第一話:小5との〜絆〜
色々あった一年間。
時間が経つのは
早すぎる。
今から始まる
物語は私が実際に
体験した物語です。
「あっ!お前
髪、染めてる!!
ぅわ〜っ。
ヤンキーだっ!
ヤンキーっ」
「はっ?
うるさいっっ!」
これが、あたしと
あんたの初めての
会話だった。
笹谷
美岬12才。
小学6年生。
昨日、髪を赤に
染めた。
もちろん、
そんな事許される
わけがない。
でも、あたしは
いけない事を
するのが好き……
と、いうか
まぁ世間でよく
外されてる
"不良"に憧れてる。
あたしの
お兄ちゃんも
中2で髪染めて
ピアス両耳で
10個もあけてる。
でも、かっこいい
しすごく友達思い
で優しい。
あたしは、そんな
お兄ちゃんに
なりたくて
不良を目指してる。
まぁ、説明は
この辺で..。
「えっ?!
ちょ、ちょっと
美岬ぁんたっ…!」
教室に入るなり
一番に親友の
真希奈が
あたしの髪の
色が真っ赤な事に
気付いて
言葉を失っている。
「へへっ。どぉ?」
少し笑いながら
誇らしげに
言った。
「どぉ?
じゃ、ないよ!!」
真希奈は
もうどうして
いいか分からずに
ただただ
あたしの周りを
うろちょろ
している。
気付けば
周りには女子
全員があたしの
周りに集まり
色々な質問が
飛び交い
ざわざわしていた。
「どうしちゃったの!?」
「何があったの?!」
「綺麗な色〜」
などと
ごちゃごちゃ
している。
「みーんーなぁ!」
声を振り絞り
大声で言った。
すると、さっきまで
うるさかったのが
嘘のように
今度は教室が
静まりかえった。
自分で言うのも
何だけど
あたしは女子の
中ではボス的存在。
「髪染めた事は
言わないでよ?」
質問気味に
一人一人の顔を
見ながら
言った。
すると静寂だった
教室はまた
一気にうるさく
なり
「当たり前じゃん!」
「絶対言わないし!」
「わかってる〜!」
などなどだ。
でも……
「どうしよっかなぁ!」
そんな声が
聞こえた。
するとまた静寂に
なり声が聞こえた
方へとみんな
振り向いた。
そこに立って
いたのは
男子生徒の
直岸
柘杜
だった。
柘杜はクラスの
ムードメーカー
的な存在だ。
顔はかっこいい
のに性格が
むちゃくちゃ
だらしない と女子
の間では評判が
悪い。
まぁ、静寂な
中あたしが
口を開いた。
「はぁ……?」
静かに口を開いた。
「だからぁ、
どうしよっかなぁ
って言ってんの!」
柘杜は大声で
笑っている。
その笑い声に
あたしはキレた。
「はぁ?!
てめえなぁっ!」
あたしは
柘杜の胸ぐらを
思い切りガバッ
と掴み顔を近づけ
メンチ切る。
その瞬間
クラスは凍りついた。
柘杜の額には
汗がにじんできた。
「わ、わかったよ。
言わねぇから…」
あたしは
その言葉を聞くと
舌打ちをしてから
手を離した。
と、同時に
先生が入って来た。
「おっ?
どうした、お前等」
不思議そうに
こっちに
向かって来た。
「どうしたんだ?」
「はっ?」
たった一言を
返した。
「はっ?
じゃなくて一体
どうしたんだ?
って聞いてんだ」
いや、ってか
何であたしに
聞くんだよ。
「別に」
目を反らしながら
答えた。
すると
「そうか?
なら、いんだが」
そう、言って
先生は自分の机
へと戻った。
それにつられて
男女共に自分達の
席へ戻った。
すると
真希奈が自分の席へ
戻る時あたしに
耳打ちで
「後で、話す事が
あるから屋上で
待ってるね!」
そう、言い残すと
真希奈は
戻って行った。
「んーっ。
やっと終わった!」
プリントを
先生の机の上に
提出してのびのび
と中休みを過ごす
と、
思ったが真希奈
との約束を
思い出したので
1人で屋上に
向かった。
廊下をゆっくりと
歩いていると
前から5年の
集団がぞろぞろと
歩いてくる。
大体………
11人〜15人は
いるだろう。
しかも、全員
あたしと毎日
言い合っている
奴等ばかりだ。
あたしの学校の
5年は荒れている。
5年だというのに
ほとんどの奴が
ピアスしてたり
髪を染めている。
携帯を持ってきたり
ゲームや財布を
持ってきている。
たまに、仲の良い
財布を持ってきてる
5年に放課後
アイスをおごって
もらったりもする。
まぁ、話を
戻して一番先頭で
真ん中にいるのが
白井
廣田。
あたしが5年の
集団の中で一番
嫌いな奴だ。
毎回、どこで
あろうとあたしに
"ヤンキー"
だとか
"ぅわー、
暴走族だーっ"
とか
変な事ばかり。
時には殴りあい
蹴りあいの喧嘩で
親を呼び出した
事もある。
だけど
普通に喋る時は
喋ったり
笑いあったり……
あと…さっき
言ったアイスを
おごって
もらったりもする。
でも、好きか
嫌いで言ったら
嫌いを通り越して
大嫌いな奴だ。
5年の集団は
あたしの前でピタリ
と止まり通せない
ようにしている。
「ちっ。何っ」
舌打ちをして
睨む。
すると全員が
ニヤニヤして
廣田が
「せーーのっ!!」
『ヤンキーっ!!!』
そう、叫んだ。
その大声で
各教室のドアからは
次々に生徒が
出てきて何事だ
とざわざわしている。
あたしには
何が起こったか
さっぱり分からない。
しかも
5年の集団は叫んだ
とたんに逃げるし…
しょうがない…
ここは何としてでも
見つけ出してやる。
そう思い
あたしは全速力で
学校中を
探し回った。
真希奈との約束
なんかを忘れて…
「いたぁっっ!!!」
やっと見つけた時には
もう中休み
など終わり三時間目
の授業が始まって
いた。
まぁ、どうせ
教室戻っても
社会だし………。
一歩一歩
ゆっくりと5年の
集団の元へと
歩いていく。
「"ここ"に
いたのかぁっ」
"ここ"とは
屋上だ。
「お前等逃げろ!
ヤンキーが襲って
来るぞーっ」
廣田がまた
からかってきた。
「はぁ………
あんた達さぁっ
いつまでからかえば
気がすむんだよ」
あたしはため息
混じりに
聞いてみた。
「いつまで って
お前が卒業
するまでに
決まってんじゃん」
笑いながら
言ってきたのは
玉城
海音。
海音は
ピアスもしてて
髪も染めている。
将来の夢は
暴走族の総長に
なる事だ。
「ってか、じゃあ
何であたしが
ヤンキーなわけ?」
「決まってんじゃん。
お前はピアス六個も
してるし
髪は染めてるし
中1んなったら
へそぴすんだろ?
だからだよっ!」
からかいながら
廣田が言った。
「何それーっ。
意味分かんない!」
その後
あたしと5年の
集団で他愛もない
話をした。
「じゃあ、放課後
校門の前でな!」
「ラジャー」
あたしと廣田と
海音とあと5年の
何人かで
放課後、廣田に
アイスをおごって
もらう約束をした。
約束をした後
それぞれの教室に
戻った。
『ガラガラっ』
あたしは授業中
にも関わらず
堂々と教室の
ドアを開けた。
でも、先生が
一回こっちをチラリ
と見たが目を
反らしてそのまま
授業を進めた。
まぁ、毎回こんな
感じだしっ。
そう思いながら
自分の席に着いた。
すると
隣に座っていた
真希奈があたしに
一枚の手紙を
渡してきた。
真希奈の方に
顔を向けると小声で
"読んで"
と、言っていた。
早速手紙を開き
見てみた。
美岬へ
美岬ーっ、中休み
どこ行ってたの?
ずっと、屋上で
待ってたのにぃ(泣)
まぁ、いぃや!
今、手紙で私の
言いたい事話すね!
実は、私って
今まで好きな人が
いたこと
ないでしょっ?!
美岬なら、分かると
思うけど………。
でも、そんな私に…
好きな人が
出来ましたーっ!!
でさー、放課後
一緒に帰れる?
もし、OKなら
放課後に私の
好きな人教えるから!
んじゃ!
ばぃばぃっ☆
真希奈
あたしは
読み終えた後
考えていた。
今日の放課後って
廣田達と約束
してんだっけ…。
でも、1人ぐらい
入れてあげたって
いいよねっ。
まぁ、その事は
放課後真希奈に話を
するとして………
"真希奈に
好きな人が出来た"
って…多分この
クラスにいるって
事だよねっ?
あたしは
辺りを見回した。
いない。
いない。
いない。
全然いい奴何か
いない。
しいて言うなら
高木
大樹。
大樹は男子の中では
一番かっこいい。
大樹と柘杜、
どっちがかっこいい
と言われると
大樹の方が全然
かっこいい。
しかも、性格も
男らしい!
この前だって
大樹と柘杜が喧嘩
した。
しかも、喧嘩の
原因は柘杜の彼女だ。
柘杜の彼女は
あたしと同じクラス
のまぁ…可愛くは
ないけど、優しい。
桜井
優花。
柘杜と付き合った
のは1ヶ月前だった。
そんな時
女子の誰かが
優花が泣いている
理由を聞いた所
柘杜が泣かしたと
言っていた。
それを女子が
柘杜に責めたらしい。
すると、柘杜は
自分から泣かせた
くせに逆ギレをした。
それにキレた
大樹は柘杜に
何で、女
泣かしてんのに
逆ギレしてんだよ。
と始めは
冷静だった。 が、
柘杜はますます
キレて遂に大樹が
激怒したのだ。
"自分の大事な
奴泣かしといて
男がキレてんじゃ
ねーよっ!!"
と大声で言い
柘杜の机を思い切り
蹴飛ばしそれが
ドアに直撃して
ドアが外れた。
その瞬間クラス中が
凍りつき席に
座っていた生徒は
大樹から離れて
怖がっていた
奴がほとんど
だった。
柘杜は大樹の
言葉に
"俺の女なら
どーしようが俺の
自由だろーが!!"
と柘杜は
自分の椅子を
蹴飛ばし
大樹に言い返した。
その言葉に対し
大樹は
"自分の女
泣かしといて
俺の女 とか
言ってんじゃねー!"
そう言いながら
大樹は柘杜の
胸ぐらを掴み
思い切り柘杜の
顔を殴った。
クラスはざわつき
泣いてる子も
いたり 止めて!
と叫ぶ子もいたが
何よりびっくり
したのが数人の
男子が止めに
はいっているのに
大樹は何人もの
男子をかわして
決して柘杜の
胸ぐらを離そうとは
しなかった。
固く握りしめられた
大樹の拳には何かを
柘杜に伝えたい!
という気持ちが
痛いほど
伝わってきた。
しばらくして
先生達が駆けつけて
何とか喧嘩は
おさまった。
でも、もちろんの事
二人は校長先生に
怒られた。
「やっと
終わったぁーっ!」
放課後あたしは
大きく伸びをした。
帰りの支度を
していると
「みーさきっ!
で、今日一緒に
帰れるっ?!」
その瞬間
真希奈の手紙に
書いてあった事を
思い出した。
「あっ!今日ね
廣田と海音と……
他5年の何人かで
帰りアイスおごって
もらう約束
してんだけど……
真希奈も来る?」
「うん!行く行く!」
真希奈は
大賛成していた。
そして、あたし達は
支度を終えて
廣田達が待つ校門の
前へと向かった。
校門の前に
向かう途中真希奈の
好きな人について
二人で盛り上った。
「でさーっ、
真希奈の好きな人
って誰なわけっ?」
あたしは
考えながら聞いた。
「んーっとねー…
ヒントなら教えて
あげてもいいかな!」
「終えて!!」
あたしは何かに
食いつくように
真希奈におがんだ。
「えっとー、
五年生でピアス
してて荒れてて…
みたいなぁ!」
えっ?
はっ?
いやいや。
ちょっと待って。
真希奈って
そういう奴タイプ
だったっけ?
そもそも5年
って事は今から
会う中にいるって事?
分かんない。
さっぱり分かんない。
「どぅ?
わかった?」
あたしの脳は
真希奈の言葉で
現実へと
引き戻された。
「分かんなーい」
「やっぱりぃ!
まぁ、もう着くよ」
目の前を見ると
もうすでに廣田達は
退屈そうに
たむろっていた。
「お待たせ!」
すると廣田は
「てめえ
おせんだよなー」
待ちくたびれた
かのように言った。
「さっ!
行きましょっ!!
あっ!後さー
真希奈もいるから」
あたしの後ろに
いた真希奈を
紹介した。
「おぅっ」
コンビニに
向かう途中に話題は
好きなタイプに
ついて話した。
「やっぱ、俺は
ちょぃギャルかつ
不良!みたいな
女でスタイル良くて
大人っぽい奴が
いいなっ!!」
そう言ったのは
谷村
光希。
光希は性格がとても
と言っていい程
マヂエロイ。
学校にエロ本を
三冊持ってきて
トイレで
友達と読んでいる。
こんなにエロイ
光希なのに顔は
かっこいいからと
女子からはモテモテ。
これが光希。
すると真希奈が
突然口を開いた。
「その谷村が今、
言った好きなタイプ
ってぇー………
何か、美岬に
めちゃくちゃ
似てるんだけど!」
えっ?
「はっ?!
何でだしっっ!」
光希は
人前だというのに
大声を出した。
「だってさー
美岬ってギャルだし
かといって
不良だしぃー、
スタイルは
モデル並みで
顔立ちがすごく
良くて
大人っぽいから!」
「はぁっ?!
だからって勝手に
決めつけてんじゃ
ねーよっっ!!」
「ほらぁっ!
すごくムキになる
って事はやっぱり
美岬何でしょ!」
何かだんだん
荒くなってるような
気がしてきたな…
「うるせーよっ!
えらそーに
言ってんじゃねー!」
光希がそう言った
あと、真希奈の
胸ぐらを掴んだ。
「止めろよ!
離せ!!」
真希奈の荒々しい
声と光希の怒鳴り声。
道行く人は
チラチラ見ながら
ざわざわしている。
さすがにヤバい
空気を察した
あたしは
二人の間にわって
入り止めた。
「真希奈もっ!
光希も止めてっ!」
必死で止めるが
二人の勢いは
止まらない。
「離せよ゛っ!!」
その瞬間
あたしは光希に
思い切り
突き飛ばされて
近くに捨ててあった
ジュースの割れてる
びんゴミに右腕が
刺さった。
「………ったぁ」
あたしが
痛々しい声を上げる
と同時に廣田と
海音が近寄って来た。
「おま……っ、
すげぇ血………」
廣田は
目を丸くしながら
あたしの右腕を
指差した。
「…ほんとだ……。」
まさに絶句。
そこには
右腕からは次から
次へと溢れ出る血。
止めても止めても
タオルからは
だんだんと赤く
にじんでいく。
それと同時に
激痛がはしり始めた。
ジンジンとして
ずきずきと痛む。
右腕がとても
熱く感じた。
「ねぇっ………
真希…奈…達は……
大丈夫…なの…?…」
痛みを堪えて
聞いた。
「おぅ。あっちで
他の奴等が止めて
くれてから……って、
お前、今は自分の
心配しろよっ!
あぁー!
どーすりゃぃんだ!」
海音は
とてもと言って
いいほど
取り乱している。
すると
「近くに病院が
あるから、そこに
行くぞっ。
あいつ等にも
言っておけ。
ほらっ。
早く乗れよっ」
そう言うと
廣田はしゃがんで
背中向きにして
手を伸ばした。
「いやっ、
病院くらい歩いて
行けるから…。
しかも、子供
だけで病院に
行っていいのっ?」
「そこの病院、
俺のお母さんが
働いてるから
平気だし!」
廣田は自慢気に
言った。
「いやー……
でも、おんぶは…」
あたしが戸惑って
いると
「いいからっ。
尚更腕、悪化すんぞ!
しかも、海音も
あいつ等に言いに
言ったから」
でもなー……
まぁいっか………。
あたしは廣田の
背中にもたれかかる
感じに乗った。
「行くぞ」
廣田は立ち上がり
足を進めた。
「ねー…
重くないっ?」
あたしは
遠慮がちに聞いた。
「はっ?お前
バカじゃねーの。
俺、そんなに
力ないと思うか?
しかも………
お前だから
おぶってんだよ…」
ドキッ
えっ?
今のどういう事?
あたしはドキドキ
しながら廣田の
背中にもたれていた。
と、その時
ある事に気付いた。
道行く人の視線を
痛いくらい感じる。
無理もない。
だって腕から尚も
大量に血が出てる
怪我人を廣田が
おぶっているのだ。
「何人も見てるね…」
「気にすんなよ。
ってかまだ
腕、痛いか?」
廣田に言われて
腕を動かしてみた。
と、同時に
とてつもない
激痛がはしり
ジンジンとして
燃えるように
腕の中が熱く感じた。
「……っいたぃ…!」
何で……さっきまで
平気だったのに。
「大丈夫かよ……?」
「無理……っ。
腕の中がすごい熱ぃ。
ジンジンする…。」
次第に息が
荒くなっていく。
「おぃ!
大丈夫かよっ?」
「痛ったぃ………」
段々と意識が
遠のく。
夢を観た。
誰かの背中の上で
自分が心地良さそうに
眠っていた。
その人の背中は
大きくて守られてる
感じがした。
あの時光希に押されて
転んだ傷は今でも
痛々しく残ってます。
廣田は
時にさりげなく優しい
男の子でした。