
『点検の結果「対策が必要」とされながら、手が付けられていない橋やトンネルは全国で3万3390あります。都市部から地方まで、全国各地に分布していることが分かります。』
とあるんですね。
地震大国でもある日本にとってはこれは本来インフラの補修は急務ですが、まだ大丈夫だから捕囚しなくて良いのではなく「補修しなくてはいけないのに補修できない」これが現実です。
質問者:確かに大地震で倒壊してしまったら大惨事になってしまいますね……。
しかし、どうして手が付けられない橋やトンネルがそんなにも存在しているのでしょうか?
筆者:日本経済新聞23年2月6日の記事の『公共インフラ「着工できない」 物価高で入札不成立』によりますと、
『自治体施設の建設工事の入札不成立が相次いでいる。資材価格や人件費の上昇などを背景に、自治体が決める落札価格の上限である予定価格では採算を確保できないとして、事業者が応札を見送っている。工事ができずに開業時期が遅れる観光施設も出てきており、地域経済の新型コロナウイルス禍からの回復に水を差す恐れがある。』
と、『予定価格では採算を確保できない』ことを理由に誰も入札してくれないという状況があるのです。これも地方公共団体としては自ら通貨を発行することができませんので、国が補助金などを使ってでも入札最低価格の大幅引き上げを行うべきなのです。
質問者:巡り巡るとこれも政府の失政なのですね……。
筆者:建設会社が新築住宅に注視し過ぎているのも問題です。
年末調整や確定申告では「住宅借入等特別控除額」というのがあります。
これをむしろ新築の控除額を除いてしまい、中古住宅の購入と増改築のみにすることで、
前に紹介した空き家問題も少しずつ減っていく可能性と言うのもあります。
質問者:確かに人口が減少する社会で新築ばかり建てていたら空き家が出てくるのは当たり前ですよね……。
高級住宅はむしろ海外の方に買われて地価が上昇しているという話なので本当に笑えないですけど……。
筆者:海外の方が全く買うなとは言わないですけど、それこそ規制のために住宅取得税などの税率を何倍にするといった税制などで何らかの形で日本に大きく貢献して欲しいところですね。
質問者:しかし、挙げられた3つについてはどうにもすぐには達成できる気がしませんね。
そもそもの「1」の時点で日本人の多くの方が緊縮財政の方が良いと思っている上に、政治家の方が国民を説得しようという流れになっていませんからね。
筆者:そうなんですよね。中々、一度固定観念として植え付けられたものを変えていくというのはとても難しいですからね。学者の方々もこれまでの自分を否定されたような気がしますから考えを変える柔軟な発想な方は少ないでしょう。
それこそ小学校教育から染み付けていき、次の世代から価値観を変えていくぐらいしか方法が無いように思います。
次にこのまま日本国債の価値についてしっかり伝えない場合、日本はドンドンじり貧になっていくので、2024年に財産没収が例え起きなくても、資産の自己防衛をしていかなくてはいけないと言うことについて見ていこうと思います。




