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 空気がカラカラに乾いている。


 ドワーフたちが暮らしていた火山地帯を思い出すが、最大の違いは気温だろう。


 ジワジワと体を侵食する冷気。


 スイの街みたいに雪が降り積もっているわけでもなく、ただ寒い。


 周囲をぐるりと見回しても、植物の類はほとんど自生していないようで、岩と乾いた地面だけが広がっている。


 ここは不毛の地ラカ。


 雨は一年を通してほとんど降らず、寒気のせいで植物もあまり育たない。


 マーヤは荷袋から薄めた葡萄酒を詰めた革袋を取り出す。


 カラカラに乾燥した口を潤すために、葡萄酒を少し口に含んだ。


 本当はごくごくと飲み干してしまいたいのだが、いつ目的地にたどり着けるのかわからない。


 マナリ族の集落を探している。


 彼らはラカの地をテリトリーとする遊牧民だ。


 外部との接触は必要最低限で、ひっそりと暮らすことを好むらしい。


 こんな不毛の地で暮らす部族。食べるものも少なく、その食事は独自の文化を生み出しているらしい。


 その異様な食生活から、かれらは ”骨食い”と呼ばれている。


「”骨食い”……ね。骨を使った料理はまだ食べたことがねえな」


 ペロリと乾いた唇を舐める。


 いつだって未知なるグルメへの好奇心が、彼女を駆り立てるのだ。





 



「別に俺たちは骨だけを好んで食べるわけじゃない。こんな厳しい環境だ。食べるものも少なく、文字通り獲物は骨まで無駄にしない……それだけのことだ」


 意外にも、マナリ族は突然現れたマーヤを歓迎してくれた。


 こんな辺境で、しかも ”骨喰い” と忌避される部族に会いに来る旅人なんて珍しいと、族長は笑った。


 道中寒かっただろうと、族長は自分の家にマーヤを招き入れ、酒を振る舞う。


 馬の乳から作られたという乳白色の酒。よく暖められたその酒をぐっと飲むと、酒精で体がポカポカと温まった。


 ほのかな酸味と、乳のコク。飲んだことのない味だが、冷え切った体に染み渡る。


 マーヤは酒を飲みながら、族長にこの場所に来た理由を話した。


 骨料理を食べたいと言われた族長は、一瞬キョトンとしたあと、豪快に笑う。


 骨を食べるマナリ族を怖がるものこそあれ、自分も食べてみたいなんて酔狂な者は初めて見たのだ。


「面白いな旅の人。いいだろう、我が部族特性の骨料理、たんと味わってもらおうか」


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