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ギルド

 修道院のビスケットを堪能したマーヤ。シスターカナイから乾燥させたトーサの葉をお土産で貰い、宿屋に戻ってきた。


 確かにビスケットはうまかったが、大食いのマーヤには少し量がものたりない。


 小腹が空いたマーヤが何か食べに行こうかと、部屋のベッドでゴロゴロしながら考えていると、ドアを控えめにノックする音。


「どうぞ」


 マーヤが入室の許可を出すと、おずおずとやってきたのは宿屋の主人だった。


「あの……お客様、アナタに用があるという方が受付に来ていまして……」


 奇妙だ。


 マーヤは旅人。


 しかも先日この街に来たばかりだ。


 そんなマーヤに用がある……? きな臭いことこの上ない。


「へえ……どんなやつだい?」


 マーヤの問いに、店主は困ったように返答する。


「それが……どうやらギルドのお偉いさんみたいなんですよ」


「…………へぇ。おもしれぇじゃん」


 ギルド。

 冒険者を管理する国家にしばられない組織。


 マーヤも一時期加入していた事はあるが、肌に合わずにすぐに止めてしまった。


 冒険者なんて荒くれ者をまとめあげる組織だ。そのトップがまともな筈もない。ギルドのお偉いさんがただの旅人であるマーヤに何の用事があるのかなんて知らないが、どうせろくな事にはならないだろう。


「準備したらすぐ下りるよ」


 マーヤの言葉に、店主は複雑な表情でお辞儀をして部屋から出て行く。


「ったく……気にくわねえな」


 マーヤは部屋の壁に立てかけてあった愛用のバトルアックスを背負う。


 ギラリと鈍く光る鈍重な肉厚の刃。


 かつて最強の魔王と渡り合った武器……過剰戦力かもしれないが、一応もっていく。


 コキリと首の骨を鳴らし、うまいビスケットの余韻をぶちこわしにされた事実に苛立ちながら、マーヤは階段を下りる。


 宿屋の受付前には武装した数名のギルド員。その頭らしき人物が店主と話していてマーヤに背中を向けている。


「おら、アタシに何の用だい? ギルドのクソ野郎ども」


 マーヤはイライラと男たちに声をかける。


 ギルド員たちはバトルアックスを担いでいるマーヤを警戒してか、警戒したようにやや前傾姿勢になった。


 不意の攻撃にも対応できる臨戦態勢。その姿勢に隙は無く、男たちが歴戦の戦士であることをマーヤに知らしめる。


 しかしマーヤはつまらなそうに鼻を鳴らし、ズカズカと距離をつめて背を向けている男に声をかける。


「アンタだろ? アタシを呼んだってのは」


 振り返る男。


 その顔を確認した瞬間、苛立っていたマーヤの表情が、みるみる驚きに変わっていく。


「お前……ジェイコブか!?」


 森で石焼きを教えてくれた冒険者。ジェイコブが困ったような表情を浮かべてそこにいた。


「シスターの話から予想はしていたが……やっぱり君だったのかマーヤ」


 ジェイコブはポリポリと頭を掻いてから、マーヤに向き直る。




「ちゃんと自己紹介をしていなかったな。俺はジェイコブ、この街の支部を視察に来ていたギルドの幹部だ」





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