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⑦ 緊縮財政をしなくてはいけない国の預金封鎖2例/今起きている金融危機について

筆者:次に見ていこうと思うのは、2013年3月16日 に起きたキプロスの例です。


 キプロスは、かつてオフショア金融センターとして多大な預金を保有した国でした。特にロシアの富裕層からの預金が多くを占めており、GDPの800%ものお金が集まっていたと言われています。


 そんな裕福な国でしたが、主な投資先はギリシャでした。

しかし、ギリシャは2010年頃から、膨大な債務の支払いが滞るようになってしまい、キプロスの銀行は取り返しのつかない損を被ることになってしまいました。


 預金への課税処置のため預金封鎖及びネット上の資金移動を数日間制限し、

その間に10万ユーロ以上の預金額に対しては、9.9%それ以下の預金額に関しては、6.75%の預金税を自動的に支払うこととなってしまったのです。(計58億円相当の預金税)

 EU並びに国際通貨基金(IMF)は100億ユーロを支援することで何とか立て直しを図ることになりました。



質問者:キプロス預金封鎖のきっかけとなったギリシャの破綻についてはどうなんですか?



筆者:ギリシャは元々公務員の多い国として有名でした。人口約1100万人に対し、公務員の数は約100万人。人口の10%が公務員で、労働人口でいえば25%を占めていたそうです

世論調査で国民の約40%が「脱税は市民の権利」と答えるなど、脱税や汚職が蔓延していました。本来得られるはずの税収がなくなる一方で、支出は増えていく状態です。


 そのために、ギリシャ国内では事実上、一時1日あたり60ユーロ(約8,000円)しかATMから引き下ろせない措置を取ったようです。



質問者:どうしてギリシャは破綻してしまったのでしょうか?



筆者:どうやら欧州委員会やIMFが融資の条件とした増税・緊縮財政を国民投票で拒否されたことで、融資を受けられなくなり現状の債務を返済できなくなった大きな要因のようです。


 国民としては増税をされて生活が苦しくなることに耐えられなかったのでしょう。

 公務員が多い国家で緊縮財政となると給与が下がるのも間違いないですしね。


 ここで注意したいのはギリシャはユーロと言う自国建通貨ではありませんので破綻することになりました。そのためにこれまで紹介したものとは毛色が異なりインフレが起きることなく預金封鎖と言う状況になりました。


今の対外債務の少ない日本とは状況が全く異なります。

 僕は日本の場合はハイパーインフレがほとんど絶対条件だと思います。



質問者:なるほど、同じ預金封鎖や財産没収であっても国ごとの状況が違うのですね……。



筆者:ですから僕は日本国債の対外比率を重視して欲しいと言うことを兼ねてから訴えているわけですね。


 次に見ていこうと思うのは1933年3月4日にアメリカバンクホリデー(銀行の強制休業)を実施し、同年4月5日金を一般から没収したことについて触れていこうと思います。



質問者:アメリカでは23年3月上旬にシリコンバレー銀行などが破綻したのですが、もしかしたら世界恐慌になってしまうのですか?



筆者:正直なところ、全く状況が違います。仮に銀行が連鎖的に破綻することがあったとしても、要素は異なるでしょうね。


 1929年に起きたアメリカ発の世界恐慌はアメリカの過剰な生産と投資が原因です。第一次世界大戦で物を買いたい人が増えたため、アメリカはそれに答える形で設備へ投資していました。

 しかし、戦争終結後に投資が回収できなくなってしまいたちまち倒産していってしまったことから株価が暴落した一因だと考えられています。


 現在はロシアとウクライナの紛争に対してウクライナへの全面支援を行っているので事実上の戦争状態ではあるのですが、韓国から弾薬を買わなくてはいけないほど戦争物資が不足している状況なので生産過剰と言う状況ではありません。


 むしろ真逆でロシアと中国との世界自由貿易が無くなりつつあるので供給力不足でのインフレが世界中で起きています。

生産過剰パターンでの預金封鎖と言うことは僕は無いと思っています。


質問者:その後にゴールドの没収までもあったそうですが……。



筆者:そうですね。正確には固定買取を強制的に行ったようです。

1933年4月5日に発したルーズベルト大統領の大統領令6102号によりますと、

・民間の保有する金は、1トロイオンス(31グラム)20.67ドルの金価格で強制的に買い取り

・金による支払の契約を無効

・以上の措置に従わなかった場合の罰則は1万ドル以下の罰金または10年以下の懲役

・強制買取されなかった例外は、希少な古い金貨及び100ドル相当の金


と言うことが起きたようです。



質問者:へぇ……ゴールドが没収されるだ何て中々無いですよね?



筆者:大きな例ではアメリカだけだと思います。


 非常に乱暴な政策だったものの、大恐慌の最中だったこともあり、国民財産を侵害との声は、経済危機を救うという大義名分の前に敗れました。


 米国民がその後に金を保有できるようになるには、ジェラルド・フォード大統領の1975年の金合法化まで待たなければいけませんでした。



質問者:しかし、この当時と違うとするならば、どうしてシリコンバレー銀行などは破綻してしまったのでしょうか?


 

筆者:様々な要因があると思うのですが一番大きな要因としてはアメリカが加速度的に利上げをしてしまっていることです。

 利率が上昇したことによりシリコンバレー銀行の持っている債権の価格が下落し、コールバックが要求されるようになったのでしょう。

 ドル高が落ち着きつつなって利上げだけが進行しているので米国債の価格が含み損になっていることが大きな要因です。


 これは本稿の④や⑤で日本国債視点で説明をしましたがこれが世界で起き始めていると言うことです。



質問者:やっぱり安易に利上げをしてしまうのは危険なんですね……。



筆者:中央銀行としては“インフレ対策を何もしていない“と言われるのが嫌なのでしょうが、需要過剰の時以外の利上げは単なる景気後退を呼ぶだけです。


 話を戻しますが、シリコンバレー銀行の破綻となるための大きな引き金となったのは、シリコンバレー銀行が23年3月8日に発表した2023年第1四半期決算の中で、同行のグレッグ・ベッカーCEOは「実質的にすべての証券を売却する」ことと、「22億5000万ドル(約3000億円)の資金を募る」ことを発表し、

 同時に投資ファンド「ジェネラル・アトランティック」から5億ドル(672億円)の資金提供契約を受ける契約を取り交わしたことも発表しました。


 これにより、投資家の間では「シリコンバレー銀行の経営が危ういのではないか」という不信感が広がり、同行の株式を売却する動きが拡大しました。その結果、シリコンバレー銀行の株価は60%以上急落。

 さらに、多くの顧客が預金の引き出しを始め、銀行の資金が底をつき、2023年3月10日に経営破綻へと至りました。


 これまでの「取り付け騒ぎ」は行列ができるなどと言った光景が浮かぶと思うのですが、令和の取り付け騒ぎはネットの情報からの現象だったので、行列がなく「取り付け騒ぎ」が特徴的ですね。



質問者:クレディ・スイス銀行も経営が危ないという話がありましたがそれについてはどうなんですか?



筆者:クレディ・スイス銀行についてはかねてから放漫経営だったということで、連鎖的に影響を受けただけなので、スイスで1,2を争う銀行でもあるので国からの融資もあるでしょう。

 経営状態の改善がカギになると思います。



質問者:そうなると、日本の銀行は破綻する危険性はあるのですか?



筆者:日本に関しては日本国債を持っている銀行が大きいので日本国債の利率が上がるようなことがあれば破綻することもあるかもしれません。


 しかし、現状においては日本の銀行は安全だと思います。

 とにかく利上げをしないで債権価値を下げないための利上げをしないことが大事になると思います。



質問者:具体的にどれぐらいの利率になったらダメになるんですか?



筆者:世間で言われていることとしましては経済成長率を上回る利率になると銀行により預ける可能性が増えるといわれています。


 日本の場合はゼロ成長が続いているので2%ぐらいの利率であったとしても安全志向に陥りがちです。


 何も無くても国民の預金残高が増え続けていますからね。



質問者:それではあまり猶予が無いのかもしれないのですね……。



筆者:現状でも増税と経済政策のダブルス単ダートで辛うじてゼロ成長と言う状況ですから、2%の利上げからの大規模景気後退ですと一気に10%以上も経済交代する可能性もあると思っています。


 では次に日本が本来とるべき政策についてまとめていきたいと思います。

 それと同時に、このまま悪い流れが続くとどうなってしまうのかについても見ていこうと思います。

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