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悪食3

「けけけ結婚だと!?何言ってやがる」


予想外なウェルターの発言に、思いっきり動揺するマーヤ。


 ウェルターはそんな取り乱したマーヤを楽しそうに眺めながら、大したことないとばかりに返答する。


「そうだ。ちょうど私には伴侶がいなくてね。君もそうだろう?」


「いないけど!!いないけどさ!!」


「では何が問題なのだ?……あぁ、なるほど。貴族である私との身分の差を気にしているのか。であれば問題はない。私は身分の差など気にはしないし、陰口を叩くような他の貴族があれば即座に叩き潰せるだけの財力も権力も武力も揃っている……王族ですら私に歯向かうことはできないだろう」


「だから!そういうことじゃねぇって!!今日あったばかりなのに、いきなり求婚とか頭おかしいって話をしてんだよ!」


 勢いのままに机に拳を叩きつけるマーヤ。


 マーヤの魂の叫びに、ウェルターは呆れたような表情を浮かべる。


「なんだ、そんなつまらん話をしていたのか……人生は存外短い、そんな常識に囚われていては人生を謳歌することはできんぞ?」


「……第一、なんでそんな急に結婚とかいう話になんだよ」


「無論、君のことが気に入ったからだ。先程の食べっぷりを見て、君に心底惚れてしまった……生涯を共にしても良いと思えるほどにね」


 淡々と語るウェルター。


 今まで戦いに生きてきたマーヤにとって、もちろんなこんな色恋沙汰なんてはじめての経験であり、故に混乱している。


 どう答えるのが正しい?


 わからない。


 戦闘でなら、天啓のように正解の行動が浮かんでくるというのに、今は頭の中が真っ白で、どうしていいか全くわからなかった。


「それで、受けてくれるかね?」


 ウェルターの問に、マーヤは働かない頭を精一杯可動させて、ゆっくりと言葉を選ぶように返答する。


「……無理だ。少なくても……今のアタシには正常な判断ができそうにない……別にアンタが嫌いってわけじゃないけど……好きかどうかって言われたら、まだ判断ができない……と……思う」


 最後は消え入りそうな小さな声だった。


 それを聞いたウェルターは、数秒何かを考えるようにそっと目を閉じ、やがてゆっくりと目を開いた。


「…………残念だが……強要はすまい。だが、嫌いではないというならどうだろう。たまに遊びに来てはくれないか? 君の旅の話を是非聞かせてほしい」


「……わかった。また来るよ」


 そして二人は握手を交わした。


 食事を終え、ウェルターの館から出た時、マーヤはまだ熱を持っている顔をピシャリと叩く。


 もう、すっかり日が暮れている。


 火照った頬に、少し冷たい夜風が心地よかった。






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